「最近、なんとなく耳が詰まった感じが取れない」

「低い耳鳴りがブォーっと鳴り続けている」

もし、あなたがこのような症状を感じているなら、それはメニエール病の「初期症状」かもしれません。

一般的に、メニエール病といえば「立っていられないほどの激しいめまい」をイメージされる方が多いです。

ですが、実は発作が起きる前段階として、耳の違和感だけが現れる時期があるのです(参考:順天堂大学 1)。

この記事では、見逃してはいけないメニエール病の初期サインや、自己チェックリスト、そして早期に治療を始めることの重要性を、最新の診療ガイドラインに基づいて詳しく解説。

「もしかして?」と思ったら、早めの行動があなたの聴力を守るカギとなります。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

メニエール病でお困りの方へ

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【自己診断】メニエール病の初期症状チェックリスト

メニエール病は、ある日突然完成された状態で発症するわけではありません。

多くの場合、体からのSOSサインが出ています。

まずは以下の項目をチェックしてみましょう。

代表的な「初期サイン」4選

初期段階では、めまいよりも「耳(聴覚)」の症状が先行することが特徴です(参考:日本めまい平衡医学会 2)。

  • 耳が詰まった感じ(耳閉感)が繰り返される
    • 水が入ったような、あるいは飛行機に乗った時のような「ボワーン」とした感覚があり、耳抜きをしても治りません。これがメニエール病の最も特徴的な初期症状の一つです。
  • 低い音が聞き取りにくい
    • 冷蔵庫のモーター音、男性の低い声、車のエンジン音などが聞き取りにくく感じたり、逆に不快に響いたりします。
  • 「ブォー」「ゴー」という低い耳鳴りがする
    • 「キーン」という金属音よりも、低くこもった耳鳴りが断続的に起こります。
  • フワフワするような軽いめまい
    • 激しい回転性めまいの前に、雲の上を歩くようなフワフワした浮動性のめまいを感じることがあります。

発作が起きる直前の「前兆」とは

本格的なめまい発作が起こる直前には、以下のような身体症状が現れることが多いと報告されています。

  • 首や肩の激しい凝り
  • 頭が重い感じ(頭重感)
  • 音がうるさく感じる(聴覚過敏)
  • 吐き気や冷や汗

これらのサインを感じたら、無理をせず体を休めることが、発作を回避・軽減するために重要です。

メニエール病の正体とは?症状の進行と3つの段階

そもそもメニエール病とはどのような病気なのでしょうか。

医学的には、内耳(耳の奥にある器官)にリンパ液が過剰に溜まってしまう「内リンパ水腫(水ぶくれ)」が原因であるとされています(参考:日本めまい平衡医学会 3)。

この「水ぶくれ」の状態によって、病気は一般的に以下の3つの段階を経て進行する傾向があります。

1. 初期(聴覚症状が中心の時期)

この段階では、まだ激しいめまい発作は起きないか、あっても軽度です。

その代わり、「低音障害型感音難聴」と呼ばれる、低い音だけが聞こえにくい状態や、耳の閉塞感が現れたり消えたりを繰り返します(参考:日本めまい平衡医学会 2)。

この段階で治療を開始できれば、聴力の回復や、本格的なメニエール病への移行を防げる可能性が高まります。

2. 活動期(めまい発作期)

水ぶくれが破綻し、内耳の神経が刺激されることで、典型的な発作が起きます。

  • 激しい回転性めまい(自分や天井がグルグル回る)
  • 難聴・耳鳴り・耳閉感の悪化
  • 吐き気・嘔吐 これらがセットとなって、10分〜数時間程度続きます。発作は不定期に繰り返されます(参考:厚生労働省研究班 2)。

3. 慢性期(間欠期・移行期)

めまいの発作は徐々に軽くなっていきますが、その代わり難聴や耳鳴りが改善しにくくなり、固定化してしまう時期です。

平衡機能の低下により、常にふらつきを感じることもあります(参考:難病情報センター 4)。

「めまいがない」場合も注意!蝸牛型メニエール病とは

「めまいがしないから、メニエール病ではない」と自己判断するのは危険です。

メニエール病には、「蝸牛型(かぎゅうがた)」といって、めまいを伴わず、難聴・耳鳴り・耳閉感などの聴覚症状だけを繰り返すタイプが存在します。

厚生労働省の研究班による診断基準でも、これは「メニエール病非定型例(蝸牛型)」として分類されています(参考:厚生労働省研究班 2)。

この蝸牛型を放置すると、やがて平衡感覚をつかさどる前庭にも水ぶくれが及び、典型的な激しいめまいを伴うメニエール病へと進行するリスクがあります。

「ただの耳鳴りだろう」と放置せず、違和感を繰り返す場合は耳鼻咽喉科を受診してください。

「突発性難聴」との違いは?

よく似た病気に「突発性難聴」がありますが、最大の違いは「繰り返すかどうか」です。

  • 突発性難聴:
    • 一生涯に一度きり。再発は稀。
  • メニエール病:
    • 症状が良くなったり悪くなったりを反復する。

ただし、最初の1回目の発作では区別がつかないことも多いため、いずれにせよ早期の聴力検査が必須です。

早期発見・早期治療がカギ!病院での検査と治療法

何科に行くべき?受診のタイミング

「耳鼻咽喉科」を受診してください。可能であれば「めまい相談医」のいるクリニックが望ましいです。

よく「めまいが治まってから行った方がいいですか?」と質問がありますが、症状が出ている時こそ、眼振(目の揺れ)や聴力の変化を確認できるチャンスです。

動ける範囲であれば早めに、もし動けなければ症状が落ち着いた直後に受診してください。

どんな検査をするの?

  • 純音聴力検査:
    • 特に「低い音」の聞こえが悪くなっていないかを確認します。
  • 眼振検査:
    • 赤外線CCDカメラなどを使い、めまい特有の目の揺れがないかを調べます。
  • グリセロール検査・イソバイド検査:
    • 利尿剤を飲んで聴力が改善するかどうかで、内リンパ水腫の有無を推定します。
  • MRI検査:
    • 近年では、特殊な造影MRIによって内リンパ水腫を画像化して診断することも行われています(参考:日本めまい平衡医学会 3)。

治療法と予後について

メニエール病の治療の基本は、内耳の水ぶくれを取ることです。

  • 薬物療法:
    • 浸透圧利尿薬(イソバイドなど)を中心に使用し、余分な水分を排出させます。その他、循環改善薬やビタミンB12などが処方されます(参考:順天堂大学 1)。
  • 生活指導:
    • 後述するストレス管理や有酸素運動が推奨されています。

予後(見通し): 初期に適切な治療を受ければ、多くの人はめまい発作をコントロールでき、聴力も回復・維持が可能です。しかし放置して発作を繰り返すと、聴力が不可逆的(治らない状態)になる恐れがあります。だからこそ、初期症状での受診が重要なのです(参考:難病情報センター 4)。

メニエール病を悪化させないための生活習慣

メニエール病は「生活習慣病」とも言われる側面があり、薬と同じくらい、生活スタイルの見直しが治療効果を左右します。

  1. ストレス・疲労を溜めない
    • 心身のストレスは、抗利尿ホルモンの分泌を促し、内耳の水ぶくれを悪化させると考えられています。「無理をしない」「睡眠をしっかり摂る」ことが一番の薬です(参考:順天堂大学 1)。
  2. 有酸素運動を取り入れる
    • 意外かもしれませんが、診療ガイドラインでも適度な有酸素運動(ウォーキングなど)が推奨されています。血流を良くし、代謝を高めることで内リンパ水腫の改善に役立つとされています(参考:日本めまい平衡医学会 3, 関西ろうさい病院 5)。
  3. 水分をこまめに摂る
    • 「水ぶくれだから水を控える」は間違いです。むしろ水分摂取が不足すると、体は水を溜め込もうとするため、適度な水分摂取(水やお茶)が良いとされています(※主治医の指示に従ってください)(参考:関西ろうさい病院 5)。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではメニエール病でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. メニエール病は完治しますか?

医学的に「完治(二度と再発しない)」と言い切ることは難しい病気ですが、適切な治療と生活管理によって、症状が出ない状態(寛解)を長く維持することは十分に可能です。「治らない」と悲観するのではなく、「うまく付き合って症状を出さない」ことを目指します。

Q. 仕事は続けられますか?

初期の段階であれば、薬でコントロールしながら仕事を続けている方がほとんどです。ただし、発作が頻発する時期(活動期)は、休職や業務量の調整が必要になることもあります。無理をしてストレスを抱えることが最も悪化につながるため、職場への理解を求めることも大切です。

Q. メニエール病になりやすい人の特徴は?

30代〜50代の女性にやや多く、性格的には「几帳面」「真面目」「完璧主義」な方がなりやすいと言われています。責任感が強く、ストレスを無自覚に溜め込んでしまう傾向がある方は注意が必要です(参考:難病情報センター 4)。

まとめ

メニエール病の初期症状は、激しいめまいではなく、「耳の詰まり感」「低音の聞こえにくさ」「低い耳鳴り」といった耳の違和感から始まることが多くあります。

「疲れているだけ」「そのうち治る」と放置せず、体が発しているSOSサインをキャッチしたら、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう

初期段階で治療を始めれば、怖い病気ではありません。まずは生活リズムを整え、専門医と一緒に治療に取り組んでいきましょう。

参考資料・文献一覧

  1. 順天堂大学医学部附属順天堂医院 耳鼻咽喉・頭頸科「メニエール病」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/jibi/disease/target_ear/target_ear02.html
  2. 厚生労働省 難治性疾患克服研究事業 前庭機能異常に関する調査研究班「メニエール病診断基準 2017年改定」 https://www.memai.jp/wp-content/uploads/2020/07/standard2017.pdf
  3. 日本めまい平衡医学会「メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00590/
  4. 難病情報センター(厚生労働省)「メニエール病(難病情報211)」 https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/kenkyuhan_pdf2011/s-tyoukaku1.pdf
  5. 関西ろうさい病院「メニエール病に対する新しい治療、中耳加圧療法①」 https://www.kansaih.johas.go.jp/blog/30419.html