「毎月のリウマチの薬代が高すぎて、生活が苦しい」

「貯金を切り崩してきたけれど、もう限界かもしれない」

関節リウマチの治療、特に生物学的製剤やJAK阻害薬などの最新治療は、劇的な効果が期待できる一方で、医療費が高額になりがちです(参考:日本リウマチ学会 1)。

窓口で請求される数万円の金額を見て、「この支払いが一生続くのか」と途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、経済的な理由だけで治療を諦める必要はありません。

日本の医療制度には、高額な治療費負担を軽減するための「セーフティネット(支援制度)」が複数用意されています。

この記事では、リウマチ治療の費用負担に悩む方へ、今すぐ確認すべき公的支援制度や、負担を減らすための具体的な対処法を分かりやすく解説します。

痛みと不安のない生活を守るために、ぜひ参考にしてください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

リウマチでお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。

※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。

「治療費が払えない」と諦める前に確認したい公的支援制度

リウマチ患者さんが利用できる支援制度は、大きく分けて「誰でも使えるもの」「症状によるもの」「障害の程度によるもの」があります。

まずは、多くの患者さんが対象となる制度から確認していきましょう。

【全員対象】高額療養費制度(限度額適用認定証)

最も基本的かつ強力な制度が「高額療養費制度」です。

これは、1ヶ月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度です(参考:厚生労働省 2)。

ポイント:窓口での支払いを最初から安くする「限度額適用認定証」

後から払い戻しを受ける場合、一時的に高額な建て替え払いが必要になります。

しかし、事前に加入している健康保険組合や市町村で「限度額適用認定証」を入手し、病院の窓口で提示すれば、支払額を最初から自己負担限度額まで抑えることができます(参考:協会けんぽ 3)。

自己負担限度額の目安(70歳未満の場合)

所得区分(年収の目安)1ヶ月の自己負担限度額の目安
約1,160万円〜約252,600円 + (医療費-84.2万円)×1%
約770〜1,160万円約167,400円 + (医療費-55.8万円)×1%
約370〜770万円約80,100円 + (医療費-26.7万円)×1%
〜約370万円57,600円
住民税非課税世帯35,400円

※実際の金額は医療費総額により若干変動します。年収の目安は標準報酬月額に基づきます(参考:協会けんぽ 3)。

【長期治療向け】高額療養費の「多数回該当」

リウマチのように治療が長期にわたる場合に適用されるのが「多数回該当」という仕組みです。

直近12ヶ月以内に高額療養費制度を3回以上利用した場合、4回目からは自己負担限度額がさらに引き下げられます(参考:厚生労働省 2)。

年収約370〜770万円の方の例

  • 通常の上限:約8万円強
  • 4回目以降:44,400円

これにより、毎月の負担額を大幅に減らせる可能性があります。

【組合独自の強み】付加給付制度

もしあなたが大企業の健康保険組合や公務員の共済組合に加入している場合、「付加給付」という独自の制度があるかもしれません。

これは、国の高額療養費制度に加えて、組合が独自に上乗せして給付を行うものです。

組合によっては、「月額の自己負担は20,000円〜25,000円まで」とし、それ以上の医療費はすべて組合が負担してくれるケースもあります。

ご自身の健康保険証を確認し、組合のホームページや担当窓口で調べてみましょう。

症状や状態によって利用できる特別な助成制度

一般的な関節リウマチ患者さん全員が対象ではありませんが、病状や進行度によっては以下の制度が利用できる場合があります。

難病医療費助成制度(「悪性関節リウマチ」の場合)

ここには注意が必要です。

「関節リウマチ」自体は、国の指定難病ではありません。

しかし、血管炎などの重篤な合併症を伴う「悪性関節リウマチ」と診断された場合は、指定難病として医療費助成の対象となります(参考:難病情報センター 4)。

  • 対象:悪性関節リウマチと診断され、国の定める重症度分類などを満たす場合。
  • メリット:所得に応じて自己負担上限額が設定され(最大でも月3万円など)、2割負担になります。

通常の関節リウマチとは区別されますので、ご自身の診断名について主治医に確認してみましょう。

身体障害者手帳による医療費助成

リウマチにより関節の変形や機能障害が進み、日常生活に支障が出ている場合は、身体障害者手帳の取得が可能になることがあります(参考:厚生労働省 5)。

手帳の等級や自治体の制度(重度心身障害者医療費助成制度など)によっては、医療費の自己負担分が全額、または一部助成される場合があります。

医療費控除(確定申告)

直接的に窓口負担が減るわけではありませんが、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が(家族分も含めて)10万円を超えた場合、確定申告をすることで税金(所得税・住民税)の一部が戻ってきます。

通院にかかった交通費(電車・バス代)も対象になりますので、領収書や記録は必ず保管しておきましょう。

制度利用以外で治療費を抑えるための相談ポイント

制度の利用以外にも、治療内容を見直すことで費用を抑えられる可能性があります。

これらは決して「質の低い治療にする」ということではありません。

医師に「経済的に厳しい」と相談してもいい?

結論から言うと、絶対に相談すべきです。

医師は「患者さんが治療を継続できること」を最優先に考えています。

費用が原因で治療を中断してしまうことが、医師にとっても患者さんにとっても最も避けたい事態です。

「今の薬代だと生活が苦しいのですが、何か方法はありますか?」と率直に伝えてみてください。

薬の変更(バイオシミラー・ジェネリック)の検討

バイオシミラー(BS):

高額な生物学的製剤には、特許期間が満了した後に発売される後続品「バイオシミラー」が存在するものがあります。効果や安全性は同等で、価格は先発品の約7割程度に設定されています(参考:厚生労働省 6)。

JAK阻害薬から他の薬へ:

病状が安定していれば、高額な薬剤から、比較的安価な抗リウマチ薬(メトトレキサートなど)中心の治療へシフトできる可能性もあります。

投与間隔の調整

生物学的製剤の中には、症状が十分に落ち着いている(寛解が維持されている)場合、医師の判断で投与間隔を延ばしたり、減量したりできるものがあります。

例:2週間に1回の注射を、4週間に1回にするなど。

これにより、単純計算で薬剤費を半分にできるケースもあります。

絶対に避けてほしい「自己判断での治療中断」のリスク

経済的に追い詰められると、「痛みが治まっているから、しばらく病院に行かなくてもいいや」と考えてしまうかもしれません。

しかし、リウマチにおける自己判断での治療中断(ドロップアウト)は非常にリスクが高い行為です。

見えないところで進行する「関節破壊」

現在のリウマチ治療は、痛みを取るだけでなく「関節破壊を止める」ことを目的としています(参考:日本リウマチ学会 1)。

自覚症状としての痛みが消えていても、体の中で炎症がくすぶっていることがあり、治療を止めると再び関節破壊が進行する恐れがあります。

一度壊れた関節や変形した骨は、薬で元に戻すことはできません。

結果として、将来的に人工関節の手術が必要になったり、介護が必要になったりすれば、今の治療費以上に高額な社会的・経済的コストがかかることになります。

「通院をやめる」のではなく、「通える範囲の治療費にする」相談を最優先してください。

まずはここに相談! 窓口一覧

一人で悩まず、以下の専門家に相談することで解決の糸口が見つかります。

病院の「医療ソーシャルワーカー」や「相談支援センター」

大きな病院には、医療費や生活の悩みを相談できる「医療ソーシャルワーカー(MSW)」が在籍していることが多いです。

「医療費の支払いが難しい」と伝えれば、あなたに合った制度の案内や手続きのサポートをしてくれます。

受付で「ソーシャルワーカーさんと話がしたい」と伝えてみてください。

加入している健康保険組合・自治体の窓口

  • 会社員の方:健康保険証に記載されている健康保険組合へ。付加給付や限度額適用認定証について聞きましょう。
  • 国民健康保険の方:お住まいの市区町村の「国保年金課」などの窓口へ。

「高額療養費貸付制度」という選択肢

手持ちの現金がなく、当座の支払いがどうしてもできない場合、高額療養費として支給される見込み額の8〜9割相当を無利子で貸してくれる「貸付制度」を利用できる場合があります(参考:協会けんぽ 7)。

これも健康保険の窓口で確認できます。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではリウマチの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

まとめ

リウマチの治療費は確かに高額ですが、それを支えるための日本の公的制度は充実しています。

  1. 限度額適用認定証を利用して、窓口負担を上限額で止める。
  2. 多数回該当や付加給付で、さらに負担が減るか確認する。
  3. 医師やソーシャルワーカーに「支払いが苦しい」と正直に相談する。
  4. バイオシミラーなどの安価な選択肢を検討する。

一番大切なのは、現在の生活を守りながら、未来の体の自由も守ることです。

決して一人で抱え込まず、まずは次回の診察時、あるいは病院の受付で相談することから始めてみてください。

リウマチの治療費に関するよくある疑問

Q: リウマチの治療費は月平均いくらくらいですか?

A: 治療内容によりますが、一般的な抗リウマチ薬のみであれば月数千円程度です。

しかし、生物学的製剤やJAK阻害薬を使用する場合は、3割負担で月額1.5万〜4.5万円程度かかることが一般的です(高額療養費制度などの適用前)。

Q: 治療費が払えない場合、生活保護は受けられますか?

A: 世帯の収入や資産状況などの条件を満たせば、生活保護を受給できる可能性があります。

生活保護受給者は「医療扶助」により医療費が原則無料になります。お住まいの福祉事務所へご相談ください。

Q: 民間の生命保険でリウマチの給付金は出ますか?

A: 一般的な医療保険では「入院・手術」が給付対象のことが多く、通院治療が中心のリウマチでは給付金が出ないケースがあります。

ただし、特定疾病を保障する特約や、就業不能保険などでカバーされる場合もあるため、契約内容を確認してみましょう。

参考資料・文献一覧

  1. 一般社団法人日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2024」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00843.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b
  2. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/content/000333280.pdf
  3. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31709/
  4. 公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター「指定難病:悪性関節リウマチ(告示番号46)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/1383
  5. 厚生労働省「身体障害者診断書作成の手引 肢体不自由障害」 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001465981.pdf
  6. 厚生労働省「バイオシミラーの基礎知識」 https://www.mhlw.go.jp/content/001437918.pdf
  7. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額医療費貸付制度」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31716/1944-2531/