生理痛がひどい・つらいあなたへ。痛みの原因と今すぐできる対処法と病院に行くべき危険なサイン

毎月やってくる生理。

お腹を雑巾で絞られるような痛み、腰が砕けそうな重だるさ、起き上がるのもツラい吐き気……。

「生理痛がひどい」という悩みは、本人にしか分からない本当にツラいものです。

「みんな我慢しているから」「病気じゃないから」と、痛みを堪えて仕事や学校に行っていませんか？

実は、日常生活に支障が出るほどの生理痛は「月経困難症」という、治療が必要な状態である可能性が高いのです。

生理痛があることは、決して当たり前ではありません(参考：日本産婦人科医会 1)。

この記事では、今すぐ痛みを和らげるためのセルフケアから、痛みの背後に隠れているかもしれない病気のサイン、そして婦人科での治療について分かりやすく解説します。

辛い痛みをひとりで抱え込まず、一緒に解決策を見つけていきましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

今すぐ生理痛を和らげる5つの対処法

痛みがひどくて動けない、薬が効くまで時間がかかるといった時に、まずは少しでも体を楽にするための対処法をご紹介します。

お腹と腰を温めて血行を改善する

生理痛がひどくなる原因の一つに「冷え」と「血行不良」があります。

体が冷えると血行が悪くなり、痛みを強める物質が滞りやすくなります。

カイロや湯たんぽ、腹巻きなどを活用して、下腹部や腰を温めましょう。

血行が良くなることで痛みが和らぐ効果が期待できます(参考：ヘルスケアラボ 2)。

楽な姿勢をとる・ストレッチをする

お腹を圧迫する姿勢や、締め付けの強い服装は痛みを悪化させることがあります。

横になれる場合は、膝を軽く曲げて横向きに寝るなど、お腹の緊張が緩む一番楽な姿勢をとりましょう。

座っている場合は、ブランケットなどを膝にかけて足元を温め、締め付けのない服装でリラックスすることが大切です。

鎮痛薬（痛み止め）の正しい飲み方

「薬に頼るのは良くない」「痛みが限界に達してから飲もう」と考えていませんか？

実は、鎮痛薬は痛みを感じ始めたタイミングで飲むのが最も効果的です。

生理痛の原因物質（プロスタグランジン）は、時間が経つほど大量に作られてしまいます。

この物質が作られるのを抑えるのが鎮痛薬の役割であるため、痛みが強くなってからでは効果が出にくくなります。

「そろそろ痛くなりそうだな」と感じた時点で早めに服用しましょう(参考：日本産婦人科医会 1)。

 ※市販薬の用法・用量を守って使用してください。

身体を温める食事・飲み物を選ぶ

生理中は、身体の内側から温めることも大切です。

冷たい飲み物は体を冷やしてしまうため、なるべく温かいものを選びましょう。

生姜湯やハーブティー、白湯などの温かい飲み物でホッと一息つくことで、心身のリラックスにもつながります。

ツボ押しでリラックス

痛みが辛い時、特定のツボを刺激することで緩和されることがあります。

1. 三陰交（さんいんこう）
   • 足の内くるぶしの一番高いところから指4本分上の、すねの骨の後ろ側にあるツボです。生理痛や冷えなど、女性特有の悩みに効果的とされています(参考：森ノ宮医療大学 3)。
2. 合谷（ごうこく）
   • 手の親指と人差し指の付け根の間にあるツボ。痛みを和らげる万能のツボと言われています。

息を吐きながら、気持ちいいと感じる強さでゆっくり押してみましょう。

あなたの生理痛は大丈夫？「月経困難症」セルフチェック

「生理痛が重い気がするけど、これって病気なの？」と迷っている方は、以下の項目をチェックしてみてください。

医学的には、生理に伴う症状で日常生活に支障をきたす状態を「月経困難症」と呼び、治療の対象となります(参考：日本産科婦人科学会 4)。

こんな症状があれば「月経困難症」の可能性大

一つでも当てはまる場合は、月経困難症の可能性があります。

• 痛み止めを飲んでも痛みが治まらない、または効きにくい。
• 痛み止めの量が以前より増えている。
• 生理のたびに仕事や学校を休んでしまう、または早退する。
• 痛みのあまり、寝込んで動けなくなることがある。
• 腹痛や腰痛だけでなく、吐き気、嘔吐、頭痛、下痢などの症状がある。
• 生理期間以外にもお腹や腰が痛むことがある。

生理痛の「重さレベル」を知る重要性

「母親も生理痛が重かったから体質だ」と諦めてしまう方が多くいますが、生理痛の重さは遺伝や体質だけで片付けられるものではありません。

放置すると、痛みが年々強くなったり、将来的に不妊の原因となる病気が隠れていたりすることもあります。

「生活に支障がある＝治療の対象」という認識を持ちましょう。

なぜ生理痛がひどくなるの？2つの主な原因

生理痛がひどくなる原因は、大きく分けて2つのタイプがあります。

自分の痛みがどちらに近いかを知ることは、適切な治療への第一歩です(参考：日本産婦人科医会 1)。

①機能性月経困難症（プロスタグランジンの過剰分泌）

主に思春期から20代前半の若い女性に多いタイプです。

子宮や卵巣に特定の病気は見当たりません。

原因は、子宮内膜から分泌される「プロスタグランジン」という物質です。

この物質は、生理の血を体の外に押し出すために子宮を収縮させる役割を持っています。

ですが、分泌量が多すぎると収縮が強くなりすぎて、キリキリとした激しい痛みや、腰痛、吐き気などを引き起こします(参考：日本産婦人科医会 1)。

また、子宮の出口が狭いことや、ストレス、冷えなども悪化の要因となります。

②器質性月経困難症（子宮内膜症などの病気）

20代後半以降から増えてくるタイプで、子宮や卵巣になんらかの病気が隠れていることが原因です。

生理痛が年々ひどくなっている場合は、こちらが疑われます。

1. 子宮内膜症
   • 子宮の内側にあるはずの内膜組織が、卵巣やお腹の中など別の場所にできてしまう病気。生理のたびに出血と炎症を繰り返し、激しい痛みを伴います。不妊の原因にもなり得ます(参考：日本生殖医学会 5)。
2. 子宮筋腫
   • 子宮の壁にできる良性のコブです。
3. 子宮腺筋症
   • 子宮の筋肉の中に内膜組織が入り込み、子宮全体が大きくなる病気です。

これらは自然に治ることは少なく、放置すると進行してしまうため、専門的な治療が必要です。

我慢せずに婦人科へ！受診の目安と治療法

「生理痛くらいで病院に行ってもいいのかな？」と迷う必要はありません。

痛みをコントロールすることは、あなたの生活の質（QOL）を守るためにとても大切です。

婦人科を受診するタイミングは？

「市販薬が効かない」「痛くて予定を変更しなければならない」と感じた時が受診のタイミングです。 

また、「将来妊娠したいから今は我慢する」のではなく、将来のためにこそ、早めに子宮の状態をチェックしておくことが重要です。

中学生や高校生であっても、痛みが辛ければ保護者と一緒に受診することをおすすめします(参考：ヘルスケアラボ 2)。

病院で行われる検査と治療（ピル・漢方など）

婦人科では、問診、超音波検査（エコー）、血液検査などを行い、病気が隠れていないかを調べます。

「内診（膣からの診察）が怖い・恥ずかしい」という方も多いと思いますが、性交経験がない場合などは、お腹の上からのエコー検査やお尻からの検査で対応できることもあります。

問診時に医師や看護師に相談してみましょう。

治療法としては、主に以下のような選択肢があります(参考：日本産科婦人科学会 4)。

1. 低用量ピル（LEP）
   • 排卵を抑え、子宮内膜が厚くなるのを防ぐことで、プロスタグランジンの量を減らし、生理痛を軽くします。
2. 漢方薬
   • 体質改善を目指し、冷えや血の巡りを良くする薬（当帰芍薬散、桂枝茯苓丸など）を処方します。
3. 鎮痛剤
   • 痛みの原因物質の生成を抑える薬（NSAIDs）などが処方されます。
4. 黄体ホルモン放出子宮内システム（ミレーナなど）
   • 子宮内に装着する小さな器具で、黄体ホルモンを放出し痛みを和らげます。経産婦さんなどに推奨されることが多いです。

生理痛に関するよくある質問（FAQ）

Q. 生理痛がひどい時は冷やすのと温めるの、どっちが良い？

A. 基本的には「温める」のが正解です。 生理痛の多くは血行不良や筋肉の緊張からくるため、温めることで緩和されます。カイロやお風呂で温めることをおすすめします(参考：ヘルスケアラボ 2)。

Q. 痛み止めを飲み続けると効かなくなるって本当？

A. 用法用量を守っていれば、耐性がついて効かなくなることは基本的になく、ガイドラインでも推奨されています。 「効かなくなった」と感じる場合、飲むタイミングが遅すぎて痛みの物質が増えすぎているか、子宮内膜症などの病気が進行して痛みが強くなっている可能性があります。自己判断で薬を増やすのではなく、早めに受診してください(参考：日本産婦人科医会 1)。

Q. 生理痛がひどい人は妊娠しにくいですか？

A. 生理痛そのものが不妊の直接原因ではありませんが、原因となっている「病気」が不妊に関係する場合があります。 特に「子宮内膜症」は、癒着などを引き起こし不妊の原因になることが知られています。生理痛がひどい場合、早めに検査をして原因を知り、適切に治療・管理することが、将来の妊娠力を守ることにも繋がります(参考：日本生殖医学会 5)。

まとめ：痛みは身体からのSOS。我慢せずに専門家を頼りましょう

「生理痛がひどい」というのは、決してあなたの忍耐力が足りないわけでも、体質だから仕方ないことでもありません。

それは身体が発している「助けて」というサインです。

まずは温めたり、痛み止めを適切に使ったりして、自分をいたわってください。

そして、もし生活に支障が出ているなら、勇気を出して婦人科のドアを叩いてみてください。

適切な治療を受けることで、生理期間がずっと楽になるケースは多くあります。

あなたが毎月の痛みから解放され、笑顔で過ごせる日が増えることを心から願っています。