「全身が痛くて動けない日がある」

「食事を変えれば、この痛みが少しは楽になるのではないか?」

線維筋痛症の耐え難い痛みや疲労感に悩み、わらにもすがる思いで情報を探している方は少なくありません。

インターネット上には「あれを食べてはいけない」「これが毒になる」といった情報が溢れており、何を食べればよいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。

結論からお伝えすると、現時点での医学的なガイドラインにおいて、線維筋痛症の方が「絶対に食べてはいけない」と断定されている食品はありません(参考:日本線維筋痛症学会 1)。

しかし、体の調子を整えるという観点から、食生活を見直すことで体調が良いと感じるケースはあるかもしれません。

この記事では、公的な医学見解と、一般的に言われている食事のポイントについて整理し、あなたが今日から無理なく取り組める内容について解説します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

線維筋痛症でお困りの方へ

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線維筋痛症に「食べてはいけないもの」は存在するのか?

まず、最も重要な「医学的な事実」と、なぜ食事制限の情報が出回っているのかという背景について整理します。

医学的なガイドラインの見解(公的情報)

厚生労働省の統合医療情報発信サイト(eJIM)や、国内の診療ガイドラインにおいて、線維筋痛症の原因となる特定の食品や、一律に禁止すべき食品は指定されていません(参考:厚生労働省eJIM 2)。

線維筋痛症の原因は脳の神経システムの問題(中枢性感作)などが考えられていますが、特定の食べ物が直接的に病気を引き起こすという科学的根拠は現時点では確立されていないのです。

むしろ、「これを食べてはいけない」と神経質になりすぎて、食事の楽しみを失ったりストレスを溜め込んだりすることの方が、症状を悪化させるリスクがあります。

なぜ「食べてはいけない」という情報があるのか?

一方で、インターネット上などでは様々な食事指導の情報が見られます。

これらは主に「慢性炎症」や「腸内環境」へのアプローチに基づいた仮説であることが多いです。

  • 炎症の抑制:
    • 体内の微細な炎症が痛みを増幅させている可能性があると考え、炎症に関与しそうな食品を避けるという考え方。
  • 脳腸相関:
    • 「腸」と「脳」は密接に関係しているため、腸内環境を整えることで、脳が感じるストレスや痛みを緩和しようとする考え方。

これらは現時点では医学的に確立された治療法ではありませんが、健康維持のためのセルフケアとして取り入れられることがあります。

一般的に「注意が必要」と言われる食品とその理由

ここでは、一般的に「控えたほうがよい」と言われることがある食品について、その理由と医学的な現状を解説します。

1. 糖質の多い食品(白砂糖・清涼飲料水)

お菓子やジュースに大量に含まれる砂糖などが、血糖値の変動を通じて自律神経に影響を与えるという説があります。

医学的なガイドラインで糖質制限が推奨されているわけではありませんが、過剰な糖分摂取を控えることは一般的な健康維持の観点からも有益です。

2. 食品添加物や加工食品

一部の研究では、食品添加物(グルタミン酸ナトリウムや人工甘味料など)の過剰摂取が症状に影響を与える可能性について議論されることがありますが、明確な結論は出ていません(参考:日本線維筋痛症学会 1)。

痛みが強くて料理ができない時は加工食品に頼らざるを得ないこともあると思いますので、「毎日毎食」にならないように気をつける程度から始めましょう。

3. グルテン(小麦)・カゼイン(乳製品)

パンやパスタに含まれる「グルテン」や、牛乳・チーズに含まれる「カゼイン」を避ける食事法(グルテンフリー等)が話題になることがあります。

しかし、セリアック病などの特定の疾患がない限り、線維筋痛症の治療としてこれらの除去が有効であるという十分な医学的根拠は日本のガイドラインには示されていません。

体調の変化を見ながら慎重に判断することをおすすめします。

4. ナス科の野菜(トマト・ナス・ジャガイモなど)

一部の海外の情報などでは、ナス科の野菜に含まれる成分が症状に影響するという説が見られます。

ただし、これについては公的な医学的根拠は確認されていません。

これらはビタミンやミネラルも豊富な野菜ですので、明確に食べて体調が悪くなる場合を除き、過度に制限する必要はないでしょう。

逆に「積極的に摂りたい」栄養素と食事の工夫

「避けるもの」ばかり考えていると食事が辛くなります。

プラスの栄養素を摂ることに目を向けましょう。

抗酸化作用のある食材

酸化ストレスへの対策として、抗酸化作用のある食品や成分が注目されることがあります。

例えば、コエンザイムQ10などはガイドライン等でも研究報告として取り上げられることがあります(参考:日本線維筋痛症学会 1)。

  • ビタミンC、E(ブロッコリー、カボチャ、ナッツ類など)
  • ポリフェノール(ベリー類、緑茶など)

腸内環境を整える食事

腸を元気にすることは、全身のコンディションを整えることに繋がります。

  • 発酵食品(納豆、味噌、ぬか漬け)
  • 水溶性食物繊維(海藻、オクラ、もち麦など) ※お腹の調子に合わせて、無理のない範囲で取り入れましょう。

無理のない食事スタイルの提案

線維筋痛症の方は、痛みでキッチンに立つのも辛い日があるはずです。

完璧な自炊を目指す必要はありません。

  • 置き換えの工夫:
    • おやつをクッキーから「素焼きナッツ」などに変えてみる。
  • 手抜きもOK:
    • コンビニを使うなら、バランスを考えて「おにぎり」や「サラダチキン」を選んでみる。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では線維筋痛症でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. コーヒーやカフェインは避けるべきですか?

A. カフェインを避けるべきという明確な医学的根拠はありませんが、不眠は線維筋痛症の症状を悪化させる要因の一つです。睡眠の質を確保するために、夕方以降はカフェインを控えるなどの工夫は有効かもしれません。

Q. 断食(ファスティング)は効果がありますか?

A. 断食が線維筋痛症に有効であるという公的な医学的推奨はありません。自己流の断食は体調を崩すリスクもあるため、行う場合は必ず主治医に相談してください。

Q. ヨーグルトは食べても大丈夫ですか?

A. 腸内環境に良い食品ですので、基本的には問題ありません。ただし、体質に合わないと感じる場合は無理に食べる必要はありません。

まとめ:食事は「治療」の補助。ストレスを溜めないバランスが大切

線維筋痛症において、「これを食べたら絶対に治る」「これを食べたら即悪化する」という魔法のような食品も、猛毒のような食品も医学的には確認されていません。

大切なのは、以下の3点です。

  1. 医学的には「禁止食品」はないと知る(過度な恐怖心を持たない)。
  2. 栄養バランスの良い食事を心がける
  3. 自分の体調と相談する(食べた後にだるくなるものは控える)。

食事の工夫は、あくまで治療をサポートし、あなたのQOL(生活の質)を上げるための手段の一つです。

制限すること自体がストレスになっては本末転倒です。

「今日は体に優しいものを選べた」と、できた自分を褒めながら、できる範囲で食事を見直してみてください。

参考資料・文献一覧

  1. 日本線維筋痛症学会「線維筋痛症診療ガイドライン 2017」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00443/
  2. 厚生労働省eJIM「線維筋痛症[各種疾患 – 医療者]」 https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c05/17.html