ひどい虫歯の治療費はいくら?進行度別・治療法別に解説

2025年7月16日

ひどい虫歯に悩む方にとって、治療費や治療内容、痛みやリスクは大きな不安要素です。

この記事では歯科医 古舘 辰彦医師監修のもと、虫歯の進行度別に治療費の相場や、根管治療・抜歯・インプラントなどの治療法、保険診療と自由診療の違いを詳しく解説します。

さらに治療費を抑えるコツや支払いが難しい場合の対処法、信頼できる歯医者の選び方まで網羅。

早期治療の重要性や予防歯科の活用方法も紹介し、ひどい虫歯を放置するリスクについても触れます。

安心して治療に臨むための情報をぜひご覧ください。

ひどい虫歯の治療費はいくら?進行度別の目安

虫歯の進行度別に治療費に目安を紹介します。

軽度・中度・重度での治療費相場

虫歯の治療費は進行度によって大きく異なります。

虫歯は一般的にC0(初期)からC4(末期)までの5段階で分類されます。

軽度(C1~C2)では歯の表面やエナメル質が溶けた状態で、治療は比較的簡単です。

保険診療の場合、C1ではフッ素塗布や経過観察で済むことが多く、費用は1,000~2,000円程度。

C2では虫歯部分を削り、コンポジットレジンで詰める治療が一般的で、3,000~6,000円(3割負担)が目安です。

中度のC3では歯の神経に虫歯が達し、内部の細菌除去を行う根管治療が必要となるため、7,000~20,000円程度かかります。

重度(C4)になると抜歯や失われた歯を人工物で補う補綴(ほてつ)治療が必要で、費用はさらに増加します。

早期発見・治療が費用を抑える鍵であるため、定期検診で虫歯を早めに見つけることが重要です。

>>虫歯の自然治癒は初期段階に限る!初期虫歯のケア方法と注意点を解説

ひどい虫歯(重度・末期)の治療費目安

ひどい虫歯(C3~C4)は歯の神経や根にまで影響が及んだ状態を指し、治療費は高額になりがちです。

C3では根管治療が行われ、保険診療で1本あたり7,000~20,000円程度。

C4では歯冠がほぼ崩壊し、抜歯が必要な場合が多く、抜歯自体の費用は2,000~7,000円(保険適用)。

その後、失った歯を補うために入れ歯(5,000~15,000円)、ブリッジ(7,000~20,000円)、インプラント(30~60万円、自由診療)が必要となり、総額は治療内容で大きく変動します。

自由診療のインプラントは1本30~40万円が相場ですが、医院や使用素材により60万円を超える場合もあります。

正確な費用は医院での診断が必要です。

保険診療と自由診療の違い

虫歯の治療費を考える上で、保険診療と自由診療の違いを理解することが大切です。

保険診療は公的医療保険が適用され、患者の自己負担は1~3割で済みます。

虫歯治療、根管治療、抜歯、入れ歯、ブリッジの一部が対象で、費用は比較的抑えられます。

ただし、使用できる素材(例:銀歯やプラスチック)や治療法に制限があります。

一方で自由診療は保険適用外で全額自己負担となり、費用は高額ですが、セラミックやインプラントなど審美性や機能性に優れた治療が可能です。

例えば、自由診療のセラミックインレーは3~10万円、インプラントは30~60万円が相場。

保険診療は費用を抑えたい場合に適し、自由診療は見た目や耐久性を重視する場合に選ばれます。

ひどい虫歯でも治療は可能?どんな治療をするのか

ひどい虫歯に対する治療法例を解説します。

ひどい虫歯の治療法の種類

ひどい虫歯でも多くの場合、適切な治療で機能を回復できます。

治療法は虫歯の進行度や歯の状態に応じて異なります。

C3では根管治療で歯を残す試みが行われますが、C4では抜歯が必要になる可能性が高いです。

抜歯が必要な場合、抜歯後にブリッジ、入れ歯、またはインプラントで補います。

根管治療は神経や感染部分を除去し歯を保存する治療で、成功率は高いものの再発リスクもあります。

一方で抜歯後の補綴治療(失われた歯を人工物で補う歯科治療)では、ブリッジや入れ歯は隣の歯に負担をかける可能性があります。

ただし、インプラントは独立した人工歯根で自然な噛み心地が得られます。

根管治療とは?費用と特徴

根管治療は、歯の神経や血管が感染したC3~C4の虫歯に施される治療です。

歯髄(しずい)を除去し、根管内を洗浄・消毒後、充填材で密封し、被せ物を装着します。

保険診療の場合、前歯で約7,000円、小臼歯で約10,000円、大臼歯で約15,000~20,000円が相場とされます。

また、マイクロスコープを使用した精密治療という治療法もありますが、自由診療のため5~10万円程度かかる場合もあります。

精密治療は歯を残せる可能性がありますが、治療は複数回(4~6回)に及び、精密さが求められます。

そのため、専門性の高い医院を選ぶことが推奨されます。

抜歯・ブリッジ・インプラントの費用相場

重度のひどい虫歯で歯を残せない場合、抜歯とその後の補綴治療が必要です。

抜歯は保険適用で2,000~7,000円(親知らずは2,000~10,000円)。

抜歯後は、

・ブリッジ(保険適用で7,000~20,000円、自由診療で10~30万円)
・部分入れ歯(保険適用で5,000~15,000円、自由診療で10~50万円)
・インプラント(自由診療で30~60万円)

が選択肢です。

インプラントは高額ですが、隣の歯を削らず自然な噛み心地が得られるメリットがあります。

ひどい虫歯治療の期間・回数・痛み

ひどい虫歯の治療は期間と回数が多く、痛みへの配慮も重要です。

根管治療は4~6回の通院で1~2か月かかるようなケースが多いです。

抜歯は1回で済みますが、補綴治療(ブリッジや入れ歯)は型取りや調整で5回以上、2~3か月を要することもあります。

また、インプラントは手術や骨の定着に3~6か月かかる場合もあります。

治療の痛みは麻酔で軽減されますが、根管治療中のズキズキ感や抜歯後の腫れが気になる場合があります。

ひどい虫歯を放置した場合のリスク

ひどい虫歯を放置するリスクについて解説します。

歯を失うリスク

ひどい虫歯を放置すると、歯を失う可能性が高まります。

C4まで進行すると歯冠(目に見える部分の歯)が崩壊し、根管治療が困難になるため抜歯が必要にケースもあります。

また、抜歯後は噛み合わせの乱れや隣の歯の移動が起こり、さらなる治療が必要になる可能性があります。

このようにひどい虫歯の放置は治療費や治療期間の増大につながるため、早めの受診が不可欠です。

虫歯がひどいと歯医者に行くのが恥ずかしいという方もいますが、歯を失うリスクを考え行動に移しましょう。

全身の健康への悪影響

虫歯が進行すると、口腔内だけでなく全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

重度の虫歯は細菌の感染源となり、顎骨炎(がっこつえん)や上顎洞炎(じょうがくどうえん)などの炎症を引き起こす場合もあります。

さらに虫歯菌が血流に乗って全身に広がると、脳梗塞や心筋梗塞といった疾患のリスクが高まることも指摘されています。

実際、歯周病や虫歯が原因で心臓や脳に影響を及ぼした症例が報告されており、放置は命に関わる危険性をはらんでいます。

虫歯を放置せず早めに治療することで、全身の健康を守ることにも繋がっていくのです。

ひどい虫歯の治療費を払えない場合の対処法

虫歯の治療費が高額で払えない際の対処法を解説します。

デンタルローンや分割払い

治療費が高額で支払いが難しい場合、デンタルローンや分割払いが有効な選択肢です。

デンタルローンは歯科治療専用のローンで、信販会社や銀行が提供し、インプラントやセラミック治療などの自由診療に利用可能。

金利は5~8%程度で、クレジットカード(金利15%程度)に比べ低めです。

例えば、30万円のインプラント治療を36回払いにすると、月々の返済額は約9,000円から(金利含む)。

ただし、審査が必要で追加融資は原則不可です。

また、分割払いは一部の歯科医院で対応しており、クレジットカードや医院独自の分割プランを利用可能。

無料・低額診療事業の利用

経済的に治療費の支払いが難しい場合、無料・低額診療事業が助けになります。

この制度は低所得者や生活保護受給者などを対象に、無料または低額で治療を提供するものです。

利用には社会福祉協議会や対応医院への相談が必要で、対象者は収入状況や生活困窮度に基づき決定されます。

ただし、対応している歯科医院は限られており、事前に地域の福祉事務所やウェブサイトで確認が必要です。

医療費控除で負担を軽減する

医療費控除を活用すると、治療費の負担を軽減できます。

年間(1月1日~12月31日)の医療費が10万円を超える場合、確定申告で税金の一部が還付されます。

保険診療・自由診療問わず、虫歯治療やインプラント、根管治療は対象ですが、審美目的(例:ホワイトニング)は除外されます。

また、通院の交通費(公共交通機関)も含まれますが、デンタルローンの金利やガソリン代は対象外です。

領収書やローンの契約書を保管し、早めに申告手続きを行うことが重要です。

治療費の負担を抑えるコツ

虫歯の治療費を抑える方法について解説します。

早期治療の重要性

虫歯の治療費を抑えるには、早期治療が最も効果的です。

初期(C1~C2)の虫歯はフッ素塗布や簡単な詰め物で治療でき、費用は1,000~6,000円程度。

また、早期発見なら通院回数も少なく、痛みや治療期間も短縮可能です。

定期検診(3,000~5,000円)で虫歯を早期に見つければ、経済的・身体的負担が大幅に減ります。

予防歯科の活用

予防歯科を取り入れることで、虫歯の進行を防ぎ治療費を節約できます。

定期的なクリーニング(3,000~10,000円、保険適用可)やフッ素塗布、ブラッシング指導は虫歯や歯周病の予防に有効です。

予防歯科に力を入れる医院では生活習慣指導も行っており、虫歯リスクを長期的に低減できる可能性もあります。

治験に参加する

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本では虫歯でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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ひどい虫歯でも通いやすい歯医者の選び方

通いやすい歯医者の選び方を解説します。

医院の治療実績・口コミを確認する

信頼できる歯科医院を選ぶには、治療実績や口コミの確認が欠かせません。

豊富な治療実績のある医院は、複雑な根管治療やインプラントに対応可能なことが多いです。

口コミサイトや医院のウェブサイトで、患者の体験談や症例写真を確認すると、治療の質や信頼性がわかります。

また、事前にカウンセリングを受け、治療方針や費用の説明が丁寧かどうかも重要な判断基準です。

分割払い・ローン対応をチェックする

支払い方法の柔軟性も医院選びの重要なポイントです。

デンタルローンやクレジットカード払いに対応している医院は、高額治療の負担を軽減できる可能性があります。

医院のウェブサイトや電話で支払いオプションを確認し、契約前に金利や返済期間を明確にすることが大切です。

よくある質問

ひどい虫歯の治療に関するよくある質問を紹介します。

ひどい虫歯は本当に治療できる?

ひどい虫歯でも多くの場合、治療で機能を回復できます。

C3では根管治療で歯を残せる可能性があり、C4でも抜歯後にブリッジやインプラントで失われた歯を補うことが可能。

ただし、歯根の状態によっては抜歯が必要な場合もあるため、早めの受診が重要です。

治療費が高くなるのはなぜ?

治療費が高くなる主な理由は、虫歯の進行度と治療の複雑さにあります。

重度虫歯(C3~C4)は根管治療や抜歯、補綴治療が必要で、材料や技術のコストが増加します。

自由診療ではセラミックやインプラントの使用でさらに高額になる可能性があります。

保険が効かないケースは?

保険が適用されないケースは、自由診療が主です。

インプラント、ホワイトニング、審美目的のセラミック治療、ノンクラスプデンチャーなどは全額自己負担となります。

ただし、機能回復目的の治療(例:インプラントやセラミックの一部)は医療費控除の対象になる場合もあります。

治療前に保険適用の範囲を確認することが重要です。

まとめ

ひどい虫歯の治療は、進行度や治療法によって費用が大きく異なります。

軽度なら数千円で済む一方、重度では根管治療やインプラントで数十万円かかることもあります。

ただし、デンタルローンや医療費控除、無料・低額診療事業を活用すれば経済的負担を軽減できる可能性もあります。

虫歯を放置すると歯の喪失や全身疾患のリスクが高まるため、早期治療を心がけましょう。

記事監修医情報

記事監修者情報

古舘 辰彦(ふるたち たつひこ)
歯科医、かまくらサンライズ歯科院長、インビザライン認定医、国際アメリカインプラント学会(IDIA)認定医

歯科医師として予防歯科・一般歯科診療に長年従事。虫歯や歯周病の早期発見・早期対応を重視し、患者さんが安心して通える歯科医療を提供。

本記事では、医学的情報の正確性と内容監修を担当。

所属学会:

  • 日本歯科医師会
  • 神奈川歯科医師会

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