白い口内炎が治らない?原因と治し方を解説

2025年7月16日

痛みを伴う口内炎が中々治らないと気分が憂鬱になりますよね。

「口内炎のせいでご飯を味わって食べられない…」といった経験がある方は、少なくないでしょう。

口内炎は多くの人が経験する一般的な症状ですが、症状によっては注意が必要なケースもあります。

この記事では歯科医 古舘 辰彦医師監修のもと、白い口内炎の原因や種類、治療法、受診のタイミングまで詳しく解説します。

正しい知識を身につけ、適切なケアで早期回復を目指しましょう。

口内炎が白くなる原因

口内炎が白くなる原因について解説します。

なぜ白く変化するのか

口内炎が白く見えるのは口腔内の粘膜が損傷し、表面が変性したり、炎症が進行したりするためです。

これには物理的な刺激(硬い食べ物や歯ブラシの擦れ)や細菌・ウイルス感染が関与することが多いとされています。

口内炎は通常、赤みを帯びた状態から始まりますが、進行すると白く変化することがあります。

特に刺激や感染が加わるとこの変化が顕著になります。

白い口内炎は見た目だけでなく、原因を正しく理解することで適切な対処が可能になります。

白い膜や潰瘍の仕組み

白い膜や潰瘍は、口内炎の進行段階や種類によって形成されます。

口腔粘膜が傷つき表層が剥がれると、内部の組織が露出。

これが炎症を起こし、フィブリンというタンパク質が固まって白い膜を形成します。

特にアフタ性口内炎では潰瘍の中心が白く、周囲が赤く腫れるのが典型的です。

ストレスや疲労で免疫力が低下すると、細菌や真菌が繁殖しやすくなり、白い膜が厚くなることもあります。

この白い膜は自然治癒の過程で剥がれる場合もありますが、適切なケアが重要です。

痛みを伴うケースと無痛のケース

白い口内炎には、痛みを伴うものと無痛のものがあります。

痛みを伴う場合、アフタ性口内炎やヘルペス性口内炎が代表的です。

炎症が強く、食べ物や飲み物がしみることで日常生活に支障が出ることがあります。

一方で無痛の口内炎は、カンジダ性口内炎や白板症(はくばんしょう)など、特定の疾患が関与する可能性があります。

例えばカンジダ性口内炎は白い膜が特徴ですが、痛みが少ないこともあります。

痛みの有無にかかわらず、長引く場合は専門医の診断を受けることが大切です。

白い口内炎の主な種類と特徴

白い口内炎の中にもいくつか種類が存在します。

アフタ性口内炎の特徴

アフタ性口内炎は最も一般的な口内炎で、白い潰瘍が特徴です。

直径数ミリから1センチ程度の円形の白い潰瘍が頬の内側や舌、歯茎にでき、痛みを伴います。

直接的な原因は不明ですが、影響不足や睡眠不足、ストレス、刺激など複合的な要因が関係しているとされています。

通常1~2週間で自然治癒することが多いです(参考:日本口腔外科学会1)。

カンジダ性口内炎(真菌感染)

カンジダ性口内炎は、カンジダ菌という真菌が原因で起こります。

白い膜が舌や頬の内側に広がり、拭うと赤い粘膜が現れるのが特徴です。

免疫力低下や抗生物質の長期使用が原因となり、糖尿病患者や高齢者に多いとされます。

抗真菌薬による治療が必要な場合もあるため、放置は避けましょう。

ヘルペス性口内炎(ウイルス感染)

ヘルペス性口内炎は、単純性ヘルペスウイルスによる感染症です。

小さな水疱が破れて白い潰瘍を形成し、強い痛みを伴います。

発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。

免疫力が低下しているときに発症しやすく、再発リスクもあります。

例として、疲労や風邪が再発の引き金になることがあります。

治療には抗ウイルス薬が必要な場合があり、専門医の診断が推奨されます。

ニコチン性口内炎

ニコチン性口内炎は、喫煙が主な原因で起こる口内炎です。

口腔の粘膜が白く厚くなり、特に上あごに白い斑点が現れます。

タバコの熱や化学物質が粘膜を刺激し、慢性的な炎症を引き起こすことが原因とされます。

喫煙歴の長い人に多く見られ、禁煙が改善の第一歩です。

長期間放置すると、口腔がんのリスクが高まる可能性があるため注意が必要です。

カタル性口内炎との違い

カタル性口内炎は、広範囲の粘膜が赤く腫れるタイプで、白い膜はあまり見られません。

細菌感染やアレルギー、刺激物が原因で、発赤や軽い痛みが特徴です。

たとえば、入れ歯の不適合や、口の中を噛んでしまった、辛い食べ物が原因となることがあります。

また、アフタ性やカンジダ性口内炎とは異なり、潰瘍が少ない傾向があります。

白い膜が主症状でない場合、カタル性口内炎の疑いがあります。

白い口内炎が治らない理由とは

白い口内炎が中々治らない理由には、いくつかの要因が考えられます。

免疫力の低下やストレス

白い口内炎が長引く場合、免疫力の低下やストレスが関与している可能性があります。

免疫力が低下すると、細菌やウイルス、真菌が繁殖しやすくなり、治癒が遅れます。

ストレスはホルモンバランスを崩し、口腔内の環境を悪化させる一因となる可能性があります。

ストレス管理や十分な休息が口内炎治癒の鍵となります。

慢性化する生活習慣

生活習慣の乱れも、口内炎の治癒を妨げる要因です。

喫煙、過度な飲酒、栄養バランスの偏り(特にビタミンB群や鉄分不足)は、粘膜の修復を遅らせます。

規則正しい生活と口腔ケアが改善につながります。

重大な病気のサインも

白い口内炎が治らない場合、重大な疾患が隠れている可能性もあります。

白板症や口腔がん、自己免疫疾患(ベーチェット病など)が関与する場合があります。

これらは白い斑点や潰瘍が長期間続く特徴があります。

例として、口腔がんは無痛の白い斑点が初期症状の場合もあります(参考:日本歯科衛生士会2)。

2週間以上治らない場合は、専門医の診察が推奨されます。

口内炎と間違えやすい疾患

他の疾患の中には見た目が口内炎に似たものも存在します。

白板症

白板症は、口腔内の白い斑点が特徴の前がん状態です。

白い膜を拭いても取れず、硬い感触があるのが特徴です。

ビタミンAやBの不足や喫煙、慢性的な刺激などが原因で、悪性化するリスクもあります。

たとえば、長期間のタバコ使用者が発症しやすいとされます。

白板症は早期発見が重要で、定期的な口腔チェックが推奨されます。

口腔がん・舌がん

口腔がんや舌がんは、白い口内炎と誤認されることがあります。

白い斑点や潰瘍が長期間治らず、出血やしこりを伴う場合、がんの可能性があります。

早期発見で治療成功率が上がるため、異変に気づいたらすぐ専門医を受診をしましょう(参考:日本口腔外科学会3)。

受診が必要な症状のチェックポイント

白い口内炎で受診を考えるべき症状には以下が含まれます。

・2週間以上治らない
・痛みが強くなる、または無痛のまま続く
・出血やしこりを伴う

これらの症状は、単なる口内炎ではない可能性があります。

例として、発熱やリンパ節の腫れが加わると、感染症やがんの可能性も疑われます。

自己判断せず、早めに医療機関へ相談をしましょう。

白い口内炎の治療とケア方法

白い口内炎は薬の使用に限らず、日常的なケアで改善する可能性があります。

市販薬・塗り薬の使い方

市販薬は白い口内炎の症状緩和に役立ちます。

ステロイド軟膏(トリメシノロンなど)や抗炎症成分を含むパッチ(アフタッチなど)が一般的です。

使用時は患部を清潔にし、説明書通りに塗布しましょう。

ただし、長期間の使用は避け、改善が見られない場合は医師に相談するのが安全です。

口腔ケア・清潔を保つポイント

口腔内の清潔は、口内炎の悪化防止に不可欠です。

柔らかい歯ブラシで優しく磨き、刺激の少ないうがい薬(イソジンなど)を使用。

例えば、食後に軽くうがいをすると細菌の繁殖を抑えられます。

食事・栄養管理

栄養バランスの良い食事は、口内炎の治癒をサポートします。

ビタミンA(にんじん、ほうれん草)、ビタミンB群(レバー、卵)、亜鉛(牡蠣、ナッツ)を積極的に摂取することが推奨されます。

刺激物(辛いもの、酸っぱいもの)は避けた方が賢明です。

ストレスコントロールと睡眠

ストレスと睡眠不足は口内炎の悪化要因の一つです。

ストレスは免疫力を下げ、治癒を遅らせる可能性があります。

リラックスできる時間(ヨガ、瞑想)や十分な睡眠(7~8時間)を確保するのが理想的です。

医療機関を受診すべきタイミング

口内炎で医療機関を受診する目安について解説します。

2週間以上治らない場合

口内炎が2週間以上続く場合、単なる炎症ではない可能性があります。

白板症や口腔がん、感染症などが疑われるため、医療機関の受診が推奨されます。

長引く場合は、早めの受診で適切な診断が可能です。

痛みが増す・出血を伴う場合

強い痛みや出血を伴う口内炎は、緊急性のあるサインです。

ヘルペス性口内炎やがんの可能性があり、迅速な治療が必要です。

また、発熱やリンパ節の腫れも危険信号の一つとされています。

病院での診断・治療法例

病院では視診や生検(組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく調べる検査)、血液検査で原因を特定します。

治療法には、抗真菌薬(カンジダ性)、抗ウイルス薬(ヘルペス性)、ステロイド療法などがあります。

がんが疑われる場合は、手術や放射線治療の可能性もあります。

新たな治療法を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本では口内炎でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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よくある質問(Q&A)

白い口内炎に関するよくある質問を紹介します。

白い口内炎はうつるの?

白い口内炎の感染性は原因によります。

ヘルペス性口内炎は、免疫力が低い人に感染する可能性があります。

例えば、キスや食器共有などが感染経路の一つとされています。

一方でアフタ性口内炎は感染しません。

衛生管理を徹底し、感染予防を心がけましょう。

自然治癒はどのくらいかかる?

アフタ性口内炎は通常1~2週間で自然治癒します。

カンジダ性やヘルペス性は治療が必要な場合が多く、放置すると長引く可能性があるため注意が必要です。

たとえば、適切なケアでアフタ性口内炎は10日程度で改善する傾向にあります。

治癒が遅い場合は、医療機関で相談をしましょう。

まとめ|白い口内炎を放置しないために

白い口内炎は、単なる炎症から重大な疾患まで幅広い原因があります。

2週間以上治らない、痛みや出血がひどい場合は、早めの受診が重要です。

また、日常のケアが口内炎の予防と改善に役立ちます。

口腔衛生、栄養管理、ストレスコントロールを徹底し、バランスの良い食事、十分な睡眠を心がけましょう。

参考資料・サイト一覧
1.日本口腔外科学会 https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/
2.日本歯科衛生士会 https://www.jdha.or.jp/topics/health/c/153/
3.日本口腔外科学会 https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_akusei/

記事監修医情報

記事監修者情報

古舘 辰彦(ふるたち たつひこ)
歯科医、かまくらサンライズ歯科院長、インビザライン認定医、国際アメリカインプラント学会(IDIA)認定医

歯科医師として予防歯科・一般歯科診療に長年従事。虫歯や歯周病の早期発見・早期対応を重視し、患者さんが安心して通える歯科医療を提供。

本記事では、医学的情報の正確性と内容監修を担当。

所属学会:

  • 日本歯科医師会
  • 神奈川歯科医師会