「関節リウマチは一生治らない病気だ」 「死ぬまで薬を飲み続けなければならない」

診断を受けた直後や、痛みが続く日々の中で、このような絶望的な言葉に心を痛めている方は少なくありません。

インターネット上には「これで完治した」という個人のブログもあれば、「完治は難しい」という医師の言葉もあり、何が真実なのか迷ってしまうこともあるでしょう。

結論から申し上げますと、現代の医療においてリウマチの症状が完全になくなり、健康な人と変わらない生活を送っている「完治に近い状態(寛解)」の人は大勢います(参考:慶應義塾大学病院 1)。

さらに、条件は厳しいものの、薬を卒業できる「ドラッグフリー寛解」に至るケースも実在します。

この記事では、リウマチ治療の最前線にあるデータに基づき、「完治した人」の実態と、そこに至るための具体的な道筋を解説します。

漠然とした不安を解消し、前向きに治療に取り組むためのヒントとしてお役立てください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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結論:リウマチが「完治した人」はいるのか?

「リウマチ 完治した人」と検索するあなたが最も知りたいのは、「本当に治るのか?」という真実でしょう。

医学的な誠実さを持って答えるならば、答えは「医学的な意味での完治は難しいが、事実上の完治(寛解)は十分に可能」となります。

医学的な「完治」と「寛解」の違い

まず、言葉の定義を整理しましょう。

ここを理解することが、治療のゴール設定において非常に重要です。

  • 完治(Cure): 病気の原因が完全になくなり、治療をしなくても二度と再発しない状態(例:風邪や虫垂炎など)。関節リウマチは自己免疫疾患であり、体質的な素因も関わるため、現時点では「完治」という言葉は慎重に使われます。
  • 寛解(かんかい・Remission): 薬などの治療によって病気の勢いが収まり、痛みや腫れなどの症状が全くない状態。検査データも正常値を保ち、関節破壊も進行しません(参考:日本リウマチ学会 2)。

患者さんにとって重要なのは、「完治」という医学用語の定義よりも、「痛みがなく、不自由なく生活できるか」ではないでしょうか。

その意味で、現代の治療目標である「寛解」は、患者さんが求める「治った状態」とほぼ同義と言えます。

データで見る「治った」と言える人の割合

では、実際にどのくらいの人が良くなっているのでしょうか。客観的なデータを見てみましょう。

自然軽快(約2〜10%)

ごく稀ですが、治療をしなくても自然に症状が消えてしまう方がいます。これを「自然軽快」と呼びますが、確率は2〜10%程度と報告されており、これを期待して治療を放置するのはリスクが高すぎます。

症状が完全に消失(約15%)

一部の医療機関の報告(例:市立御前崎総合病院など)によると、早期に適切な治療介入を行うことで、約15%の患者さんが2年間で関節の痛みや腫れが完全に消失したというデータもあります。

寛解達成率(約60.8%)

ここが最も注目すべき数字です。慶應義塾大学医学部の報告によれば、2001年時点ではわずか7.8%だった寛解率が、新しい薬剤の登場により2021年には60.8%まで急増しているとされています(参考:慶應義塾大学病院 1)。

 つまり、今や半数以上の患者さんが、症状のない「寛解」状態に到達できているのです。これは20年前には考えられなかった劇的な進歩です。

薬を卒業できる「ドラッグフリー寛解」の可能性

「症状がないだけでなく、薬も辞めたい」 これが多くの患者さんの願いでしょう。これを「ドラッグフリー寛解」と呼びます。

寛解状態が長く続き、検査データも安定している場合、医師の慎重な管理下で少しずつ薬を減らし、最終的に薬をゼロにできるケースがあります。

慶應義塾大学病院の資料でも、寛解が続いた患者さんの中に、生物学的製剤を中止しても寛解を維持できる方がいることが言及されています(参考:慶應義塾大学病院 1)。 

ただし、これは全ての人が到達できるわけではありません。

無理に薬を辞めると再発(リバウンド)のリスクが高まるため、あくまで「結果として薬が要らなくなった」という状態を目指すのが正解です。

リウマチが劇的に良くなる人・完治に近い状態になる人の特徴

では、寛解やドラッグフリー寛解に到達できる人と、痛みが続いてしまう人の違いはどこにあるのでしょうか。成功例に共通する3つの特徴を挙げます。

1. 「発症から2年以内」の早期治療

リウマチ治療には「治療の機会の窓(Window of Opportunity)」と呼ばれる期間があります。

これは発症してから早期の段階を指し、この期間に強力な治療を行うことで、その後の経過が劇的に良くなることが分かっています(参考:日本リウマチ学会 2)。

関節の破壊は、発症から2年以内に最も急速に進みます。

「もう少し様子を見よう」と放置せず、違和感を感じた段階ですぐに専門医を受診し、抗リウマチ薬を開始できた人が、将来的に「治った」と言える状態を勝ち取っています。

2. 生物学的製剤やJAK阻害薬など最新治療の活用

かつてのリウマチ治療は「痛み止めで我慢する」ことが中心でしたが、現在は「免疫の暴走を元から止める」治療へと変わりました。

特に、生物学的製剤(注射・点滴)やJAK阻害薬(飲み薬)の登場は革命的でした。

これらの薬剤を適切に使用することで、これまでコントロールが難しかった患者さんでも、深い寛解状態に入ることが可能になっています(参考:慶應義塾大学病院 1)。

3. 医師の指示通りの服薬と自己中断の回避

地味ですが最も重要なのが「服薬コンプライアンス」です。 

「今日は痛くないから飲まなくていいや」 「薬の副作用が怖いから減らそう」 といった自己判断は、薬剤の血中濃度を不安定にし、リウマチの勢いをぶり返させてしまいます。

寛解に至る人は、医師と信頼関係を築き、地道な治療を継続できた人です。

「ブログで見た完治」は信じていい?自分で治すリスク

インターネットで調べると、食事療法や民間療法で治ったという個人の体験談が見つかることがあります。

藁にもすがる思いで試したくなる気持ちは痛いほど分かりますが、ここには大きな落とし穴があります。

食事や民間療法だけで治るのか

「リウマチに良い食事」「サプリメント」「冷えとり」などは、あくまで体調を整える補助的な手段としては有効かもしれません。

しかし、厚生労働省の統合医療情報発信サイト(eJIM)等によると、リウマチの本態である「免疫異常による炎症」を食事だけで完全に抑え込むことができるという明確な医学的根拠は示されていません(参考:厚生労働省 4)。

危険なのは、これらを信じるあまり標準治療(薬物療法)を中断してしまうことです。

「薬は毒だ」という極端な言説を信じて治療を放棄し、結果として関節変形が進行してしまい、取り返しのつかない状態になってから病院に戻ってくるケースは後を絶ちません。

危険な「自己判断の断薬」

リウマチの治療薬は、急に止めると体内で抑えられていた炎症物質が一気に放出され、治療前よりも激しい症状が出る(リバウンド)ことがあります。

ブログの著者がたまたま「自然軽快」の2〜10%に入っていたとしても、それがあなたに当てはまる保証はありません。

断薬は必ず主治医と相談しながら、数ヶ月〜年単位でミリ単位の調整を行う必要があります。

完治(寛解)を目指すために今日からできること

薬物療法は医師の領分ですが、患者さん自身が努力できることもあります。寛解への道のりを早めるために、今日からできることを3つ紹介します。

1. 悪化要因を排除する(特に喫煙)

タバコはリウマチの発症リスクを高めるだけでなく、薬の効き目を悪くすることが多くの研究で明らかになっています(参考:慶應義塾大学病院 1)。

本気で「治したい」と願うなら、禁煙は治療の第一歩です。

また、歯周病もリウマチを悪化させる要因の一つです。

定期的な歯科検診を受け、口腔内を清潔に保つことも立派な治療の一環です。

2. ストレスを溜めない生活リズム

ストレスは免疫バランスを崩し、痛みを増幅させます。

十分な睡眠、バランスの良い食事、そして適度な運動(関節に負担をかけない範囲でのストレッチやウォーキング)は、薬の効果を最大限に引き出す土台となります。

3. 専門医(リウマチ専門医)とかかりつけ医の連携

リウマチは専門性の高い病気です。

もし現在の治療で効果が感じられない場合は、「日本リウマチ学会専門医」の資格を持つ医師に相談するのも一つの手です。

最新の薬剤の選択肢や、寛解に向けた戦略的な治療計画を提案してくれるかもしれません。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではリウマチの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

リウマチに関するよくある疑問

Q. リウマチの薬は一生飲み続けるのですか?

 A. 多くの場合は長期的な服用が必要ですが、減薬は可能です。 

一生飲み続ける必要があるかどうかは個人差があります。

寛解状態が長く続けば、薬の量を減らしたり、種類を減らしたりすることは十分に可能です。

最終的に薬が不要になる「ドラッグフリー」を目指せる方もいますが、まずは「薬を飲んでいれば健康な人と変わらない状態」を目指すことが第一歩です。

Q. リウマチになりやすい性格や食事はありますか?

A. 特定の性格が原因ではありません。食事もバランスが重要です。

「真面目な人がなりやすい」と言われることもありますが、科学的な根拠はありません。

食事に関しては、特定の食材で治る・悪化するという明確なエビデンスはありませんが、バランスの良い食事が推奨されます(参考:厚生労働省 4)。

Q. 10代や20代でも発症しますか?完治しますか?

A. 若年層でも発症しますが、若さは回復の武器にもなります。

リウマチは高齢者の病気と思われがちですが、10代〜30代で発症することも珍しくありません。

しかし、若い方は細胞の再生能力が高く、早期に徹底的な治療を行うことで、長期的な寛解を維持しやすい傾向にもあります。決して諦めないでください。

まとめ:リウマチは「治らない病気」から「コントロールできる病気」へ

かつて関節リウマチは、関節が変形し、車椅子生活を余儀なくされる「不治の病」でした。

しかし、この20年で治療法は劇的に進化しました。 

今の常識は、「早期に発見し、適切な治療を行えば、病気であることを忘れて生活できる」です。

「完治した人」を探して、不確かな情報に惑わされる必要はありません。

適切な医療を受けることで、あなた自身が「寛解した人(事実上の完治者)」になれる可能性は十分にあります。

もし今の治療に不安があるなら、主治医に「寛解を目指したい」と素直に伝えてみてください。その一言が、あなたの未来を明るく変えるきっかけになるはずです。

参考資料・文献一覧

  1. 慶應義塾大学病院 KOMPAS「関節リウマチの生物学的製剤による治療」 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000902/
  2. 一般社団法人日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2024」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00843/ (※2024年改訂版。Mindsガイドラインライブラリにて公開)
  3. 一般社団法人日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2020」 https://www.ryumachi-jp.com/publish/others/ra_gl2020/
  4. 厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』eJIM「関節リウマチ」 https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c05/10.html