私たちの血圧は、たった少しからだを動かしたりすることで上昇します。また、寒さを感じると同じように血圧が上昇します。
このような一時的な血圧上昇は、高血圧とはいいません。
高血圧とは、安静にした状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりしてしまいます。
その結果、動脈硬化などを起こしやすくなってしまいます。この状態を放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、あるいは慢性腎臓病などの重大な病気につながる可能性がとても高くなります。
脳卒中は男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明確になっています。
高血圧を自覚しよう
高血圧は、放置していると怖い病気です。ですが、その一方で自覚しやすい病気ともいえます。特に痛みなどの症状はありませんが、健康診断や家庭での血圧測定によって、比較的簡単に判断することが可能です。
「普段より血圧が高いかな?」と思ったら、早めに受診を行い、治療を必要とする高血圧なのか、原因は何かなどについて知ることが大切です。
高血圧の基準について
ところで、高血圧と診断される際の基準値についてみなさまご存知でしょうか。
自分が高血圧であることを自覚し医療機関で診察を受け、必要な場合はお薬を服用するのはもちろん大切なことです。
しかし高血圧症と診断される際の基準が、昔と比べ大幅に引き下げられたこともまた事実です。
2000年までは高血圧症と判断される収縮期(上)の上限が180mmHgに設定されていたため、例えば血圧が160の人であっても「正常」と判断されていました。
それが2008年までの8年間の間の間に基準値が50引き下げられ、現在は130mmHgとなっています。
収縮期の血圧が130を超えていて高血圧と診断された人であっても、180以下であれば2000年までの時点であれば「正常」なのです。
そのため特にお薬の服用については、それが本当に必要なのかどうか、医師としっかり話し合うことが大切であると思われます。
高血圧症と診断されお薬の服用をすすめられたものの、からだも元気で薬を飲むことに抵抗や違和感を感じる場合は、「セカンドオピニオン」を求めることをお勧めします。
薬に頼らずとも食事療法や運動療法で改善できる場合もありますし、何より高血圧となった原因をしっかりと分析して、生活習慣を見直すことが大切です。
また、むやみに血圧を下げすぎると「脳梗塞」のリスクが高まるとも言われています。
脳梗塞とは血栓(小さな血の塊)が、脳の血管に詰まってしまう病気です。
この時ある程度血圧が高ければ詰まりかけた血栓を押し流すことで脳梗塞のリスクを抑えることができますが、血圧が低いとそれができずにリスクが高くなってしまいます。
血圧値だけを見るのではなく自身の健康状態や身体の状態を総合的に捉えた上で、どのような治療がベストなのかを判断するとよいでしょう。
最後に、血圧を測定する際の注意点をお伝えします。
血圧は測定する際の精神状態や体調によって、数値が大きく動いてしまう場合がございます。
血圧は最低10分は安静にした後で、測るようにしましょう。
肉体労働や運動をした直後ですと、通常時より高い数値が出てしまいます。
またイライラや緊張といった気持ちが高ぶった状態の時も血圧は高くなりますので、測定は心が安定した状態で行うようにしましょう。
一口に「高血圧症」といってもその原因や身体の状態は、十人十色です。
自身にとってどんな治療がベストであるのか、広い視野を持って考えることが大切です。