健康診断の結果を見て、首を傾げた経験はありませんか?

「中性脂肪(TG)の数値が基準値より低い。けれど、鏡に映る自分はどう見ても太っている、あるいは肥満気味である」

一般的に、肥満であれば中性脂肪やコレステロールは高いものだと思われがちです。しかし、実際には「中性脂肪が低いのに太っている」というケースは珍しくありません。

実はこの状態、単に「健康だから数値が低い」のではなく、体の中でエネルギー代謝のバランスが崩れているサインかもしれません。

「数値が良いから安心」と自己判断するのは禁物です。なぜそのような矛盾した状態が起きるのか、隠された病気のリスクはないのか。本記事では、その医学的なメカニズムと対策について詳しく解説します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

脂質異常症(中性脂肪の異常)でお困りの方へ

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中性脂肪が低いのに太っている3つの主な原因

通常、中性脂肪値が低い(目安として30mg/dL未満など)場合は、栄養不足や遺伝的要因などが疑われます(参考:日本動脈硬化学会 1)。しかし、肥満体型でこの数値が出る場合、以下の3つのような特殊なメカニズムが働いている可能性があります。

1. インスリンの働きや体質による影響

一つ目の可能性として、体質的な要因やホルモンバランスの影響が考えられます。

食事から摂取した脂質や糖質は、インスリンなどのホルモンの働きによって細胞内に取り込まれます。通常、肥満の方ではインスリンの効きが悪くなる(抵抗性)ことで中性脂肪が高くなる傾向にありますが、稀に個人の体質やホルモン分泌のバランスにより、血液中の中性脂肪濃度は上がりにくいものの、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されているケースも否定できません。

ただし、これは医学的には非典型的な状態であり、次項以降の「ダイエットの影響」や「隠れた疾患」の可能性も併せて考える必要があります。

2. 過度な糖質制限・ダイエットの影響

現在、あるいは直近まで糖質制限ダイエットを行っていませんでしたか?

極端に食事量を制限したり糖質をカットしたりすると、体はエネルギー不足を補うために、血液中の中性脂肪を利用しようとします。その結果、検査数値上の中性脂肪は低くなることがあります。

しかし、長年蓄積された「体脂肪(皮下脂肪や内臓脂肪)」は、すぐには燃え尽きません。結果として、

「血液中の中性脂肪は低いが、体の見た目は太ったまま」

というタイムラグが生じます。これは体がエネルギー不足の状態にあるサインでもあり、代謝が落ちて逆に痩せにくい体質になっている恐れもあります。

3. 肝機能の低下による合成障害の可能性

肝臓の機能障害が関与しているケースもあります。

通常、中性脂肪は肝臓で合成され、血液中へ送り出されます。一般的な脂肪肝では中性脂肪が高くなることが多いですが、肝臓の機能が著しく低下している場合や、極端なタンパク質不足を伴う脂肪肝などの場合、肝臓から中性脂肪を血液中にうまく分泌できず、数値が低くなることがあります(参考:日本消化器病学会 2)。

この場合、

「血液中の中性脂肪は低いのに、肝臓には脂肪が溜まっている」

という複雑な状態になっている可能性があり、注意が必要です。

「中性脂肪29mg/dL以下」は要注意!病気のリスクとは

中性脂肪の基準値は範囲がありますが、日本動脈硬化学会では30mg/dL未満を「低脂血症(低中性脂肪血症)」の診断基準の一つとしています(参考:日本動脈硬化学会 1)。これより低い場合は、背景に病気が隠れている可能性があります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺ホルモンは全身の代謝を活発にするホルモンです。このホルモンが出すぎると、代謝が異常に高まり、血液中の中性脂肪やコレステロールがどんどん消費されて低くなります。

一般的にバセドウ病は「食べているのに痩せる」のが特徴ですが、食欲が異常に亢進して摂取カロリーが代謝を上回っている場合など、約2割の症例で肥満が見られるという報告もあります(参考:日本学校保健会 3)。

「汗をかきやすい」「ドキドキする(動悸)」「手が震える」といった症状がある場合は要注意です。

重度のタンパク質不足・栄養吸収障害

中性脂肪は単独では血液中に存在できず、アポタンパクというタンパク質と結合して移動します。極端な偏食や胃腸の病気でタンパク質の吸収が悪いと、中性脂肪を運ぶことができず、数値が低くなります(参考:日本動脈硬化学会 1)。

現代人に多いのが、カロリー(糖質・脂質)は過剰で太っているのに、ビタミン・ミネラル・タンパク質が不足している状態です。この栄養バランスの乱れが、肥満と低中性脂肪を併発させる要因となり得ます。

数値が低いことによるデメリット・自覚症状

「中性脂肪が低い=サラサラで良いこと」と楽観視はできません。中性脂肪は体を動かす重要なエネルギー源であり、体温維持や臓器の保護にも使われます。数値が低すぎる状態が続くと、以下のような不調が現れます。

慢性的な疲労感・だるさ

エネルギーの貯蔵庫である中性脂肪が血液中に少ないため、いわば「ガス欠」の状態になりやすくなります。「寝ても疲れが取れない」「階段を上るだけですぐ息切れする」「常に体がだるい」といった症状は、低中性脂肪血症で見られるサインの一つです。

免疫力の低下・肌荒れ

脂質は細胞膜やホルモンの材料でもあります。不足すると肌や髪の潤いが失われたり、免疫機能が低下して風邪を引きやすくなったりします。「太っているのに寒がり」という人は、代謝エネルギーがうまく回っていない可能性があります。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では脂質異常症(中性脂肪の異常)でお困りの方に向け治験が行われています。

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治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

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ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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中性脂肪が低く、肥満気味な人がとるべき対策

では、この矛盾した状態を改善し、健康的に痩せるにはどうすればよいのでしょうか。

「バランスの良い食事」への回帰

「太っているから」と極端に油を抜いたり、食事を抜いたりするのは逆効果です。中性脂肪が低すぎる場合、まずはエネルギー代謝を正常に戻す必要があります。

特に

「良質なタンパク質(魚、大豆製品、鶏肉)」

を意識して摂りましょう。タンパク質は肝臓から脂質を運び出すのを助け、筋肉の材料となって基礎代謝を高めます。

運動の種類を見直す

中性脂肪が低い人は、激しい有酸素運動をやりすぎるとさらにエネルギー枯渇を招き、疲労困憊してしまうことがあります。

まずはスクワットなどの「筋力トレーニング(無酸素運動)」を取り入れ、筋肉量を増やすことに注力してください。筋肉が増えれば代謝が安定し、健康的な体重管理につながります。

医療機関での再検査項目

健康診断で「経過観察」と言われても、強い疲労感や体型の悩みがある場合は、内科や消化器内科、内分泌内科を受診することをおすすめします。その際、以下の項目について医師に相談してみてください。

  • 甲状腺ホルモン値(TSH、FT3、FT4): 代謝異常の有無を確認
  • 肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP): 肝機能の状態を確認
  • 腹部超音波検査(エコー): 肝臓や内臓脂肪の状態を視覚的に確認

まとめ

中性脂肪が低いのに太っているという状態は、体が「エネルギー不足」や「代謝バランスの乱れ」を起こしているSOSサインである可能性があります。

単に数値が低いことを喜ぶのではなく、背景にある食生活の偏りや、肝臓・甲状腺などの隠れたリスクに目を向けることが大切です。正しい知識を持ち、バランスの取れた生活に戻すことが、適正体重と真の健康を手に入れる第一歩となるでしょう。