健康診断や病院の検査で「Dダイマーが高い」と指摘され、不安を感じていませんか?
「血栓ができているかもしれない」と言われると、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気が頭をよぎり、一刻も早く数値を下げたいと考えるのは当然のことです。
しかし、Dダイマーはコレステロールや血圧のように、食事や運動だけで直接的にコントロールできる数値ではありません。
この数値は、体の中で「何が起きているか」を知らせる重要なサイン(結果)だからです(参考:日本血栓止血学会 1)。
この記事では、Dダイマーが高くなる本当の理由と、数値を正常化させるための正しい医療的アプローチを徹底解説。
また、将来的な血栓リスクを下げるために自分でできる生活習慣について、網羅的にご紹介します。
自己判断での対策は、時にリスクを伴うこともあります。正しい知識を身につけ、適切な行動を取りましょう。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

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そもそもDダイマーとは?なぜ数値が高くなるのか
Dダイマーを「下げる」方法を知る前に、まず「なぜ上がっているのか」を理解することが、解決への最短ルートです。
Dダイマー上昇のメカニズム(血栓が溶けるサイン)
Dダイマーは、血液中にできた「血栓(血の塊)」が溶かされたときに発生する物質です。
- 血管内で出血や怪我が起きると、止血のためにフィブリンという糊のような成分が集まり、血栓を作ります。
- 血管が修復されると、不要になった血栓は体内の酵素によって溶かされます(これを線溶現象と呼びます)。
- この「溶かされた血栓のゴミ」の一部がDダイマーです(参考:日本血栓止血学会 2)。
つまり、Dダイマーが高いということは、「体内のどこかで血栓ができ、それが溶かされている」という事実を示しています。
火事(血栓)が起きたあとの煙(Dダイマー)のようなものだとイメージしてください。
血栓症以外でも上がる?「高値=血栓」とは限らない理由
Dダイマーが高いからといって、必ずしも重大な血栓症(深部静脈血栓症や肺塞栓症)であるとは限りません。
実は、以下のような要因でも数値が上がることが知られています(参考:神戸大学 3)。
- 加齢:
- 年齢とともに数値は自然に上昇する傾向があります。
- 炎症・感染症:
- 風邪や肺炎、怪我などでも上昇します。
- 妊娠:
- 出産に備えて血が固まりやすくなるため、数値が上がります。
- 悪性腫瘍(がん):
- がん細胞の影響で血液凝固異常が起きることがあります(参考:日本血栓止血学会 2)。
- 手術後:
- 傷の修復過程で数値が上がります。
このように、Dダイマーは非常に感度が高い(反応しやすい)検査です。
ですが、「何が原因か」までは特定できないため、高値が出た場合は超音波検査や造影CTなどの精密検査が必要になります。
基準値と危険ラインの目安(1.0μg/mLの意味)
一般的に、血栓症を除外するための目安(カットオフ値)として 1.0μg/mL という数値が用いられることがあります(参考:日本循環器学会 4)。
- 基準値未満(例:1.0μg/mL未満):
- 大きな血栓症の可能性は低いと考えられます(除外診断に有用)。
- 基準値超え:
- 何らかの原因で凝固・線溶反応が起きています。数値が高ければ高いほど、大きな血栓が存在する可能性が高まりますが、前述の通り加齢や炎症の影響も考慮する必要があります。
ただし基準値は検査機関や試薬によって異なり、「0.5μg/mL未満」を正常範囲とする場合も多くあります(参考:京都大学医学部附属病院 5)。
必ず検査を受けた医療機関の基準に従ってください。
Dダイマーを下げるための「医療的なアプローチ」

Dダイマーそのものを下げる薬はありません。
Dダイマーを下げるとは、「原因となっている血栓を治療し、新たな血栓を作らせないこと」と同義です。
根本原因である「血栓」を治療する
検査の結果、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群の要因)や肺塞栓症などの病気が見つかった場合、直ちに「抗凝固療法」が行われます。
これは血液をサラサラにする治療です(参考:慶應義塾大学病院 6)。
- DOAC(直接作用型経口抗凝固薬):
- 現在、主流となっている飲み薬です。食事の影響を受けにくく、効果が安定しています。
- ワーファリン:
- 古くから使われている薬です。効果は確実ですが、食事制限(納豆などが禁止)や定期的な用量調整が必要です(参考:厚生労働省 7)。
- ヘパリン:
- 急性期に入院治療などで使われる注射薬です。即効性があります。
治療によって数値はどう変化するか
適切な抗凝固療法を行い、体内の血栓が分解・吸収されてなくなっていけば、Dダイマーの数値は自然に下がっていきます。
「数値を下げるために薬を飲む」のではなく、「血栓を治療した結果として数値が下がる」という順序を理解しましょう。
医師の指示通りに服薬を続けることが、最も確実な「数値を下げる方法」です。
自分でできる対策は?血栓予防・再発防止のための生活習慣
ここからは、血栓を予防し、結果としてDダイマーを正常範囲に保つために、日常生活で取り入れられる対策を紹介します。
※すでに血栓症の診断を受けている方は、必ず主治医の許可を得てから行ってください。
【最重要】正しい水分補給の方法
血液がドロドロになり、血栓ができる最大の要因の一つが「脱水」です。
こまめな接種が推奨され、喉が渇いたと感じる前に飲むのが鉄則です(参考:佐賀大学医学部附属病院 8)。
- タイミング:
- 起床時: 寝ている間にコップ1杯分の汗をかいています。
- 入浴前後: 入浴も脱水リスクが高い行動です。
- 就寝前: トイレを気にして控える方がいますが、夜間の血栓予防に重要です。
飲み物は水、麦茶などが推奨されます。
利尿作用の強いアルコールや、多量のカフェインは逆に水分を排出してしまう恐れがあるため、水分補給としてはカウントしないよう注意が必要です。
食事での血液ケアと注意点(納豆の取り扱い)
食生活を見直すことで、血液の質を高め、血栓ができにくい体を作ることは可能です。
- 青魚(EPA/DHA):
- サバ、イワシなどに含まれる脂は、血液の流れを良くする働きが期待できます。
- 野菜・海藻:
- 食物繊維やミネラルを摂取し、血糖値やコレステロールを管理することも間接的に血栓予防になります。
【注意】納豆について
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」には血栓溶解作用があると言われ、予防には良い食品です。
しかし、薬の「ワーファリン」を服用している方は絶対に食べてはいけません(参考:厚生労働省 7)。
納豆に含まれるビタミンKがワーファリンの効果を打ち消し、逆に血栓ができやすくなってしまうからです。
DOACや他の薬の場合は問題ないことが多いですが、必ず医師・薬剤師に確認してください。
第2の心臓「ふくらはぎ」を動かす運動
静脈の血液を心臓に戻すポンプの役割をしているのが「ふくらはぎ」の筋肉です。
ここを動かすことで血流の滞留を防ぎます(参考:佐賀大学医学部附属病院 8)。
- 足首の曲げ伸ばし:
- 座ったままでも、つま先を上げ下げする運動を1時間に数回行いましょう。
- ウォーキング:
- 無理のない範囲で歩く習慣をつけましょう。
- 足を小刻みに動かす:
- いわゆる「貧乏ゆすり」のような動作も、足の血流改善には効果的であるとされています。
弾性ストッキングの活用と注意
医療用の弾性ストッキングは、足に適度な圧力をかけて血流をサポートします。
血栓予防に非常に有効ですが、自己判断での購入・着用には注意が必要です(参考:慶應義塾大学病院 6)。
もし、すでに足に大きな血栓がある場合、強い圧迫によって血栓が剥がれ、肺に飛んでしまうリスクもゼロではありません。
必ず医師の診断を受け、適切なサイズと圧迫圧のものを選んでもらいましょう。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではDダイマー値が気になる方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
Dダイマー高値に関する「よくある誤解」とQ&A
Q. サプリメントだけで数値を下げられますか?
A. いいえ、サプリメントは治療薬ではありません。 EPAやナットウキナーゼなどのサプリメントは、あくまで健康補助食品です。Dダイマーが高い状態(すでに血栓の疑いがある状態)で、病院に行かずにサプリメントだけで対処しようとするのは非常に危険です。まずは医療機関で診断を受け、治療が必要ないと言われた場合の「予防」として活用しましょう。
Q. Dダイマーが10以上あると即入院ですか?
A. 数値だけで即入院とは限りませんが、緊急性は高いです。 Dダイマーが10μg/mLや20μg/mLを超える場合、広範囲な深部静脈血栓症や肺塞栓症、あるいは大動脈解離などの重篤な疾患の可能性があります。ただし、数値の高さと重症度は必ずしも完全に比例しません。CT検査などの結果と合わせて医師が総合的に判断します。
Q. 血栓がないのにDダイマーが高いと言われました。放置していい?
A. 医師が「経過観察でよい」と判断したなら、過度な心配は不要です。 前述の通り、加齢や体質、軽い炎症などでも数値は上がります。血栓がないことが画像診断で確認されていれば、直ちに危険な状態ではありません。ただし、定期的な健康診断を受け、数値の変動をチェックすることは大切です。
まとめ:Dダイマーは体のSOS。自己判断せず医師と二人三脚で管理を
Dダイマー高値を下げるために最も大切なことは、以下の3ステップです。
- 自己判断しない:
- なぜ高いのか、まずは医療機関で原因(血栓の有無)を特定する。
- 適切な治療:
- 血栓がある場合は、抗凝固薬などでしっかり治療する。これが数値を下げる唯一の確実な方法です。
- 生活習慣の改善:
- 水分摂取、運動、バランスの良い食事で、新たな血栓を作らない体質を目指す。
Dダイマーという数値に振り回されすぎず、「今の自分の体の状態を知るきっかけ」と捉え、医師と相談しながら落ち着いて対策を行っていきましょう。
注意参考資料・文献一覧
- 日本血栓止血学会「播種性血管内凝固(DIC)診療ガイドライン 2024」 http://www.jsth.org/wordpress/guideline/
- 一般社団法人日本血栓止血学会「DIC診断基準2017年度版」 http://www.jsth.org/wordpress/guideline/dic%E8%A8%BA%E6%96%AD%E5%9F%BA%E6%BA%962017%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88/
- Miyake T, et al. “Utility of plasma D-dimer for diagnosis of venous thromboembolism after hepatectomy” Kobe University. https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/0100490116/D1008891y.pdf
- 日本循環器学会「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)」 https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf
- 京都大学医学部附属病院検査部「臨床検査基準値一覧」 https://clinical-lab.kuhp.kyoto-u.ac.jp/reference/item/appendix_public/v0001_ver017.pdf
- 慶應義塾大学病院 KOMPAS「肺血栓塞栓症」 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000313/
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 血栓症」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1.html
- 佐賀大学医学部附属病院 検査部「特集 ~深部静脈血栓症について~」 https://kensabu.hospital.med.saga-u.ac.jp/2025_kawara_1gou/
