健康診断の結果を見て、「肝機能の数値が高い」という判定に驚かれたことはありませんか?

「お酒はそれほど飲まないのに、なぜ?」「自覚症状は何もないのに…」と疑問に思う方も多いでしょう。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなりのダメージを受けていても痛みや不調といったサインを出しにくい臓器です。

だからこそ、健康診断の数値(AST, ALT, γ-GTPなど)は、肝臓が発している数少ない「SOS」のサインと言えます。

この記事では、肝臓の数値が高くなる原因や、放置した場合のリスクを徹底解説。

また数値を下げるために今日から始められる具体的な生活習慣について、専門的なガイドラインや研究データを交えて紹介します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

肝機能障害でお困りの方へ

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1. そもそも「肝臓の数値が高い」とは?検査項目の見方と基準値

健康診断で「肝機能障害」や「肝機能異常」を指摘された場合、主に以下の3つの項目のいずれか、または複数が基準値を超えていることを意味します。

これらの数値は、肝臓の細胞が何らかの原因で破壊されたり、胆汁の流れが悪くなったりしたときに血液中に漏れ出てくる酵素の量を示しています。

健康診断で見るべき3つの指標(AST, ALT, γ-GTP)

  1. AST(GOT)
    • 肝臓だけでなく、心臓や筋肉、赤血球などにも存在する酵素です。肝臓の細胞が壊れると血液中に流れ出します。心筋梗塞や筋肉の病気でも上がることがあります。
  2. ALT(GPT)
    • 主に「肝臓」に多く存在する酵素です。ASTよりも肝臓特異性が高いため、ALTの上昇は肝臓がダメージを受けていることをより直接的に示唆します。
  3. γ-GTP(ガンマGTP)
    •  肝臓や胆管の細胞に存在し、胆汁の流れが悪くなると上昇します。また、アルコールに敏感に反応するため、飲酒量の多い人で高くなりやすい特徴があります。

重要な基準値「ALT 30」の壁

数値の見方は医療機関によって多少異なりますが、近年、日本肝臓学会は「ALT 30 U/L超」を重要な目安として提唱しています(奈良宣言2023)。

 たとえ「基準値内(例:ALT 40など)」と判定されても、30を超えている場合は、自覚症状がなくても隠れた慢性肝臓病のリスクがあるとして、かかりつけ医への相談が推奨されています(参考:日本肝臓学会 1)。

どのくらいの数値だと「やばい」のか?

「少し高い程度なら大丈夫」と自己判断するのは危険です。

健康診断の基準を大きく超えている場合、肝臓で炎症が起きている可能性が高くなります

具体的な数値だけで重症度を完全に判断することはできませんが、数値が高い状態が続くことは、肝細胞の破壊が進行していることを意味します。

特に、急激に数値が上昇した場合や、黄疸などの症状を伴う場合は、急性肝炎などの緊急性が高い状態も考えられるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。

2. お酒だけじゃない!肝臓の数値が高くなる「5つの主な原因」

「肝臓が悪い=お酒の飲み過ぎ」というイメージが強いですが、実はお酒を全く飲まない人でも肝臓の数値が悪くなることは珍しくありません。

主な原因を見ていきましょう。

①アルコールの飲み過ぎ(アルコール性肝障害)

長期間にわたり大量のアルコールを摂取し続けると、肝臓でアルコールを分解する過程で中性脂肪が蓄積したり、炎症が起きたりします。

診断基準の一つとして、1日平均60g以上の純エタノール(ビール中瓶3本相当)を摂取する生活が続くと、アルコール性肝障害のリスクが高まるとされています(参考:アルコール医学生物学研究会 2)。

特に γ-GTP の値が単独で高い場合は、アルコールの影響が強く疑われます。

②食べ過ぎ・肥満による「脂肪肝」(NAFLD/NASH)

近年急増しているのが、お酒を飲まない(または少量しか飲まない)にもかかわらず、肝臓に脂肪がたまる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」です。

原因は、食べ過ぎ、運動不足、肥満、糖尿病などによる「余剰カロリー」です。

肝臓は余ったエネルギーを中性脂肪として蓄えますが、これが溜まりすぎると肝細胞に炎症を起こし、肝硬変へと進行する「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に至ることがあります(参考:日本消化器病学会・日本肝臓学会 3)。

「お酒を飲まないから大丈夫」と思っている方こそ、食事内容や体重増加に注意が必要です。

③薬剤やサプリメントの影響(薬剤性肝障害)

意外な原因として、普段服用している薬やサプリメントが肝臓に負担をかけている場合があります。

痛み止め、抗生物質、漢方薬、あるいは健康のために飲んでいるサプリメントであっても、体質に合わないと肝障害を引き起こすことがあります(参考:厚生労働省 4)。

「急に数値が上がった」という場合は、直近で飲み始めた薬やサプリがないか医師に伝えることが重要です。

④ウイルス性肝炎(B型・C型など)

B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染により、慢性的な炎症が起きているケースです。

これらは血液や体液を介して感染しますが、自覚症状がほとんどないまま進行し、検診で初めて発覚することもあります。

国内の肝がんの主要な原因の一つであるため、一度も検査を受けたことがない方は、肝炎ウイルス検査を受けることが推奨されます(参考:日本消化器病学会・日本肝臓学会 5)。

⑤ストレスや過労は関係ある?

「ストレスで肝臓の数値が上がりますか?」という質問については、医学的に「ストレスそのもの」が直接ASTやALTを上昇させるという明確な根拠は示されていません。

しかし、ストレス解消のための「暴飲暴食」や「アルコール量の増加」が、結果として肝臓に負担をかけ、数値を悪化させる大きな要因となります。

生活習慣の乱れには注意が必要です。

3. 肝臓の数値が高いまま放置するとどうなる?

「痛くないから」といって高い数値を放置し続けると、肝臓の状態は静かに、しかし確実に悪化していきます。

脂肪肝から「肝硬変」「肝がん」への進行リスク

慢性的な炎症が続くと、肝臓の細胞は壊れては再生することを繰り返します。

この過程で肝臓の中に「線維」が増え、肝臓全体が硬く小さくなってしまうのが「肝硬変」です。

肝硬変になると、肝臓の機能が著しく低下し、黄疸、腹水、出血しやすくなるなどの症状が現れます。

さらに、肝硬変は「肝がん」の発生リスクを高めることが知られています(参考:日本消化器病学会・日本肝臓学会 5)。

脂肪肝から肝硬変・肝がんへ進行するケースも増えているため、早期の対策が必要です。

全身疾患との関連

肝臓の異常は、肝臓だけの問題にとどまりません。

肝臓に脂肪がたまっている状態は、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病と深く関わっており、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があります。

4. 今日からできる!肝臓の数値を下げるための改善方法

肝機能の数値が高い原因が「生活習慣(お酒や肥満)」にある場合、生活を見直すことで数値の改善が期待できます。

【食事編】肝臓をいたわる食べ物・避けるべき食べ物

食事療法では、バランスの良い食事と適正カロリーの摂取が基本です(参考:大阪医科薬科大学 6)。

  • 積極的に摂りたいもの:
    • 良質なタンパク質: 魚、大豆製品、脂身の少ない肉など。
    • 野菜・海藻・きのこ類: ビタミン、ミネラル、食物繊維を補います。
    • コーヒー: 砂糖なしのブラックコーヒーを飲む習慣がある人は、肝がんの発生リスクが低いという研究報告があります(参考:国立がん研究センター 7)。
  • 避けるべき・減らすべきもの:
    • 果糖(フルクトース): 果物の食べ過ぎや、ジュースに含まれる糖分は、中性脂肪になりやすいため注意が必要です(参考:大阪医科薬科大学 6)。
    • お菓子・加工食品: 糖質と脂質の過剰摂取につながります。
    • 夜遅くの食事: 就寝前の食事は脂肪として蓄積されやすいため、原則として控えましょう。 (※注:ただし、肝硬変と診断されている患者さんの場合は、栄養不足を防ぐために就寝前に特定の軽食(LES)やBCAA製剤を摂る治療法が行われることがあります。必ず主治医の指示に従ってください (参考:日本消化器病学会・日本肝臓学会 5)。)

【生活習慣編】お酒の適量と休肝日の作り方

お酒が原因の方は、「節酒」が最も効果的です。

がん予防の観点などからは、1日あたりの純アルコール摂取量は20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)に留めることが推奨されています(参考:国立がん研究センター 8)。

また、週に2日以上の休肝日を設けることも大切です。

【運動編】脂肪肝を解消する有酸素運動と筋トレ

内臓脂肪や肝臓についた脂肪を燃焼させるには、運動が推奨されます。

有酸素運動(ウォーキングなど)に加えて、レジスタンス運動(筋トレ)を行うことも有効であるとガイドラインで示されています(参考:日本消化器病学会・日本肝臓学会 3)。

無理のない範囲で継続することが重要です。

5. 病院は何科に行くべき?受診のタイミング

健康診断で「要精密検査」や「ALT 30超」などの判定が出たら、症状がなくても医療機関を受診してください。

  • 受診すべき診療科:
    • 「消化器内科」または「肝臓内科」が専門です。
  • 精密検査の内容:
    • 血液検査で詳細な項目(ウイルスマーカーや血小板数など)を調べるとともに、腹部超音波検査(エコー)などで肝臓の形状や脂肪のつき具合、腫瘍の有無を確認します。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では肝機能障害でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

まとめ

肝臓の数値が高いということは、肝臓が何らかのダメージを受け、SOSを出している状態です。

「痛くないから大丈夫」と放置せず、まずはその原因が「アルコール」なのか、「肥満・食事」なのか、あるいは「ウイルス」なのかを知ることが第一歩です。

早期に原因を取り除き、生活習慣を見直すことで、肝臓の健康を守ることができます。

健康診断の結果をきっかけに、今日からできる対策を始めてみましょう。

参考資料・文献一覧

  1. 一般社団法人日本肝臓学会「奈良宣言2023」 https://www.jsh.or.jp/medical/nara_sengen/iryou.html
  2. アルコール医学生物学研究会「アルコール性肝障害診断基準 2011年版」 https://www.kanen.jihs.go.jp/cont/010/sankou.html
  3. 日本消化器病学会・日本肝臓学会「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00611/
  4. 厚生労働省「肝機能障害の認定基準の考え方について」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-7a.pdf
  5. 日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00612/
  6. 大阪医科薬科大学病院 肝疾患センター「肝疾患のための食事療法」 https://hospital.ompu.ac.jp/liver_disease/shokuji.html
  7. 国立研究開発法人国立がん研究センター 多目的コホート研究「コーヒー・緑茶摂取と肝がんとの関連について」 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/355.html
  8. 国立研究開発法人国立がん研究センター「がん予防法の提示 2024年8月19日改訂版」 https://epi.ncc.go.jp/can_prev/93/9507.html