「膝が痛くて歩くのがつらい…でも、手術だけは怖い」 「医師に人工関節を勧められたが、入院もリハビリも仕事の都合で難しい」
変形性膝関節症と診断された方の多くが、このような悩みを抱えています。
結論からお伝えすると、変形性膝関節症と診断されても、必ずしもすぐに手術が必要なわけではありません。
実際に、多くの方が「手術以外の治療法(保存療法)」によって痛みをコントロールし、日常生活を送っています(参考:日本整形外科学会 1)。
しかし、漫然と湿布を貼るだけでは症状は進行してしまいます。
大切なのは、現在の症状に合わせた最適な治療法を選び取ることです。
この記事では、保険適用の基本的な治療から、近年注目されている再生医療などの最新治療、そして自宅でできるセルフケアまで、「手術しないで膝の痛みを治す・和らげる」ための具体的な戦略を網羅的に解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。
通院1回につき1万円程度、入院1泊あたり2万円程度が負担軽減費の相場
安心・信頼できるのみ試験を紹介しており、安全に配慮された環境下で行われます。
そもそも変形性膝関節症は「手術なし」で完治するのか?
まず、多くの患者様が抱く「治る」という言葉の意味について整理しましょう。
「治る」の定義を正しく理解する
残念ながら、一度すり減って変形してしまった軟骨や骨を、手術なしで「新品同様のツルツルの状態に戻す」ことは、現代の医学では困難です。
その意味での「完治」は難しいと言わざるを得ません(参考:日本整形外科学会 2)。
しかし、変形性膝関節症の治療における「治る」とは、「痛みがなくなり、日常生活に支障がない状態になること」を指すのが一般的です。
骨の形が変形していても、炎症が治まり、周囲の筋肉が関節を支えられるようになれば、痛みを感じずに歩いたり旅行に行ったりすることは十分に可能です(参考:国立長寿医療研究センター 4)。
手術が必要になる「限界ライン」とは?
では、どのような状態になると手術を検討すべきなのでしょうか。
一般的には以下の症状が「保存療法の限界」の目安とされています(参考:日本整形外科学会 1)。
- 安静時痛: 寝ている時や座っている時にも激しい痛みがある。
- 可動域制限: 膝が伸びない、または90度くらいしか曲がらず、生活に著しい支障がある。
- 歩行困難: 数十メートル歩くだけで痛みが走り、外出がままならない。
- 保存療法の無効: 半年以上、真面目にリハビリや注射を続けても改善が見られない。
逆に言えば、これらの状態に至るまでは、手術以外の方法で症状改善を目指せる可能性が高いといえます。
「手術しないとどうなる?」放置のリスクと正しい向き合い方
「手術は嫌だから」といって、痛みを我慢して放置すること(未治療)は最も危険です。
痛みをかばって歩くことで、反対側の膝や腰に負担がかかり、身体全体のバランスが崩れてしまいます。
また、動かないことで筋力が低下し、余計に膝への負担が増す「負のスパイラル」に陥ります。
手術を選択しない場合でも、専門医の指導の下で「進行を遅らせる」「痛みを管理する」積極的な保存療法を継続することが不可欠です。
基本の保存療法

日本の医療保険制度で受けられる治療は非常に充実しています。
まずはこれらの基本を徹底することが治療の第一歩です。
運動療法とリハビリ(筋力強化が天然のサポーターになる)
変形性膝関節症のガイドラインにおいて、最も推奨度が高いのが「運動療法」です(参考:日本整形外科学会 1)。
膝関節への衝撃を吸収してくれるのは「大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)」です。
この筋肉を鍛えることは、自前のサポーターを身につけるようなものです。
- 脚上げ体操: 仰向けになり、片足を伸ばしたまま床から10cmほど上げる。
- プール歩行: 水の浮力で膝への負担を減らしつつ筋力をつける。
これらを理学療法士の指導の下で行うことが重要です(参考:厚生労働省 3)。
薬物療法(内服薬、湿布)の正しい使い方
痛み止め(消炎鎮痛薬)は、「痛みを散らすだけの対症療法」と敬遠されがちですが、適切に使うことで「痛みが減る→動けるようになる→筋力がつく→さらに痛みが減る」という良い循環を作ることができます(参考:国立長寿医療研究センター 4)。
飲み薬だけでなく、塗り薬や湿布も炎症を抑えるのに有効です。
ただし、胃腸への負担や腎機能への影響を考慮し、漫然と飲み続けるのではなく、痛みが強い時期に限定して使用することが推奨されます。
ヒアルロン酸注射の効果と限界
関節の潤滑油であるヒアルロン酸を膝に直接注射する治療です。
初期〜中期の患者様には即効性が期待できます。
よく「何回まで打っていいの?」という質問がありますが、一般的には週1回を5回程度続け、その後は2週に1回、月に1回と間隔を空けていきます。
効果が感じられないのに何ヶ月も打ち続けることは推奨されません。
効果がない場合は、別の治療法を検討するタイミングです(参考:国立長寿医療研究センター 4)。
装具療法(サポーター、足底板)の効果
膝用サポーターや、靴の中に入れるインソール(足底板)を使用します。
特にO脚変形がある場合、足の外側を高くしたインソールを使うことで、膝の内側にかかる負担を軽減できます。
これらは医師の処方があれば保険適用で作ることができます(参考:日本整形外科学会 2)。
【最新治療】手術を回避するための「第三の選択肢」

近年、保存療法では効果がないが、手術までは踏み切りたくないという方のための「新しい選択肢」が登場しています。
これらは主に自費診療(保険適用外)となります。
再生医療(PRP療法・幹細胞治療)の仕組みと期待できる効果
自身の血液や脂肪を活用して、膝の炎症を抑えたり組織の修復を促したりする治療法です。
- PRP-FD療法: 自分の血液から血小板由来の成長因子を抽出し、膝に注射します。日帰りで受けられ、身体への負担が少ないのが特徴です(参考:日本医科大学 5)。
- 幹細胞治療: 腹部などの脂肪から幹細胞を採取・培養し、膝に投与します(参考:東京科学大学 6)。
これらは「すり減った軟骨が完全に元通りになる」魔法の治療ではありませんが、強力な抗炎症作用により、長期間の除痛効果が期待できます。
最新の痛みの治療(カテーテル治療、クーリーフなど)
- 運動器カテーテル治療: 痛みのある場所にできている異常な血管(モヤモヤ血管)をカテーテルで塞ぎ、痛みを根本から遮断しようとする治療法です。
- 高周波治療(クーリーフ): 痛みを伝える神経に対し、高周波で熱凝固を行い、痛みの伝達をブロックする方法です。
これらは一部の医療機関で導入されていますが、現時点では日本整形外科学会のガイドラインにおける標準治療としては確立されていません。
効果や適応については慎重な判断が必要です(参考:日本整形外科学会 1)。
メリット・デメリットと費用の相場
- メリット: 入院不要または短期間、手術のような切開がない、高齢でも受けられる。
- デメリット: 保険が効かないため高額。効果には個人差がある。
- 費用の目安: PRP療法で数万〜数十万円、幹細胞治療では100万円以上かかる場合もあります。費用対効果については、事前に医師と十分な相談が必要です。
【セルフケア】今日からできる!進行を食い止める生活習慣
病院での治療と同じくらい大切なのが、日常生活でのケアです。
「1日何歩?」適切な運動量と歩き方
「歩いた方がいい」と言われますが、痛みを我慢しての歩きすぎは逆効果です。
変形性膝関節症の方の場合、医学的な一律の推奨歩数はありませんが、翌日に痛みを持ち越さない範囲でのウォーキングが推奨されます(参考:厚生労働省 3)。
痛みが強い日は無理に歩かず、家の中でストレッチをする程度に留めましょう。
クッション性の高い靴を選ぶことも大切です。
膝に負担をかけない減量・食事のポイント
体重は膝への負担に直結します。
歩行時には体重の約3倍の負荷が膝にかかると言われています(参考:国立長寿医療研究センター 4)。
つまり、1kg痩せるだけでも、膝への負担は3kg分程度軽くなる計算になります。
無理な食事制限は筋肉を落としてしまうため、タンパク質をしっかり摂りながら、糖質や脂質をコントロールする健康的なダイエットを心がけましょう。
やってはいけないNG行動
- 正座、横座り: 膝を深く曲げる動作は関節への負担が最大級です。椅子中心の生活(洋式スタイル)への変更を推奨します。
- 重い荷物を持っての階段: エレベーターやエスカレーターを積極的に使いましょう。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では変形性膝関節症でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
変形性膝関節症に関するよくある疑問
Q. 再生医療は保険適用になりますか?
A. 現時点では、変形性膝関節症に対するPRP療法や幹細胞治療は、ほとんどが自由診療(全額自己負担)です。
一部の大学病院などで治験として行われる場合を除き、費用はクリニックによって異なるため確認しましょう(参考:日本医科大学 5)。
Q. 高齢で手術ができないと言われましたが、治療法はありますか?
A. 手術ができない方こそ、保存療法や再生医療の対象となります。
特にヒアルロン酸注射やPRP療法は身体への侵襲(ダメージ)が少ないため、高齢の方や持病がある方でも受けられるケースが多いとされています。
Q. 膝から水を抜くと癖になるって本当ですか?
A. これはよくある誤解です。
水を抜くから水が溜まるのではなく、「炎症が続いているから水が溜まり続ける」のです(参考:日本整形外科学会 2)。
水(関節液)が溜まりすぎると膝の動きが悪くなり軟骨を傷めるため、必要に応じて抜くことが推奨されています。
まとめ
変形性膝関節症になったからといって、すぐに「手術」か「寝たきり」かの二択になるわけではありません。
- 基本の保存療法(運動・薬・注射)を正しく行う。
- 生活習慣を見直し、膝への負担を減らす。
- 必要であれば、再生医療などの新しい選択肢も検討する。
これらのステップを踏むことで、手術をせずに痛みをコントロールし、自分らしい生活を続けている方はたくさんいます。
「もう歳だから」「手術しかないと言われたから」と諦める前に、膝の専門医に「手術以外の方法で治したい」と相談してみてください。あなたに合った治療法は、きっと見つかります。
参考資料・文献一覧
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」(Mindsガイドラインライブラリ) https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00793/
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症(症状・病気をしらべる)」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html
- 厚生労働省「変形性ひざ関節症の人を対象にした 運動プログラム」 https://www.mhlw.go.jp/content/000656473.pdf
- 国立長寿医療研究センター「膝関節の痛みと治療について」 https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/37.html
- 日本医科大学「変形性膝関節症に対するPRP療法」 https://www.nms.ac.jp/hosp/section/orthopedics/guide/_11580.html
- 東京科学大学「自家滑膜幹細胞注射による変形性膝関節症治療についての説明書」 https://saiseiiryo.mhlw.go.jp/published_plan/download/02C2412011/5/0
- 慶應義塾大学病院「KOMPAS 変形性膝関節症」 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000190/
- 厚生労働省eJIM「変形性関節症に対する補完療法について知っておくべき7つのこと」 https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c05/14.html
