「子宮筋腫と診断されたけど、手術の費用ってどれくらい?」
「保険は使える?高額療養費制度ってなに?」
子宮筋腫と診断されると、手術が必要かどうか、そしてその費用がどれくらいかかるのかが気になりますよね。
特に初めて手術を検討する方にとって、医療費の負担は大きな不安材料です。
この記事では子宮筋腫の手術費用や保険適用の条件、手術方法ごとの違いを詳しく解説します。
さらに、高額療養費制度や民間保険の活用法、実際の体験談まで網羅。
あなたの疑問を解消し、安心して治療に臨める情報を提供します。
子宮筋腫とは?
子宮筋腫は、子宮の筋層にできる良性の腫瘍です。
厚生労働省の「令和5年患者調査」によると、日本での総患者数は約27万4,000人と推定されています(参考:厚生労働省※1)。
多くの場合、無症状で経過観察で済みますが、過多月経や貧血、腹痛などの症状が現れることもあります。
治療方針は症状の重さや年齢、妊娠希望の有無によって異なり、手術が必要になるケースも少なくありません。
手術が検討されるのは、筋腫が大きくなって症状が悪化した場合や、不妊の原因と判断されたときです。
では具体的にどのような手術方法があり、それぞれの費用はどのくらいかかるのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
子宮筋腫の主な手術方法と特徴
子宮筋腫の手術には複数の方法があり、それぞれ特徴や体への負担が異なります。
ここでは代表的な4つの手術方法を紹介します。
開腹手術
お腹を切開して筋腫や子宮を摘出する方法です。
筋腫が大きい場合や複雑な状態に適しており、確実に取り除けるメリットがあります。
ただし、傷が大きく、回復に時間がかかる点が特徴。
入院期間は通常7〜10日程度です。
腹腔鏡手術
お腹に小さな穴を数カ所開け、カメラや器具を使って手術を行います。
傷が小さく、術後の回復が早いのが利点。
入院期間は5〜7日程度で、体への負担も軽減されます。
ただし、技術的な難易度が高く、すべての症例に適用できるわけではありません。
子宮鏡手術
子宮内に細いカメラを挿入し、筋腫を切除する方法。
お腹を切らないため傷跡が残らず、日帰りや短期間入院(2〜4日)で済む場合も。
粘膜下筋腫など、子宮の内側に突出した筋腫に適しています。
子宮全摘出術
子宮をすべて摘出する手術で、再発のリスクをゼロにできるのが特徴とされています。
妊娠を希望しない場合や、筋腫が複数あるときに選ばれることが多いです。
開腹や腹腔鏡で行われ、入院期間は手術方法によって5〜10日程度。
これらの手術方法は、患者の状態や希望に応じて選択されます。
次に気になる費用について、具体的な相場と内訳を解説します。
子宮筋腫 手術費用の相場と内訳
子宮筋腫の手術費用は、手術方法や入院期間によって大きく異なります。
以下に、健康保険適用(3割負担)を前提とした相場を表でまとめました。
手術方法 | 総費用(自費) | 健康保険3割負担時 | 入院期間の目安 |
---|---|---|---|
開腹手術 | 約50万〜60万円 | 約15万〜20万円 | 約7〜10日 |
腹腔鏡手術 | 約60万〜70万円 | 約18万〜23万円 | 約5〜7日 |
子宮鏡手術 | 約30万〜40万円 | 約10万〜12万円 | 約2〜4日 |
子宮全摘出術 | 約50万〜70万円 | 約15万〜23万円 | 約5〜10日 |
費用の内訳
手術費用には以下のような項目が含まれます。
- 診察料・検査料:術前の血液検査やエコー、心電図などで約1万〜3万円。
- 手術料:手術の種類により10万〜30万円程度(保険適用後)。
- 麻酔料:全身麻酔で約2万〜5万円。
- 入院費:1日あたり約1万〜2万円(食事代や個室代は別途)。
これらはあくまで目安であり、医療機関や地域、追加治療の有無で変動します。
健康保険と高額療養費制度の解説
子宮筋腫の手術は基本的に健康保険が適用されます。
ただし、保険が使える条件や、高額療養費制度の活用法を知っておくと、さらに負担を軽減できます。
保険適用の条件
保険が適用されるのは、医師が必要と判断した治療の場合です。
たとえば、症状がない場合の予防的摘出や、先進医療は対象外となることがあります。
高額療養費制度の具体例
高額療養費制度は、1カ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
限度額は年齢や所得で異なります。
例えば年収370万〜770万円の人は約8万円+(総医療費−26万7,000円)×1%が上限(参考:厚生労働省※2)。
例えば、腹腔鏡手術で総費用70万円の場合、3割負担で21万円。
限度額が約9万円なら、約12万円が後で戻ります。
事前に「限度額適用認定証」を申請すれば、窓口負担が上限まで抑えられるので便利です。
医療費控除との違い
医療費控除は、1年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で税金の一部が戻る制度。
高額療養費制度が月単位なのに対し、医療費控除は年単位で計算される点が異なります。
子宮筋腫の手術は民間医療保険の対象になるか?
民間医療保険に加入している場合、子宮筋腫の手術で給付金を受け取れる可能性があります。
ただし、いくつかの条件に注意が必要です。
給付金の対象になる手術
一般的な保険では、開腹手術や腹腔鏡手術、子宮全摘出術が対象に含まれます。
ただし、保険商品や契約内容で異なるため、事前に確認をしておきましょう。
注意点
給付には医師の診断書が必要で、保険会社が定める手術リストに該当しないと対象外になることも。
また、既往症として子宮筋腫がある場合、加入時に条件が付く可能性があります。
実際にかかる子宮筋腫の手術費用例
以下に実際に手術にかかる費用の一例を紹介します。
- Aさん(42歳、開腹手術)
入院10日で総費用60万円、3割負担で18万円。高額療養費で約9万円が戻り、実質負担は9万円。 - Bさん(35歳、腹腔鏡手術)
入院6日で総費用65万円、3割負担で19.5万円。限度額認定証で窓口負担は8.5万円に。 - Cさん(29歳、子宮鏡手術)
入院3日で総費用35万円、3割負担で10.5万円。
これらの例からも、制度を活用すれば負担が軽減されることがわかります。
手術費用を抑えるためにできること
手術費用を少しでも抑えたい場合、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
手術方法の選び方
子宮鏡手術など低侵襲な方法は費用が安く済む傾向があります。
医師と相談しつつ、自分に合った方法を選ぶのが重要です。
セカンドオピニオンの活用
病院によって費用や治療方針が異なるため、複数の意見を聞くのも有効。
最適な治療法が見つかる可能性があります。
地方と都市部の費用差
都市部の病院は設備が整っている分、費用が高めになることもあります。
地方の医療機関を検討するのも一つの手です。
子宮筋腫に関するよくある質問(FAQ)
「日帰り手術はできる?」
子宮鏡手術など条件が合えば可能です。
ただし、筋腫の大きさや状態次第なので、医師に確認を。
「帝王切開と同時手術は保険適用になる?」
医学的に必要と判断されれば適用されます。
事前に相談するのが確実です。
「子宮を残したいけど費用は高くなる?」
筋腫核出術は全摘より技術的に難しく、費用がやや高くなる場合もあります。
ただし、差額は大きくないことが多いです。
まとめ
子宮筋腫の手術費用は方法や保険の活用で大きく変わります。
自分に合った治療法を選び、高額療養費制度や民間保険を上手に使うことで、医療費の不安を減らせます。
不明点があれば、医療機関や保険者に早めに相談するのがおすすめ。
安心して治療に臨むためにも、情報をしっかり把握しておきましょう。
参考資料・サイト一覧
※1.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/
※2.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html