RSウイルスワクチン完全ガイド:効果・対象者・費用・副作用まで徹底解説

2025年4月18日

RSウイルスは、乳幼児や高齢者で重症化リスクの高い感染症です。

近年RSウイルスワクチンが日本で承認され、予防策として注目を集めています。

この記事ではRSウイルスワクチンの役割、効果、対象者、接種方法、費用、副作用、そして予防法を、最新の情報を基に詳しく解説。

RSウイルスワクチンに関する疑問を全て解消します。

RSウイルスワクチンとは?

RSウイルスの基礎知識やワクチンの役割について解説します。

RSウイルスとは何か

RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)は、呼吸器感染症を引き起こす一般的なウイルスです。

特に乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人で重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を誘発する可能性があります。

生後2歳までにほぼ100%の子どもが感染し、生涯にわたり再感染を繰り返す特徴があります(参考:厚生労働省1)。

症状は軽い風邪から重篤な呼吸困難まで幅広く、初感染時に重症化しやすいとされています。

このウイルスは飛沫感染や接触感染で広がり、日本を含む世界中で流行。

日本では秋から春にかけて感染者が増加します。

このような特性から、RSウイルス感染症の予防が重要視されているのです。

ワクチンの役割と効果

RSウイルスワクチンは、感染による重症化や下気道疾患を予防することを目的としています。

ワクチン接種により、体内でRSウイルスに対する抗体が産生され、感染時の症状軽減や入院リスクの低減が期待されます。

例えば、RSウイルスワクチンのアレックスビーを使用した臨床試験では、60歳以上の成人でRSウイルス関連下気道疾患を82.6%予防。

アブリスボ®というワクチンでは、2つ以上の症状を伴う下気道疾患を66.7%、3つ以上の症状を85.7%予防したデータがあります。

また、妊婦への接種により新生児の重症化を防ぐ効果も確認されており、生後90日で重度の下気道感染症を81.8%予防する結果が報告されています(参考:The New England Journal of Medicine2)

これらのデータから、ワクチンは特にハイリスク群での重症化予防に有効であると考えられます。

ただし、効果の持続期間に関する情報は限られており、さらなる研究が必要です。

日本で承認されているワクチンの種類

日本で承認されているRSウイルスワクチンは主に2種類です。

・グラクソ・スミスクライン(GSK)社のアレックスビー(Arexvy):60歳以上の成人および重症化リスクの高い50~59歳を対象とした不活化ワクチン.。

RSウイルスの融合前Fタンパク質を利用し、筋肉注射で接種します。

重症化予防を主目的とし、2023年9月に国内初承認。

・ファイザー社のアブリスボ®(Abrysvo):60歳以上の成人および妊娠24~36週の妊婦を対象とした二価不活化ワクチン。

妊婦接種により新生児・乳児の重症化を防ぐ母子免疫も適応。

2024年1月に承認され、5月より発売開始。

これらは任意接種であり、定期接種の対象外です。

RSウイルスワクチンの対象者と接種時期

RSウイルスワクチンの対象者や接種時期について解説します。

赤ちゃん・乳児への接種

現時点で赤ちゃんや乳幼児に直接接種するRSウイルスワクチンは日本で承認されていません。

ただし、母子免疫を通じて新生児・乳幼児を保護するアブリスボ®が利用可能です。

このワクチンは妊婦に接種することで、胎盤を通じて抗体が胎児に移行し、生後6か月頃まで重症化を予防します。

また、シナジスやベイフォータスは、早産児や心肺疾患を持つ乳幼児を対象に、RSウイルス流行期(秋~春)に月1回投与される抗体製剤です。

ベイフォータスは1回で約6か月の効果が期待されますが、基礎疾患がない場合は自費診療となり高額です。

高齢者・基礎疾患を持つ人への接種

60歳以上の高齢者や、50~59歳で慢性呼吸器疾患(COPD、喘息など)や心疾患などの基礎疾患を持つ人は、RSウイルスワクチンの主要な対象者です。

グラクソ・スミスクライン(GSK)社のアレックスビーとファイザー社のアブリスボ®の両方がこのグループに適応。

アレックスビーは特に基礎疾患を持つ高齢者で高い有効性を示しています。

高齢者は感染による肺炎や入院リスクが高く、日本では年間約63,000人がRSウイルスで入院、約4,500人が死亡すると推定されています。

接種は流行前の夏から初秋が推奨されます。

妊婦向けワクチン(母子免疫)

アブリスボ®は、妊娠24~36週の妊婦に1回接種することで、母体で産生された抗体が胎児に移行し、新生児のRSウイルス感染症を予防します。

特に妊娠28~36週での接種が効果的とされています。

接種は流行前の夏から初秋が理想的です。

接種方法と費用について

RSウイルスワクチンの接種方法や費用について解説します。

接種場所(病院・自治体)

RSウイルスワクチンは、病院やクリニックで接種可能です。

一部の自治体では、特定の医療機関を指定して接種を実施している場合があります。

事前にかかりつけ医や自治体のウェブサイトで接種可能な施設を確認することをおすすめします。

アレックスビーやアブリスボ®は筋肉注射で、通常1回のみ接種。

予約制の医療機関が多いため、早めの問い合わせが重要です。

自費と公費の違い

RSウイルスワクチンは任意接種のため、原則として全額自費です。

定期接種の対象外であるため、公費助成は基本的にありません。

ただし、自治体によっては高齢者や特定のリスク群を対象に補助を行う場合があります。

例えば、インフルエンザワクチンのように一部自治体で助成が導入される可能性も今後考えられます。

シナジスやベイフォータスは、対象となる乳幼児(早産児や基礎疾患保有者)では保険適用が可能ですが、基礎疾患がない場合は自費となります。

ワクチンの価格相場

RSウイルスワクチンの費用は医療機関によって異なりますが、アレックスビーの場合、1回あたり約25,000円が相場。

アブリスボ®も同様の価格帯と推定されます。これに診察料や初診料が加算される場合があります。

ベイフォータスは自費の場合、1回あたり数十万円と高額になるため、事前に医療機関で費用を確認することが大切です。

価格は変動する可能性があるため、最新情報を医療機関に問い合わせましょう。

RSウイルスワクチンの副作用とリスクについて

RSウイルスワクチンの副作用とリスクについて解説します。

主な副反応の例

RSウイルスワクチンの副反応は一般的に軽度とされています。

主な症状には、接種部位の痛み、腫れ、発赤、倦怠感、頭痛、発熱などがあります。

アレックスビーやアブリスボ®の臨床試験では、これらの副反応は一過性で、ほとんどの場合数日で自然消失。

アブリスボ®を百日咳含有ワクチンと同時接種した場合、百日咳の免疫応答が低下する可能性が報告されていますが、臨床的な影響は不明です。

重篤な副反応はまれで、アナフィラキシーなどの報告はほとんどありません。

接種を控えるべきケース

RSウイルスワクチンの接種を控えるべきケースには以下が含まれます。

重篤なアレルギー歴:ワクチン成分や過去のワクチン接種でアナフィラキシーを起こした人。
急性疾患:発熱や重篤な急性疾患がある場合、症状が回復するまで接種を延期。
妊娠早期:アブリスボ®は妊娠24週以降に接種が推奨され、それ以前の安全性データは限定的。

これらの条件に該当する場合は、医師と相談して接種の可否を判断することが重要です。

RSウイルスの流行時期と予防法

RSウイルスの流行時期や予防方法について解説します。

日本での流行ピーク

日本ではRSウイルスの流行は通常秋(9~10月)から春(3~4月)にかけてピークを迎えます。

特に11月から1月が感染の最盛期で、乳幼児や高齢者の入院が増加。

この時期にワクチン接種や抗体製剤の投与を終えておくことが推奨されます。

流行状況は地域や年によって異なるため、自治体の感染症情報を確認すると良いでしょう。

手洗いやマスクといった基本予防

RSウイルスは飛沫感染と接触感染で広がるため、以下の基本的な予防策が有効です。

手洗い:流水と石鹸でこまめに手を洗う。アルコール消毒も効果的。
マスク着用:咳や鼻水がある場合、マスクを着用して飛沫を防ぐ。
環境衛生:ドアノブやおもちゃなど、よく触れる表面を消毒する。

これらの対策は、ワクチン接種と組み合わせることで、より高い予防効果が期待できます。

ワクチン以外の予防策との比較

ワクチン以外の予防策には、シナジスやベイフォータスのような抗体製剤や、日常的な感染対策があります。

抗体製剤は即時的な保護を提供する一方、効果は1~6か月と限定的で、費用も高額。

対してワクチンは抗体産生に時間を要するものの、長期的な免疫応答が期待されます。

日常的な予防策はコストが低く誰でも実践可能ですが、完全な感染予防は難しい。

ワクチンは特にハイリスク群で重症化予防に優れており、総合的な予防戦略の一部として推奨されます。

RSウイルスワクチンの治験とは

病院に直接行きRSウイルスワクチン接種を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本ではRSウイルスワクチンの接種をお考えの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

将来の健康リスクに向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

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よくある質問(Q&A)

RSウイルスワクチンに関するよくある質問を紹介します。

ワクチンは何歳から接種できる?

アレックスビーは50歳以上(重症化リスクがある場合)または60歳以上、アブリスボ®は60歳以上および妊娠24~36週の妊婦が対象。

乳幼児への直接接種ワクチンは現在日本で未承認です。

ワクチンの効果はどのくらい持続する?

現時点で、アレックスビーとアブリスボ®の効果は接種後6~7か月で高い有効性が確認されていますが、2~3年程度持続する可能性があります。

長期的なデータは今後の研究で明らかになるでしょう。

他のワクチンとの同時接種は可能?

アブリスボ®は百日咳含有ワクチンとの同時接種で免疫応答が低下する可能性があるため注意が必要。

インフルエンザワクチンなど他の不活化ワクチンとの同時接種は問題ないとされていますが、コロナワクチンとは2週間の間隔を空ける必要があります。

医師と相談してスケジュールを決めましょう。

まとめ:RSウイルスワクチンは予防の新たな選択肢

RSウイルスワクチンは、乳幼児や高齢者など重症化リスクの高い人々を守るための有効な手段です。

アレックスビーやアブリスボ®は、臨床試験で高い有効性と安全性を示し、日本でも接種が開始されています。

費用や副作用、接種タイミングを理解し、医師と相談しながら適切な予防策を講じましょう。

RSウイルスワクチンは、感染症対策の新たな一歩として、今後さらに普及が期待されます。

参考資料・サイト一覧
1.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html
2.The New England Journal of Medicine https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2216480