「自分は几帳面な性格だから、リウマチになってしまったのだろうか」

「ストレスを溜め込みやすい性格が病気を招いたのかもしれない」

関節リウマチと診断された方や、関節の痛みに悩んでいる方の中には、このように自分の性格や心の持ちようを原因と考えて、自分を責めてしまう方が少なくありません。

ネット上でも「リウマチになりやすい性格」についての噂を目にすることがあるでしょう。

結論から申し上げますと、特定の性格が直接リウマチを引き起こすという医学的な根拠はありません(参考:日本リウマチ学会 1,2)。

しかし、性格と病気の状態には、決して無視できない「ストレス」というキーワードが隠されています。

この記事では、リウマチと性格・ストレスの関係、そして本当に注意すべき発症リスクについて、最新の知見に基づき詳しく解説します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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リウマチになりやすい性格は医学的に証明されているのか?

「性格が病気を作る」という考え方は、古くから議論されてきました。

リウマチに関しても、いくつかの性格傾向が指摘されることがありますが、その真実はどうなのでしょうか。

性格そのものが直接の原因になることはない

まず明確にしておきたいのは、関節リウマチは「自己免疫疾患」という病気であり、性格によって引き起こされるものではないということです。

リウマチは、本来は外敵から体を守るはずの免疫システムが、自分自身の関節を誤って攻撃してしまうことで起こります(参考:東京女子医科大学 3)。

この異常が起こる原因は、遺伝的な要因や環境要因(喫煙、感染症など)が複雑に絡み合っています。

そこに「特定の性格」が入り込む余地は現代医学の主要なリスク因子としては認められていません。

リウマチ患者さんに多いとされる性格傾向について

医学的な因果関係は証明されていませんが、過去の心身医学的な議論や俗説として、以下のような性格傾向が話題になることがあります。

  • 几帳面・真面目:
    • 物事を完璧にこなそうとし、責任感が強い。
  • 神経症的傾向:
    • 不安を感じやすく、細かなことが気にかかる。
  • 我慢強い・自己犠牲的:
    • 他人に迷惑をかけたくないと考え、自分の感情や痛みを抑え込んでしまう。

これらはあくまで過去の観察研究や印象に基づくものが多く、現在ではリウマチの直接的な原因とは考えられていません。

なぜ「性格が関係する」と言われるようになったのか?

過去に慢性的な痛みを持つ患者さんの心理傾向が研究された際、上記のような特徴が報告された背景があります。

しかし、これは「性格がリウマチを作った」のではなく、「リウマチという痛みの強い慢性疾患と向き合う過程で、不安や責任感が強まった」、あるいは「ストレスを溜め込みやすい人が、症状が悪化した状態で受診するため目立ちやすい」といった解釈が一般的です。

性格を責める必要は全くありません。

【重要】ストレスと関節リウマチの密接な関係

性格そのものは原因ではなくても、日々の生活における「ストレス」は、リウマチの悪化要因として注意が必要です(参考:産業医科大学 4)。

ストレスが免疫系に与えるダメージとは?

私たちの体は、強いストレスを受けると自律神経やホルモンバランスが乱れます。

リウマチは免疫の異常による病気であるため、過度なストレスは病状に影響を与える可能性があります

日常生活において、ストレス、紫外線、感染症などの悪化要因を避けることが、自己管理として推奨されています(参考:産業医科大学 4)。

精神的負担が「痛みの感度」を上げてしまうリスク

脳と体は密接につながっています。

不安やイライラ、抑うつ状態が続くと、脳の中で痛みを抑制するシステムがうまく機能しなくなることがあります。

その結果、関節の炎症以上に痛みを感じてしまう可能性があるため、心のケアも大切です。

我慢強い性格が重症化を招く理由

「周囲に心配をかけたくない」という我慢強い性格の方は、関節の腫れや痛みがあっても無理をしてしまいがちです。

その結果、適切な受診が遅れたり、安静が必要な時期に活動しすぎてしまったりすることで、関節の破壊が進んでしまうリスクがあります。

痛みがある時は無理をせず、主治医に相談することが重要です。

性格以外で注目すべき「リウマチになりやすい人」の特徴

リウマチの発症リスクとして、性格よりもはるかに重要で、医学的に指摘されている要因がいくつかあります。

【性別・年齢】40〜60代の女性に多い傾向

関節リウマチは男性よりも女性に多く、その差は約4倍と言われています。

発症年齢は40歳代から60歳代に多いとされていますが、最近ではさらに高齢で発症する方も増えています(参考:日本リウマチ学会 2)。

【生活習慣】喫煙は最大のリスク要因

性格を心配するよりも、まず目を向けるべきは「喫煙」です。

喫煙はリウマチの発症リスクとして環境要因の中で最も重要視されており、さらに治療薬の効果にも影響を与えることがわかっています(参考:日本リウマチ学会 2)。

禁煙は治療の一環としても非常に重要です。

【遺伝と体質】家族にリウマチがいる場合の影響

リウマチは完全に遺伝する病気ではありませんが、遺伝的要因の関与も指摘されています(参考:日本リウマチ学会 2)。

血縁者にリウマチ患者さんがいる場合は、禁煙や口腔ケアなど、変えられるリスク要因に気をつけることが推奨されます。

【口腔環境】歯周病とリウマチの関係

環境要因として、歯周病(歯周炎)の関与が知られています(参考:日本リウマチ学会 2)。

歯周病菌が免疫系に影響を与え、リウマチの発症や悪化に関連する可能性があるため、日頃からの口腔ケアを徹底することが大切です。

見逃さないで!関節リウマチの初期症状セルフチェック

リウマチは早期発見・早期治療が何より重要です。

「性格のせいかも」と悩む前に、以下の症状がないかチェックしてみましょう。

  • 朝起きた時の「関節のこわばり」:
    • 手が開きにくい、動かしにくい状態が続く。
  • 関節の腫れと痛み:
    • 左右対称に現れることが多いですが、片側だけのこともあります。
  • 複数の関節が痛む:
    • 手首や指の付け根、第二関節、足の指など、小さな関節から始まることが多いです。

これらの症状が続く場合は、リウマチ専門医を受診することをお勧めします。

早期に適切な治療(抗リウマチ薬や生物学的製剤など)を開始することで、関節破壊を防ぎ、寛解(症状が落ち着いた状態)を目指すことが可能です(参考:近畿大学病院 5)。

リウマチ患者さんが「してはいけないこと」と日常生活の注意点

健やかな毎日を送るためには、精神的なケアと物理的なケアの両立が必要です。

過度な安静や激しい運動の禁止

症状が強い時は安静が必要ですが、落ち着いている時期に全く動かさないでいると、関節の動きが悪くなったり筋力が低下したりします。

適度な運動やリハビリテーションを行い、機能を維持することが大切です(参考:日本リウマチ学会 2)。

喫煙の継続は治療効果を下げる可能性

前述の通り、喫煙はリウマチの発症リスクであるだけでなく、治療効果にも悪影響を及ぼす可能性があります。

禁煙は強く推奨されます。

一人で抱え込み、ストレスを放置すること

「自分が我慢すればいい」と考えず、周囲や医療スタッフに頼ることも大切です。

ストレスは悪化要因の一つとなり得るため、規則正しい生活を送り、心身の安静を保つことが求められます(参考:産業医科大学 4)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではリウマチでお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. リウマチは「わがまま病」と言われることがありますが本当ですか?

A. 全くの誤解であり、医学的な根拠のない偏見です。 かつて、リウマチ患者さんの痛みの訴えが強かったり、天候によって体調が左右されたりすることを指して、心ない言葉が使われた時代がありました。しかし、関節リウマチは免疫の異常により関節破壊を伴う深刻な疾患であり、本人の性格や気質とは無関係です(参考:日本リウマチ学会 2)。周囲の理解と適切な医療的サポートが必要です。

Q. 性格を変えればリウマチは治りますか?

A. 性格を変える必要はありませんが、ストレスを溜めない工夫は有効です。 性格そのものがリウマチの直接的な原因であるという医学的根拠はありませんので、無理に性格を変えようとする必要はありません。ただし、ストレスは免疫系に影響を与え、症状を悪化させる要因の一つとなり得ます(参考:産業医科大学 4)。「完璧を目指さない」「辛い時は周囲に頼る」といった、ストレスを減らすための考え方を取り入れることは、治療生活を続ける上でプラスになります。

Q. ストレスを減らすために具体的に何をすればいいですか?

A. 規則正しい生活と、まずは「痛みのコントロール」が重要です。 ストレスを減らすためには、十分な睡眠やバランスの取れた食事など、規則正しい生活を送ることが基本です(参考:産業医科大学 4)。また、痛みが続くこと自体が大きなストレスとなります。趣味などでリラックスする時間を持つことも大切ですが、まずは主治医と相談して適切な薬物治療を行い、痛みをしっかりと取り除くことが、精神的な安定にもつながります。

まとめ:性格を責めず、適切な治療とストレスケアを

「リウマチになりやすい性格」という言葉に、心を痛める必要はありません。

リウマチの原因は、性格ではなく、遺伝的要因や環境要因(喫煙、歯周病など)が複雑に関与した免疫の異常です。

現代のリウマチ治療は飛躍的に進歩しており、早期に適切な治療を始めれば、関節破壊を防ぎ、健康な人と変わらない生活を送ることも十分可能です。

一人で悩まず、まずはリウマチ専門医に相談し、科学的根拠に基づいた治療とケアを行っていきましょう。

参考資料・文献一覧

  1. 一般社団法人 日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2024」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00843/
  2. 一般社団法人 日本リウマチ学会「関節リウマチ(RA)」 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansetsu-riumachi/
  3. 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター「膠原病とは」 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/kougenbyo/about-kougenbyo.html
  4. 産業医科大学医学部第一内科学講座「膠原病の最近の考え方 ━ どこまでわかって、どのように治せるか ━」 https://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/1nai/pdf/colkanja-collargen.pdf
  5. 近畿大学病院「リウマチ・膠原病の治療」 https://www.med.kindai.ac.jp/diseases/rheumatism_collagen_disease.html