健康診断や眼科の検査で「眼圧が高い」と指摘され、不安を感じていませんか?

「特に自覚症状はないのに、なぜ?」「スマホの見すぎがいけないの?」と、原因を探している方も多いかもしれません。

実は、眼圧が上がる原因は目の病気だけではありません。

姿勢や運動、薬の副作用、そして日々の生活習慣など、様々な要因が複雑に関係しています

この記事では、眼圧が上がる医学的なメカニズムから、日常生活で注意すべき「意外なNG行動」を徹底解説。

ストレスやスマホとの関係について、最新のガイドラインや医学的根拠に基づいてわかりやすく紹介します。

正しい知識を身につけ、今日からできる対策を一緒に見ていきましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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そもそも「眼圧」が上がるとはどういう状態?(メカニズムの基礎)

眼圧とは、簡単に言えば「目の硬さ」のことです。

ボールに空気が入って張っている状態をイメージしてください。

この張りを保っているのが「房水(ぼうすい)」という透明な液体です(参考:日本眼科医会 5)。

目を形作る「房水(ぼうすい)」の役割と流れ

私たちの目の中では、血液の代わりに房水という液体が循環しています。

房水は、目の組織に酸素や栄養を届け、老廃物を運び出す重要な役割を担っています。

この房水は、「毛様体(もうようたい)」という蛇口のような場所で作られ、目の内側を循環した後、「隅角(ぐうかく)」という排水口(線維柱帯)から目の外へと流れ出ていきます(参考:日本緑内障学会 1)。

眼圧が上がる主な仕組み(排水口の詰まりと産生過多)

眼圧が一定に保たれているのは、房水の「作られる量」と「出ていく量」のバランスが取れているからです。

眼圧が上がる主な原因は、このバランスが崩れることにあります。

  • 排水口の詰まり(流出抵抗の増大):
    • 最も多い原因です。排水口(線維柱帯)が目詰まりを起こしたり、狭くなったりすることで、房水がうまく外へ流れ出なくなり、目の中に溜まって圧力が上がります。
  • 出口が塞がる(閉塞隅角):
    • 虹彩(茶目)が排水口を物理的に塞いでしまう状態です。これにより急激に眼圧が上がることがあります(参考:日本眼科学会 6)。

眼圧の正常値と「個人差」について

日本緑内障学会のガイドラインによると、眼圧の正常値は一般的に10~21mmHgとされています(参考:日本緑内障学会 1)。 

しかし、眼圧には個人差があり、「正常範囲内だから安心」とも、「高いからすぐに病気」とも言い切れないのが難しいところです。

実際、日本人の緑内障患者の約7割は、眼圧が正常範囲内である「正常眼圧緑内障」だと言われています(参考:国立国際医療研究センター 4)。

逆に、眼圧が高くても視神経に障害がない「高眼圧症」という状態もあります。

数値だけに囚われず、目の状態全体を診ることが大切です。

【医学的原因】眼圧上昇を引き起こす主な疾患・要因

まずは、治療が必要となる医学的な原因について解説します。

緑内障(開放隅角緑内障・閉塞隅角緑内障)

眼圧上昇の原因として最も注意が必要なのが緑内障です。

  • 原発開放隅角緑内障:
    • 排水口(隅角)は開いているのに、フィルター部分(線維柱帯)が徐々に目詰まりを起こし、ゆっくりと眼圧が上がるタイプです。自覚症状がほとんどないまま進行することが特徴です。
  • 原発閉塞隅角緑内障:
    • 排水口(隅角)が狭くなり、塞がってしまうタイプです。急激に眼圧が上昇する「急性発作」を起こすことがあり、この場合は激しい目の痛みや頭痛、吐き気を伴います(参考:日本眼科学会 6)。

薬剤の影響(ステロイドなど)と全身疾患

意外と知られていないのが、薬の副作用による眼圧上昇です。

特にステロイド薬(点眼、内服、軟膏、吸入など)を使用している場合、「ステロイドレスポンス」と呼ばれる反応で眼圧が上がることがあります(参考:厚生労働省 2)。

  • ステロイド緑内障:
    • ステロイドの使用によって房水の排出能力が低下し、眼圧が上昇します。アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症の治療でステロイドを使用している方は、定期的な眼圧検査が推奨されます(参考:厚生労働省 2)。

目の怪我や炎症(ぶどう膜炎など)

目に強い衝撃を受けたり(打撲など)、ぶどう膜炎などの炎症性の病気があったりすると、炎症細胞が排水口を詰まらせて眼圧が上がることがあります。

これを「続発緑内障」と呼びます。

【生活習慣】知らずにやっていない?眼圧を上げやすい行動と環境

「病気ではないのに眼圧が高い」と言われた場合、日常生活の中に原因が潜んでいるかもしれません。

ここでは、眼圧に影響を与えうる生活習慣について紹介します。

「うつ伏せ寝」や「枕の高さ」などの姿勢

寝ている時の姿勢は眼圧に大きく影響します。

  • うつ伏せ寝:
    • 眼球が物理的に圧迫されるため、眼圧が上昇するリスクがあります(参考:東京医科大学病院 3)。
  • 低い枕・高い枕:
    • 枕が極端に低く頭が心臓より低い位置にあったり、逆に高すぎて首が圧迫されたりすると、静脈圧が上がり、眼圧上昇につながる可能性があります。
  • 逆立ち:
    • 頭が下になる姿勢は、顔への血流が増え、眼圧を急激に上げることが知られています(参考:東京医科大学病院 3)。

カフェイン・アルコール・喫煙の影響

  • カフェイン:
    • 大量のカフェイン摂取後に一時的な眼圧上昇が報告されています。コーヒー1〜2杯程度であれば大きな問題はないとされていますが、緑内障の心配がある方は飲み過ぎに注意が必要です(参考:東京医科大学病院 3)。
  • アルコール:
    • 飲酒直後は一時的に眼圧が下がることが多いですが、長期的・過度な飲酒は視神経に悪影響を与える可能性があります。
  • 喫煙:
    • 血管を収縮させ血流を悪くするほか、酸化ストレスにより目の組織にダメージを与えます。眼圧だけでなく、緑内障の進行リスク因子となります(参考:日本緑内障学会 1)。

激しい運動(筋トレ)と有酸素運動の違い

運動は目に良い影響も悪い影響も与え得ます。

  • 無酸素運動(筋トレなど):
    • 息を止めて強く力むような動作(バルサルバ効果)は、一時的に眼圧を上昇させます。過度な重量挙げなどは注意が必要です(参考:東京医科大学病院 3)。
  • 有酸素運動:
    • ウォーキングや軽いジョギングなどは、血流を良くし、眼圧を下げる効果が期待できるという報告もあり、推奨されています。

ネクタイや衣服による首の圧迫

きついネクタイやタートルネックなどで首元を締め付けると、頸静脈が圧迫され、目から血液が戻りにくくなることで眼圧が上がることがあります。

リラックスできる服装を心がけましょう(参考:東京医科大学病院 3)。

よくある疑問「ストレス」や「スマホ」で眼圧は上がる?

検索でもよく調べられている「ストレス」や「スマホ」との関係について、医学的な視点から解説します。

ストレスと眼圧の関係(自律神経と血流)

「ストレスで眼圧が上がった」と感じる方は少なくありません。

医学的には、ストレスが直接的に眼圧を永続的に上げるという確固たるエビデンスは限定的ですが、自律神経の乱れが関与していると考えられています。

過度なストレスで交感神経が優位になると、血管が収縮したり血圧が変動したりすることで、結果的に眼圧や目の血流に悪影響を及ぼす可能性があります。

スマホ・PCの長時間使用が目に与える影響の真実

「スマホを見すぎると緑内障になる」と直接的に結びつける強い証拠はまだありませんが、以下の点から間接的なリスクが指摘されています。

  • うつむき姿勢:
    • スマホを見るために長時間うつむいていると、眼圧が上がりやすくなります(参考:東京医科大学病院 3)。
  • 眼精疲労:
    • 目を酷使することで自律神経が乱れたり、目の血流が悪くなったりする可能性があります。

一時的な上昇と慢性的な上昇の違い

重要なのは、「一時的な上昇」と「慢性的な病気」を区別することです。

例えば、力んだり、水を一気に飲んだりすれば、誰でも一時的に眼圧は上がります。

健康な目であればすぐに元に戻りますが、緑内障などで排出機能が弱っていると、上がった眼圧が下がりにくく、視神経にダメージを与えてしまう恐れがあります(参考:東京医科大学病院 3)。

眼圧が高いと指摘されたらどうする?検査と対策

健康診断などで「高眼圧」を指摘された場合、放置するのは非常に危険です。

眼科で行う詳しい検査

眼圧が高い原因を突き止め、治療が必要かを判断するために、眼科では以下のような検査を行います。

  • 眼圧検査:
    • 空気を当てたり直接触れたりして測定します。日内変動(1日の中での変化)を見ることもあります(参考:日本緑内障学会 1)。
  • 隅角検査:
    • 排水口(隅角)が広いか狭いかを確認し、緑内障のタイプを判断します。
  • 眼底・OCT検査:
    • 視神経にダメージがないか、網膜の厚みを詳しく調べます。
  • 視野検査:
    • 視野が欠けていないかを確認します。

自分でできる対策と生活習慣の改善ポイント

眼科医の指導の下、治療が必要な場合は点眼薬などを使用しますが、並行して生活習慣を見直すことも大切です。

  1. 禁煙する:
    • 視神経の血流を守るために最も重要です(参考:日本緑内障学会 1)。
  2. 適度な有酸素運動:
    • 1日30分程度のウォーキングなどを習慣にしましょう。
  3. 睡眠環境の改善:
    • 枕の高さを調整し、うつ伏せ寝を避けます。睡眠時無呼吸症候群の治療も眼圧管理に有効です(参考:東京医科大学病院 3)。
  4. 定期的な水分摂取:
    • 一気に大量の水を飲むと眼圧が上がりやすいため、こまめに少量ずつ飲むのが良いとされています(参考:東京医科大学病院 3)。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では眼圧の高さが気になるの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

まとめ

眼圧が上がる原因は、房水の出口が詰まるなどの目の構造的な問題から、ステロイドなどの薬剤、そして喫煙や姿勢といった生活習慣まで多岐にわたります。

大切なのは、「眼圧が高い=すぐに失明する」と過度に恐れることではなく、「なぜ上がっているのか」を眼科で正しく診断してもらうことです。

特に緑内障は初期症状がないため、定期検診が視力を守る唯一の手段と言っても過言ではありません。

「スマホを見すぎたからかな?」と自己判断で終わらせず、一度眼科を受診して、自分の目の状態を正しく知ることから始めましょう。

参考資料・文献一覧

  1. 一般社団法人日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」 https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf
  2. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 緑内障」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1o05.pdf
  3. 東京医科大学病院「第127回市民公開講座『緑内障~正しく理解し』」 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/info/data/lecture_127.pdf
  4. 国立研究開発法人国立国際医療研究センター「緑内障とは」 https://www.hosp.jihs.go.jp/aboutus/medicalnote/s033/002/index.html
  5. 公益社団法人日本眼科医会「緑内障ってどんな病気?」 https://www.gankaikai.or.jp/health/49/index.html
  6. 公益財団法人日本眼科学会「目の病気 緑内障」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=35