「最近、仕事でのミスが増えた」「人の名前がどうしても思い出せない」 働き盛りの40代・50代でこのような変化を感じると、「もしかして若年性アルツハイマーでは?」と不安になることがあるかもしれません。

若年性アルツハイマー型認知症は、65歳未満で発症する認知症の一つです。

高齢者の認知症とは異なり、現役世代を襲うため、仕事や家庭への経済的・社会的影響が非常に大きいのが特徴です(参考:厚生労働省 4)。

しかし、過度に恐れる必要はありません。

近年の研究や調査により、「なりやすい人の傾向(リスク因子)」が明らかになってきています。

リスクを知ることは、最大の予防策になります。

本記事では、医学的なリスク要因から、生活習慣との関連性まで、若年性アルツハイマーになりやすい人の特徴を解説します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

物忘れ・若年性アルツハイマーでお困りの方へ

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※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

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【性格・行動編】性格そのものではなく「孤立」に注意

インターネット上の情報などで、「協調性がない人がなりやすい」「頑固な人がなりやすい」といった説を見かけることがありますが、医学的なガイドラインにおいて、特定の「性格」そのものが若年性アルツハイマー型の直接的な原因として断定されているわけではありません(参考:日本神経学会 1)。

しかし、性格や行動パターンが、間接的にリスクを高める要因につながる可能性は指摘されています。

「社会的孤立」のリスク

「人付き合いを避ける」「閉じこもりがちである」という状態は、認知症のリスク因子の一つである「社会的孤立」につながる可能性があります(参考:厚生労働省 5)。

他者とのコミュニケーションは脳への良質な刺激となりますが、孤立することでその機会が失われ、認知機能の低下を招きやすくなると考えられています。

うつ状態・ストレスとの関係

「くよくよ悩みやすい」「慢性的なストレスを感じている」場合、注意が必要です。

うつ病やうつ状態は、認知症の危険因子の一つとして知られています(参考:日本神経学会 1)。 

心の健康を保つことは、結果として脳の健康を守ることにつながります。

【現代病】スマホ過剰使用と脳の疲労

近年、スマートフォンやデジタルデバイスの過度な使用による影響が懸念されています。

医学的に「デジタル認知症」という正式な診断名は確立されていませんが、常に大量の情報を浴び続けることで脳が疲れ、集中力や記憶力が一時的に低下する状態は起こり得ます。

また、画面を見ることに時間を費やし、運動や対人コミュニケーション(認知症の防御因子)の時間が減ってしまうことは避けるべきです。

【生活習慣・病歴編】医学的にリスクが高い人の共通点

性格的な要因以上に、より直接的かつ医学的な根拠(エビデンス)が強いのが「生活習慣」と「病歴」です。

生活習慣病(糖尿病・高血圧)がある人

糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、認知症の重要な危険因子です(参考:日本神経学会 1)。

特に糖尿病の人は、そうでない人に比べてアルツハイマー型認知症の発症リスクが高まることが知られています。

高血糖による血管へのダメージや代謝異常が、脳の神経細胞に悪影響を与えると考えられています。

喫煙・運動不足の積み重ね

若い頃からの生活習慣の積み重ねが重要です。

  • 喫煙: 脳卒中や心血管疾患のリスクを高め、認知症のリスクにもつながります(参考:日本神経学会 1)。
  • 運動不足: 運動は、糖尿病などの生活習慣病を予防するだけでなく、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現などを介して脳を保護する可能性があります。定期的な運動習慣がない人は、リスクが高い状態と言えます(参考:厚生労働省 5)。

頭部外傷の経験がある人

過去に重度の頭部外傷を負った経験がある場合、将来的な認知症発症のリスク因子となる可能性があります(参考:日本神経学会 1)。

【遺伝と家系】親が認知症だと必ず遺伝するのか?

「親が若年性アルツハイマーだったから、自分も必ずなるのではないか」と深く悩んでいる方も少なくありません。

「家族性アルツハイマー病」はごく一部

遺伝子の変異が原因で発症する「家族性アルツハイマー病」は確かに存在しますが、これはアルツハイマー型認知症全体のごく一部(数%程度)に過ぎません(参考:日本神経学会 1)。

親が発症したからといって、必ずしも子供に遺伝するわけではありません。

遺伝よりも「生活習慣の共有」に注意

遺伝子そのものよりも、食生活や運動習慣といった「生活習慣」が親子で似ることにより、結果として糖尿病などのリスク因子を共有してしまうことに注意が必要です。

生活習慣を改善することで、リスクを低減できる可能性があります。

もしかして…?と思ったら確認したい初期症状チェック

リスク要因に当てはまる項目が多い場合、自身の体調変化に敏感になることが大切です。

若年性アルツハイマーの初期症状は、単なる「加齢による物忘れ」とは異なります。

「加齢による物忘れ」と「認知症」の違い

  • 加齢による物忘れ: 「昨日の夕食のメニュー」を忘れる(体験の一部を忘れる)。ヒントがあれば思い出せる。自覚がある。
  • 認知症: 「夕食を食べたこと自体」を忘れる(体験そのものが抜け落ちる)。ヒントがあっても思い出せない(参考:厚生労働省 4)。

仕事・家事で現れるサイン

現役世代の場合、日常生活よりも高度な脳機能を使う「仕事」の場面で最初に異変が現れやすいという調査結果があります。

  • 職場や家事などでのミスが増える(参考:厚生労働省 2)。
  • 慣れているはずの仕事の段取りが組めなくなる。
  • 約束の日時を間違えることが増える。

今からでも遅くない!発症リスクを下げる3つの予防習慣

「なりやすい人」の特徴に当てはまったとしても、今日からの行動変容が予防につながります。

1. 【食事】バランスの良い食事と生活習慣病管理

糖尿病などの生活習慣病を予防・管理することが最優先です。

特定の食品に偏るのではなく、野菜、魚、果物などをバランスよく摂取し、カロリーや塩分を控えることが推奨されます(参考:国立長寿医療研究センター 3)。

2. 【運動】デュアルタスク(考えながら動く)のすすめ

運動習慣は認知機能低下の抑制に有効です。

さらに、国立長寿医療研究センターなどが検証を進めている「コグニサイズ」のように、運動と認知課題(計算やしりとりなど)を同時に行う「デュアルタスク」を含んだ多因子介入が、認知機能の維持・改善に効果的であることが報告されています(参考:国立長寿医療研究センター 3)。

3. 【社会】社会参加とコミュニケーション

仕事をリタイアした後や休職中などに社会的接触が減ると、認知機能に悪影響を与える可能性があります。

趣味の活動、ボランティア、地域の集まりなどに参加し、他者との交流を持ち続けることが、脳への刺激となりリスク軽減につながります(参考:厚生労働省 5)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では物忘れや若年性アルツハイマーでお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

まとめ:不安な場合は専門外来へ

若年性アルツハイマーのリスクは、遺伝的な要素だけでなく、生活習慣や社会との関わり方といった後天的な要素も大きく関わっています。

もし、「明らかに以前の自分と違う」と感じたり、仕事に支障が出始めたりしている場合は、一人で悩まずに早めに医療機関(もの忘れ外来、神経内科、精神科など)や、地域包括支援センターなどの相談窓口を受診・相談してください(参考:厚生労働省 4)。

早期に発見し、適切な医療や支援を受けることで、生活の質を維持していくことが可能です。

参考資料・文献一覧

  1. 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00408/
  2. 厚生労働省「若年性認知症実態調査結果概要 (令和2年3月)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001324264.pdf
  3. 国立長寿医療研究センター「遺伝的にアルツハイマー型認知症の発症リスクが高い高齢者に多因子介入を行うことで認知機能の改善を確認」 https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/2023/22xx-23.pdf
  4. 厚生労働省「若年性認知症(パンフレット)」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/guidebook_1.pdf

厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/nop1-2_3.pdf