「今月の生理痛、いつもより痛い気がする…」 

「薬を飲んでも痛みが引かなくて不安」

毎月来る生理ですが、急に激しい痛みに襲われると、「何か悪い病気ではないか」と怖くなってしまいますよね。

生理痛の重さは、その時の体調やストレスによって変化することもあれば、子宮内膜症などの婦人科系の病気が隠れているサインの可能性もあります。

この記事では、生理痛がいつもより痛くなる原因と、病院を受診すべき危険なサイン、そして今すぐできる痛みの対処法について解説します。

痛みを我慢し続けることは、体にとっても心にとっても良くありません。

自分の体の状態を正しく知り、適切なケアを行うための参考にしてください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

生理痛や月経困難症でお困りの方へ

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生理痛がいつもより痛い!考えられる5つの主な原因

生理痛が普段より強く感じる場合、体の中で何が起きているのでしょうか。

考えられる主な原因は大きく分けて5つあります。

1. プロスタグランジンの過剰分泌

生理痛の痛みの元となる物質が「プロスタグランジン」です。

この物質には、経血を体の外に排出するために子宮を収縮させる働きがあります(参考:厚生労働省研究班 1)。

分泌量が多いと子宮の収縮が過剰になり、キリキリとした強い下腹部痛や腰痛を引き起こします

また、この物質には血管や胃腸を収縮させる作用もあるため、全身の冷えやだるさ、吐き気や下痢の原因にもなります(参考:日本女性心身医学会 8)。

2. ストレスや自律神経の乱れ

意外に見落としがちなのが、精神的なストレスや疲労の影響です。

仕事や学業、人間関係などで強いストレスを感じていると、自律神経のバランスが乱れ、ホルモンバランスや脳内の神経伝達物質にも悪影響を及ぼします(参考:日本産科婦人科学会 2)。

また、緊張状態が続くと血管が収縮し血行が悪くなるため、痛みをより敏感に感じやすくなってしまうのです。

「今月は忙しかったな」と思い当たる節がある場合は、これが原因かもしれません。

3. 体の冷え・血行不良

「冷えは生理痛の大敵」と言われるように、体が冷えると骨盤内の血流が滞ります。

血流が悪くなると、痛みの物質であるプロスタグランジンが骨盤内に留まりやすくなり、うっ血によって痛みが長引いたり強くなったりすると考えられています(参考:日本女性心身医学会 8)。

特に冬場や、夏の冷房が強い環境、薄着などは痛みを悪化させる要因となります。

4. 子宮の出口が狭い(特に10代・出産未経験の方)

子宮頸管(子宮の出口)が狭いと、経血がスムーズに排出されず、外に押し出すために子宮がより強く収縮する必要があります。

これが強い痛みに繋がります。

特に子宮がまだ発育途中である10代の方や、出産経験のない若い女性に多く見られる原因で、「機能性月経困難症」の主な要因の一つです(参考:厚生労働省研究班 1)。

5. 隠れた病気の可能性(続発性月経困難症)

最も注意が必要なのが、子宮や卵巣の病気が原因で痛みが起きているケースです。

これを「器質性(続発性)月経困難症」と呼びます(参考:日本産婦人科医会 3)。 

これまで軽かった生理痛が急に重くなった、年々痛みが強くなっているという場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている可能性があります。

【セルフチェック】病院を受診すべき「危険なサイン」とは?

「たまたま体調が悪いだけ」なのか、「病院に行くべき状態」なのか、自分で判断するのは難しいものです。 

以下の項目に一つでも当てはまる場合は、月経困難症やその他の病気の可能性があります。

我慢せずに婦人科を受診することをおすすめします。

市販の鎮痛薬が効かない・服用量が増えた

「いつもは効く薬が効かない」

「薬を飲む間隔が短くなった」

「1回の錠数を増やさないと効かない」

上記ような状態は、痛みのレベルが通常の範囲を超えているサインであり、器質性月経困難症の可能性があります(参考:日本産婦人科医会 3)。

痛みが年々強くなっている(進行性)

生理の回数を重ねるごとに痛みが強くなっている場合、子宮内膜症などの進行性の病気が疑われます(参考:日本産科婦人科学会 5)。

子宮内膜症は放置すると症状が悪化し、将来の不妊リスクに繋がる可能性もあるため、早めの受診が大切です。

生理期間以外にも下腹部痛や腰痛がある

生理中だけでなく、生理が終わった後や排卵期などにも下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛がある場合は要注意です。

子宮と周囲の臓器に癒着が起きている可能性があります(参考:日本産科婦人科学会 5)。

経血量が異常に多い(過多月経)

痛みだけでなく、出血量にも注目してください。

  • 昼間でも夜用のナプキンを使わないと漏れてしまう
  • ナプキンが1時間も持たない
  • レバー状の大きな血の塊が出る

これらは「過多月経」と呼ばれ、子宮筋腫などのサインであるほか、貧血の原因にもなります(参考:日本産科婦人科学会 6)。

痛みで学校や仕事に行けない・寝込んでしまう

「生理痛で休むのは甘え」ではありません。

日常生活に支障をきたすほどの痛みは、治療が必要な「月経困難症」という病気と診断される基準の一つです(参考:東京医科大学病院 7)。

生理痛がひどくなる婦人科系の病気(月経困難症)

「いつもより痛い」原因として考えられる代表的な婦人科疾患について、簡単に解説します。

子宮内膜症(20代〜40代に増加)

本来は子宮の内側にしかないはずの子宮内膜組織が、卵巣やお腹の中など、子宮以外の場所にできてしまう病気です。

生理のたびに出血と炎症を繰り返し、激しい痛みや癒着を引き起こします。

20代〜30代での発症が多く、そのピークは30〜40歳代と言われています(参考:日本産科婦人科学会 5)。

子宮筋腫(良性の腫瘍)

子宮の筋肉にできる良性のコブ(腫瘍)です。

30歳以上の女性の3割前後に認められると言われる非常にありふれた病気です(参考:日本産科婦人科学会 6)。

できた場所や大きさによっては、生理痛が重くなったり、経血量が増えたりします。

子宮腺筋症(子宮全体が大きくなる)

子宮内膜に似た組織が、子宮の筋肉の中に潜り込んで増殖し、子宮全体が厚く大きくなってしまう病気です。

子宮内膜症と同様に強い生理痛や過多月経を伴います。

今すぐ痛みを和らげたい!自宅でできる対処法とセルフケア

受診が大切とは分かっていても、「今まさに痛いこの状態をなんとかしたい」という時もありますよね。

自宅でできる対処法をご紹介します。

鎮痛薬の正しい飲み方(痛みのピーク前に飲む)

鎮痛薬は「痛くてどうしようもなくなってから」飲むのではなく、「痛くなりそうだな」「少し痛んできたな」というタイミングで早めに飲むのが最も効果的です。

痛みの原因物質(プロスタグランジン)が過剰に作られる前に抑えることで、薬の効果を最大限に発揮できます(参考:岡山大学病院 4)。

骨盤周りと下半身を温める

温めることで血行を良くし、痛みを和らげることができます(参考:厚生労働省研究班 9)。

  • お腹や腰にカイロを貼る
  • ぬるめのお湯にゆっくり浸かる(足湯だけでも効果的)
  • ひざ掛けや腹巻を使う

締め付けの強い服は血流を悪くするため、ゆったりとした服装で過ごしましょう。

痛みを緩和する姿勢とストレッチ

お腹を波打たせるような激しい運動は避け、リラックスできる姿勢をとりましょう。

  1. 痛みを緩和する姿勢をとる
    • 横向きで寝て、膝を抱えるように丸まるとお腹の緊張が緩みます。
  2. 軽いストレッチ
    • 股関節周りをほぐすような軽いストレッチは、骨盤内のうっ血を解消するのに役立つことがあります。

生理中の食事・飲み物の工夫

  1. 温かい飲み物:
    • ハーブティー、白湯、生姜湯など、カフェインの入っていない温かい飲み物を選びましょう。冷たい飲み物は血管を収縮させるため、生理中は控えめにすることをおすすめします。

年代別・ケース別の傾向と対策

生理痛は年代によって傾向と対策が異なります。

以下では、年代別・ケース別の傾向と対策について解説を行います。

10代・学生の場合

10代の重い生理痛は、子宮の出口が狭いことなどによる「機能性月経困難症」が多い傾向にあります(参考:東京医科大学病院 7)。

成長とともに緩和することもありますが、子宮内膜症の早期発見や進行予防、QOL(生活の質)の改善のために、低用量ピル(LEP)等の薬物療法が有効な場合も多いです。

そのため痛みが強い際は、我慢せず相談しましょう(参考:日本産婦人科医会 3)。

40代の場合

閉経に向けてホルモンバランスが大きく変動する時期です。

また、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気のリスクが高まる年代でもあります(参考:東京医科大学病院 7)。

「もうすぐ閉経だから」と我慢せず、不正出血や子宮体がんなどのリスクを除外するためにも、一度検診を受けることが推奨されます。

生理不順を伴う場合

「生理がこないと思ったら急に来て激痛だった」という場合、ホルモンバランスの大きな乱れや、排卵障害などが背景にあるかもしれません。

周期の乱れと痛みはセットで医師に相談しましょう。

婦人科を受診するメリットとタイミング

「婦人科に行くのはハードルが高い」と感じる方も多いかもしれません。

しかし、受診することで「病気ではなかった」という安心感を得られたり、自分に合った薬(鎮痛剤、漢方、ピルなど)を処方してもらえたりと、メリットは大きいです。

受診は「生理中」でも大丈夫?

生理中でも受診は可能です

むしろ、出血量や痛みの状態を医師が直接確認できるため、診断に役立つこともあります。

ただし、子宮がん検診などは生理中だと正確な結果が出ないことがあるため、痛みの相談がメインであれば、受付で「生理中ですが受診できますか?」と一言確認しておくと安心です。

もちろん、生理が終わってからの受診でも構いません。

どんな検査をするの?(内診への不安)

問診が中心ですが、必要に応じて内診や超音波検査(エコー)を行います。

性交経験がない方の場合は、お腹の上からのエコーやお尻からの検査など、配慮してもらえることが一般的です(参考:厚生労働省研究班 1)。

不安な場合は、問診の時点で医師や看護師に伝えておきましょう。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では生理痛や月経困難症でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

FAQ:よくある質問

Q. 急に激痛が走った場合は救急車を呼んでもいいですか?

立っていられないほどの激痛、冷や汗が出る、意識が遠のくといった症状がある場合は、卵巣出血や卵巣腫瘍の茎捻転(けいねんてん)、子宮外妊娠の破裂など、緊急性の高い状態(急性腹症)の可能性も否定できません。動けないほどの異常な痛みの場合は、ためらわずに救急相談(#7119)や救急車の利用を検討してください

Q. 妊娠初期の痛みと生理痛の違いはありますか?

妊娠初期にも、子宮が大きくなる影響で生理痛のようなチクチクとした下腹部痛を感じることがあります。「生理予定日を過ぎても生理が来ない」「高温期が続いている」といった状況で痛みがある場合は、妊娠の可能性も考えられます。市販薬を飲む前に妊娠検査薬で確認するか、受診しましょう。

Q. 市販薬が効かない時はどうすればいいですか?

用法用量を守っても市販薬が効かない場合、薬の種類が合っていないか、痛みの原因が強い炎症(子宮内膜症など)によるものである可能性があります。自己判断で薬を乱用(オーバードーズ)するのは危険です。種類の違う処方薬(LEP製剤や漢方薬など)で改善する場合が多いため、医師に相談してください(参考:日本産婦人科医会 3)。

まとめ:痛みは体からのSOS。無理せず専門家を頼ろう

「生理痛がいつもより痛い」と感じたら、それは体が休息を求めているサインか、あるいは治療が必要なサインかもしれません。

  • ストレスや冷え対策をして、まずは体を温めて休む。
  • 薬が効かない、生活に支障が出る痛みは「月経困難症」の可能性がある。
  • 我慢は美徳ではありません。つらい時は迷わず婦人科へ。

生理痛は、適切な治療やケアで驚くほど楽になることがあります。

毎月の憂鬱な時間を、少しでも快適に過ごせるように、自分をいたわってあげてくださいね。

参考資料・文献一覧
  1. 厚生労働省研究班(ヘルスケアラボ)「月経困難症」 https://w-health.jp/monthly/dysmenorrhea/
  2. 公益社団法人 日本産科婦人科学会「月経前症候群(PMS)」 https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
  3. 公益社団法人 日本産婦人科医会「(1)月経困難症(研修ノート)」 https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E6%9C%88%E7%B5%8C%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E7%97%87/
  4. 岡山大学病院 薬剤部「PowerPoint プレゼンテーション – 薬の窓口」 https://www.okayamau-hp.jp/(当該資料参照)
  5. 公益社団法人 日本産科婦人科学会「子宮内膜症」 https://www.jsog.or.jp/citizen/5712/
  6. 公益社団法人 日本産科婦人科学会「子宮筋腫」 https://www.jsog.or.jp/citizen/5711/
  7. 東京医科大学病院 薬剤部「お薬のしおり No.249 月経困難症と薬」 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/249.pdf
  8. 一般社団法人 日本女性心身医学会「月経困難症(月経痛)」 https://www.jspog.com/general/details_08.html
  9. 厚生労働省研究班(ヘルスケアラボ)「月経随伴症状と上手に付き合おう(冊子)」https://w-health.jp/pdf/Menstrual_Related_Symptoms.pdf