矯正中の歯磨き完全ガイド!磨き方のコツや痛い時の対処法まで解説

2025年7月18日

矯正治療中は歯並びを整えるだけでなく、虫歯や歯周病を防ぐための歯磨きが非常に重要です。

装置が歯に付くことで磨き残しが増え、口内環境が悪化しやすいためです。

今回は歯科医 古舘 辰彦医師監修のもと、歯列矯正中の歯磨きをテーマに、正しいケア方法や注意点、おすすめのオーラルケアグッズを詳しく解説します。

美しい歯並びと健康な口内環境を両立させたい方は、ぜひ参考にしてください。

矯正治療中に歯磨きが重要な理由

歯列矯正中は虫歯や歯周病のリスクが高まるため、歯磨きがより重要となります。

なぜ矯正中は虫歯や歯周病になりやすいのか

矯正治療中はブラケットやワイヤー、マウスピースなどの装置が歯に付くため、食べカスやプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。

これが虫歯や歯周病のリスクを高める主な原因です。

特にブラケット周辺は複雑な形状で歯ブラシが届きにくいため、磨き残しが発生しがちになります。

また、装置が歯に密着することで、唾液による自然な洗浄作用が働きにくくなることも虫歯や歯周病リスクを増大させます。

したがって、矯正中は普段以上に丁寧な歯磨きが必要不可欠です。

歯磨きを怠ると起こるトラブル

歯磨きが不十分だとプラークが蓄積し、虫歯や歯周病を引き起こす可能性があります。

虫歯が進行すると矯正装置を一時的に外して治療する必要が生じ、治療期間が延びる可能性もあるのです。

また、歯周病が悪化すると歯ぐきが腫れたり、歯を支える骨が弱ったりするリスクがあります。

さらに、ブラケット周辺に残ったプラークが原因で、歯の表面に白い斑点(脱灰)ができ、見た目にも影響が出ることがあります(参考:日本矯正歯科学会1)。

これらを防ぐには、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。

>>虫歯の自然治癒は初期段階に限る!初期虫歯のケア方法と注意点を解説

口臭・口内炎などの意外なリスク

矯正装置は食べカスを溜め込みやすく、プラークが分解されることで口臭が発生しやすくなります。

さらに、装置が歯ぐきや頬の内側に擦れることで口内炎ができ、痛みや不快感を引き起こすこともあります。

これらは適切な歯磨きとオーラルケアで予防可能です。

矯正中の歯磨きは虫歯や歯周病だけでなく、口臭や口内炎の予防にも欠かせないのです。

>>白い口内炎が治らない?原因と治し方を解説

矯正中の歯磨きの基本ルール

矯正中に意識した方が良い歯磨きルールを解説します。

歯磨きの回数とタイミング

矯正中は、1日2~3回の歯磨きが推奨されます。

特に毎食後と就寝前が重要です。

食後すぐに磨くことで、食べカスやプラークを速やかに除去し、虫歯リスクを軽減できます。

日本歯科医師会によると、食後30分~1時間で口の中が酸性に変わるため、その前の歯磨きが効果的とされています(参考:日本歯科医師会2)。

忙しい場合でも、少なくとも朝と夜の2回は丁寧に磨きましょう。

正しい磨き方を習慣化するコツ

正しい歯磨きを習慣化するには、鏡を見ながら磨くことが有効です。

装置周辺を丁寧に磨くには、小刻みにブラシを動かし、1本ずつ意識して磨くのがポイント。

1回の歯磨きに5~10分かけ、歯ブラシを45度に傾けて磨くと効果的です。

また、毎回同じ順番で磨くルーティンを作ると、磨き残しを減らせます。

食後すぐに磨けない時の対処法

外出先などで食後すぐに歯磨きができない場合は、うがいや水で口をすすぐだけでもある程度効果的です。

また、砂糖不使用のガムを噛むことで唾液分泌を促し、口内を清潔に保つ方法もあります。

携帯用のフロスや歯間ブラシを持ち歩くのもおすすめです。

状況に応じた対処法で、口内環境を整えましょう。

部位ごとに解説!装置周辺の磨き方

部位ごとの歯磨き方法について解説します。

ブラケットやワイヤー周辺

ブラケットやワイヤー周辺は、食べカスが絡まりやすい部位です。

小さめのヘッドの歯ブラシを使い、ブラケットの上下を小刻みに磨きます。

特にワンタフトブラシ(毛束が1つの小さな歯ブラシ)を使うと、細かい部分も効率的に磨けます。

ワイヤーの上下

ワイヤーの上下は歯ブラシが届きにくいため、歯間ブラシやフロスを活用しましょう。

ワイヤーの下にブラシを滑らせ、プラークを掻き出します。

角度を変えながら磨くと効果的です。

奥歯・前歯の裏側

奥歯や前歯の裏側は、装置がなくても磨き残しが多い部位です。

奥歯や前歯の裏側には歯ブラシを縦に持ち、小刻みに動かして磨きます。

毛束が一つになっているワンタフトブラシを使うと、狭い隙間も磨きやすいです。

歯と歯ぐきの境目

歯と歯ぐきの境目は、歯周病の原因となるプラークが溜まりやすい場所です。

このような箇所には歯ブラシを45度に傾け、軽い力で磨きます。

また、歯間ブラシを併用するとより効果的です。

矯正の種類別に最適な歯磨き方法

歯列矯正の種類ごとにおすすめの歯磨き方法を解説します。

ワイヤー矯正の場合

ワイヤー矯正では、ブラケットとワイヤーの隙間に食べカスが溜まりやすいです。

矯正専用歯ブラシや歯間ブラシを使い、1本ずつ丁寧に磨きましょう。

また、デンタルフロスを通しにくい箇所にフロスを通すための補助具であるフロススレッダーも有効です。

ワイヤー矯正に適したケアで、口内を清潔に保ちましょう。

マウスピース矯正の場合

マウスピース矯正では装置を外して歯磨きできるため、通常のブラッシングが可能です。

ただし、マウスピース自体も清潔に保つ必要があります。

マウスピースは専用洗剤や中性洗剤で洗い、専用のケースに保管しましょう。

また、歯磨き後はマウスピースを装着する前に口内をしっかりすすぎます。

リンガル(裏側矯正)の場合

リンガル矯正は歯の裏側に装置があるため、前歯の裏側を重点的に磨く必要があります。

リンガル矯正にはワンタフトブラシや歯間ブラシが効果的です。

また、鏡を使って確認しながら磨くと良いでしょう。

矯正中におすすめのオーラルケアグッズ

矯正中におすすめのオーラルケアグッズを紹介します。

矯正専用歯ブラシの選び方

矯正専用の歯ブラシはヘッドが小さく、毛先が柔らかいものが適しています。

V字型のカットがブラケット周辺の磨き残しを減らします。

矯正専用の歯ブラシは月に1回交換するのが理想です。

ワンタフトブラシ・歯間ブラシ

毛束が一つになっているワンタフトブラシは、ブラケットやワイヤーの細かい部分を磨くのに最適です。

一方で歯間ブラシは歯と歯の隙間を清掃するのに最適です。

サイズは歯の隙間に合わせて選びましょう。

フロス・フロススレッダー

フロスは歯間のプラーク除去に有効ですが、ワイヤー矯正ではフロススレッダーが便利です。

フロススレッダーはワイヤーの下に通して使います。

フロス・フロススレッダーは毎晩の使用がおすすめです。

マウスウォッシュ・染め出し剤

マウスウォッシュは、歯磨き後の仕上げに使うと効果的です。

アルコールフリーのマウスウォッシュを選ぶと刺激が少ないです。

染め出し剤は磨き残しを確認するのに役立ちます。

電動歯ブラシは使える?

電動歯ブラシは矯正中でも使用可能ですが、振動が強すぎると装置を傷つける可能性があるため注意しましょう。

ブラケット周辺は手動で磨くのが無難です。

使い方にさえ気を付ければ、電動歯ブラシも有効活用できます。

矯正中にやってはいけない歯磨きNG行動

矯正中に避けるべきことを解説します。

磨き残しが増えるNG習慣

急いで磨くと、ブラケットやワイヤー周辺に磨き残しが生じます。

1回30秒以内の歯磨きは効果が低いとされています。

奥歯や装置の隙間を意識せずに磨くとプラークが蓄積する可能性が高いため、時間をかけて丁寧に磨く習慣が大切です。

力を入れすぎて歯ぐきを傷つける

強い力で磨くと歯ぐきが傷つき、歯周病のリスクが高まります。

特に矯正中は歯ぐきが敏感になりがちなため注意が必要です。

歯ぐきの後退を招く可能性もあるため、軽い力で小刻みに磨きましょう。

歯磨きが痛い・面倒に感じるときの対策

矯正中の歯磨きが痛い・面倒な時の対策を紹介します。

痛みを和らげる歯磨きのコツ

矯正開始後1~2週間は特に痛みを感じやすいとされています。

装置による痛みがある場合、柔らかい毛の歯ブラシや低刺激の歯磨き粉を選びましょう。

温水でうがいをすると、痛みが和らぐこともあります。

また、軽い力で磨くのがポイントです。

モチベーションを保つ工夫

歯磨きが面倒に感じる場合は好きな音楽を聴きながら磨く、タイマーを使ってゲーム感覚で取り組むなどの方法が有効です。

楽しみながら歯磨きを続けることで、習慣化が可能です。

定期的なプロのケアも重要

矯正中はセルフケアだけではなく、プロによるケアも重要となります。

歯科医院でのクリーニング

矯正中は3~6ヶ月に1回の歯科医院でのクリーニングが推奨されます。

専門家による清掃で磨き残しを徹底的に除去できます。

定期クリーニングは歯周病や虫歯リスクを低減するとされています。

矯正の調整と同時に受けるのが効率的です。

ブラッシング指導を活用しよう

歯科医院でのブラッシング指導は、磨き残しを減らすための具体的なアドバイスが得られます。

自分に合った磨き方を学べるチャンスです。

クリーニングついでに定期的に指導を受けると効果的です。

新たな治療法を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本では歯列矯正でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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よくある質問(FAQ)

歯列矯正中のよくある質問を紹介します。

矯正中の歯磨きは1日何回?

1日2~3回、特に毎食後と就寝前が理想です。

食後すぐに磨けない場合は、うがいやガムで対応しましょう。

学校や外出先ではどうする?

携帯用の歯ブラシやフロスを持ち歩き、トイレや洗面所で短時間のケアができると理想的です。

それも難しい場合は、うがいだけでもしておきましょう。

装置を外した時のケア方法

装置を外した後は通常の歯磨きに加え、フッ素入り歯磨き粉でエナメル質を強化しましょう。

定期的なクリーニングも継続できれば理想的です。

装置除去後も丁寧なケアで美しい歯並びを維持できます。

まとめ

矯正中の歯磨きは虫歯や歯周病を防ぎ、治療の成功を支える鍵です。

適切な回数や方法、専用のオーラルケアグッズを活用し、定期的なプロのケアも取り入れましょう。

参考資料・サイト一覧
1.日本矯正歯科学会 https://www.jos.gr.jp/asset/public2022_0912.pdf
2.日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/info/2011_04.html

記事監修医情報

記事監修医情報

古舘 辰彦(ふるたち たつひこ)
歯科医、かまくらサンライズ歯科院長、インビザライン認定医、国際アメリカインプラント学会(IDIA)認定医

歯科医師として予防歯科・一般歯科診療に長年従事。虫歯や歯周病の早期発見・早期対応を重視し、患者さんが安心して通える歯科医療を提供。

本記事では、医学的情報の正確性と内容監修を担当。

所属学会:

  • 日本歯科医師会
  • 神奈川歯科医師会

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