健康診断の結果を見て、「HDLコレステロールが高い」という判定に首をかしげたことはありませんか?
「HDLは善玉コレステロールだから、高ければ高いほど健康なはず」
そう思っていたのに、要再検査や指導の対象になっていると、何か大きな病気が隠れているのではないかと不安になってしまうものです。
結論からお伝えすると、HDLコレステロールが高いこと自体は、基本的には血管がきれいに保たれている可能性が高く、良いことです。
しかし、「100mg/dL以上」といった極端に高い数値の場合、遺伝的な要因や隠れた病気が原因である可能性が近年の研究で指摘されており、必ずしも「安全」とは言えないケースがあります(参考:日本動脈硬化学会 1)。
この記事では、HDLコレステロールが高くなる原因や、放置しても良い「健康な高値」と注意が必要な「疾患が疑われる高値」の違いについて、医学的な視点から分かりやすく解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。
通院1回につき1万円程度、入院1泊あたり2万円程度が負担軽減費の相場
安心・信頼できるのみ試験を紹介しており、安全に配慮された環境下で行われます。
HDL(善玉)コレステロールが高いとどうなる?基本とリスク
まずは、HDLコレステロールの基本的な役割と、なぜ「高すぎ」が注目されるようになったのか、その背景を理解しましょう。
まずは安心を。「少し高い」なら血管がきれいな証拠
HDL(High Density Lipoprotein)コレステロールは、通称「善玉コレステロール」と呼ばれます。
その主な役割は、全身の血管や組織に余ってしまったコレステロールを回収し、肝臓へ戻すことです。
血管の壁に溜まったコレステロールを取り除いてくれるため、HDLコレステロール値が適度に高い(40mg/dL以上)人は、動脈硬化になりにくく、心筋梗塞や脳卒中のリスクが低いとされています(参考:厚生労働省 2)。
基準値の上限を超えていても、80〜90mg/dL程度であれば、「血管の掃除能力が高い状態」であり、健康的な生活習慣(運動習慣など)の結果であることが多いため、過度に心配する必要はありません。
近年の常識変化。「高ければ高いほど良い」とは限らない?
かつては「HDLは高ければ高いほど良い」と考えられていました。
しかし、近年の大規模な疫学調査や研究により、この常識に一部修正が加えられつつあります。
HDLコレステロール値が極端に高い(例えば100mg/dLを超えるような)場合、心疾患や脳卒中による死亡リスクが低下せず、むしろ底打ちや微増する傾向(U字型カーブ)を示すデータも報告されています。
これは、HDLの「量」が多くても、コレステロールを回収する「質(機能)」が悪くなっているケースや、特定の遺伝性疾患が含まれるためと考えられています。
疑うべき数値の目安(100mg/dLの壁)
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、HDLコレステロールの診断基準として「40mg/dL未満(低HDLコレステロール血症)」を設定していますが、上限値は設けていません(参考:日本動脈硬化学会 1)。
しかし臨床現場では、100mg/dL以上を目安に、遺伝性の「CETP欠損症」などを疑い、背景に病気が隠れていないか注意を払うことがあります。
数値が高いだけで直ちに治療が必要なわけではありませんが、「なぜ高いのか」を確認する必要があります。
特に、良い生活習慣の結果ではなく、遺伝や病気が原因で数値が上がっている場合は注意が必要です。
なぜ高くなる?HDLコレステロール値が上がる4つの原因

HDLコレステロールが高くなる背景には、主に4つの原因が考えられます。
ご自身の生活習慣と照らし合わせてみてください。
1. アルコールの過剰摂取(最も多い原因)
健康診断でHDLが高値になる原因として、最も一般的で心配が少ないのが「飲酒」です。
アルコールには、肝臓でのHDLコレステロールの合成を促進する働きがあります。
毎日お酒を飲む習慣がある人や、飲酒量が多い人は、HDLが90〜100mg/dL近くまで上昇することがよくあります(参考:厚生労働省 2)。
この場合、アルコールによる肝機能障害(γ-GTPの上昇など)がなければ、基本的には「体質的な反応」であり、お酒を控えれば数値は下がります。
2. 遺伝的体質(CETP欠損症など)
お酒を飲まないのに数値が極端に高い(100mg/dL以上)場合、「CETP欠損症」などの遺伝的要因が考えられます。
CETPとは、HDLが回収したコレステロールを他のリポタンパク質(LDLなど)に受け渡す酵素のことです。
この酵素が生まれつき欠損していると、HDLがコレステロールを抱え込んだまま代謝されず、血液中に溜まってしまいます。
結果として数値は高くなりますが、「回収したコレステロールを肝臓へ戻すルート」が滞っている状態であるため、動脈硬化を防ぐ機能は十分に働いていない可能性があります。
3. 薬の副作用や他の病気(甲状腺・肝臓)
特定の薬剤の使用や、甲状腺機能などの病気が原因で二次的にHDLが上昇することがあります。
- 原発性胆汁性胆管炎 (PBC):
- 肝臓の胆管が破壊される病気で、初期にHDLが上昇することがあります。
- 甲状腺機能異常:
- 甲状腺ホルモンの影響で脂質代謝が変化します。
- 薬剤の影響:
- インスリンやエストロゲン製剤などの使用で影響が出ることがあります。
4. 女性ホルモンの影響(女性特有の事情)
女性は男性に比べて、HDLコレステロールが高くなりやすい傾向があります。
これは女性ホルモンである「エストロゲン」に、HDLの合成を促す作用があるためです(参考:慶應義塾大学病院 4)。
女性とHDLコレステロールの関係【痩せ型・更年期】
検索ユーザーの中には、女性で「痩せているのに高い」と不安を感じる方が多くいます。
女性特有の傾向について深掘りします。
女性は男性より数値が高くなりやすい理由
前述の通り、エストロゲンの働きにより、閉経前の女性は男性よりもHDLが高く、LDL(悪玉)が低く保たれる傾向があります。
基準値内あるいは多少の高値であれば、これは女性ホルモンによって血管が守られている証拠ですので、ポジティブに捉えて問題ありません。
痩せているのに高いのはなぜ?
「肥満=コレステロールが高い」というイメージがありますが、HDLに関しては逆の相関関係があります。
肥満(特に内臓脂肪型肥満)はHDLを低下させる要因です。
逆に言えば、内臓脂肪が少ない(痩せ型の)人や運動習慣がある人は、HDLコレステロールが高くなりやすい傾向があります(参考:厚生労働省 2)。
痩せ型でHDLが高い場合、栄養バランスが極端に悪いなどの事情がなければ、基本的には「健康的な状態」である可能性が高いです。
閉経後は数値が変動しやすいので注意
更年期を迎え、閉経して女性ホルモンが減少すると、脂質バランスが崩れやすくなります。
一般的にはLDL(悪玉)が上昇しやすくなりますが、体質によっては数値が大きく変動することがあります。
「昔からコレステロール値には自信があった」という方ほど、閉経後の変化には注意し、定期的に数値をチェックすることが大切です。
HDLコレステロールが高い時の対処法と検査の必要性
では、健康診断で「高い」と言われた場合、具体的にどうすればよいのでしょうか。
病院に行くべきかどうかの判断基準
数値が高いからといって、すぐに薬による治療が必要になることは稀です。
しかし、以下の条件に当てはまる場合は、一度内科や循環器内科を受診し、医師の判断を仰ぐことをお勧めします。
- HDL値が100mg/dL以上ある(特に飲酒習慣がない場合)
- 中性脂肪やLDLコレステロールも同時に高い
- 家族に心筋梗塞や脳卒中の既往がある
- 動悸や息切れなどの自覚症状がある(※通常HDL高値だけでは症状は出ません)
医師は、血液検査で他の脂質のバランスや、動脈硬化の進行度(頸動脈エコーなど)を確認し、治療が必要かを判断します。
生活習慣で見直すべきポイント
原因が「アルコール」や「生活習慣」にあると考えられる場合、以下の対策が有効です。
- 節酒・休肝日を作る:
- アルコールが原因の場合、適量(日本酒1合程度)を守るか、休肝日を設けることで数値の改善が期待できます。
- 禁煙:
- 喫煙はHDLの機能を低下させ、動脈硬化を促進します。数値が高くても機能が悪ければリスクとなるため、禁煙は推奨されます(参考:日本動脈硬化学会 1)。
- バランスの良い食事:
- 青魚(EPA/DHA)や大豆製品、野菜を積極的に摂り、動物性脂肪の過剰摂取を控えることで、脂質全体のバランスを整えることができます。
自覚症状はないため、定期的な血液検査が鍵
HDLコレステロールが高くても、痛みやめまいといった自覚症状は一切現れません。
高い数値が「良い高値」なのか「悪い高値」なのかは、毎年の健康診断の推移や、精密検査でのみ判断できます。
「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、年に1回は必ず健康診断を受け、数値の変化を確認し続けることが重要です。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではコレステロール値が気になる方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
まとめ:HDL高値は「原因」を知ることが大切
HDLコレステロールが高いと指摘された場合、多くのケースでは過度な心配は不要です。
運動習慣があったり、女性であったり、適度にお酒を嗜む人であれば、それは血管が守られているサインかもしれません。
しかし、100mg/dLを超えるような極端な高値や、アルコールを飲まないのに高い場合は、体質や隠れた病気が潜んでいる可能性があります。
「善玉だから大丈夫」と思い込まず、一度は医師に相談し、ご自身の血管の状態を正しく把握することをお勧めします。
参考資料・文献一覧
- 一般社団法人日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」 https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-004
- 一般社団法人日本老年医学会「高齢者脂質異常症診療ガイドライン2017」 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/guideline2017_03.pdf
- 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS「脂質代謝異常症」 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000067/
