水虫を放置するとどうなる?リスクと対処法を徹底解説

2025年7月2日

水虫はかゆみや皮むけなどの症状を引き起こす皮膚の病気です。

医学的には足白癬(あしはくせん)と言います。

軽い症状だからと水虫を放置してしまう人もいますが、そのままにしておくと症状が悪化したり、家族や周囲に感染を広げるリスクが高まります。

この記事では水虫を放置することの危険性や、早期治療の重要性、日常生活での予防策を皮膚科専門医 川島眞医師の監修のもと詳しく解説。

皮膚科の受診や適切なケアで、健康な足を取り戻しましょう。

水虫を放置するとどうなる?

水虫を放置することによるリスクを解説します。

症状が悪化し慢性化する

水虫を放置すると初期の軽いかゆみや皮むけが悪化し、慢性的な症状に悩まされることがあります。

水虫は白癬菌(はくせんきん)という真菌が原因です。

適切な治療を行わないと菌が増殖し、症状が進行する場合があります。

また、放置することで皮膚のひび割れや痛み、赤みが増し、日常生活に支障が出ることも考えられます。

例えば、初期は足の指の間のかゆみだけだったものが、放置により足裏全体に広がり、ひび割れや水ぶくれを引き起こすケースがあります。

水虫を放置すると慢性化し、通常より治療が長期化する可能性があるため、早めの対処を心がけましょう。

他の部位や爪に広がるリスク

水虫を放置すると、足以外の部位や爪に感染が広がる危険性があります。

白癬菌は皮膚や爪に移動し、特に湿った環境で増殖しやすい性質を持っています。

足から手、股、頭皮など、体の他の部位に広がる可能性があります。

また、爪に感染が及ぶと爪水虫(爪白癬)に進行し、さらに治療に時間がかかることになります。

周囲の人に感染を広げる可能性

水虫を放置すると、家族や周囲の人に感染を広げるリスクが高まります。

白癬菌は、皮膚の角質や垢を通じて他人に感染します。

共用のバスマットやスリッパ、プールや温泉施設など、湿った環境で特に感染しやすいです。

例えば、家庭内で水虫を放置した人がバスマットを使用すると、家族が知らずに感染するケースもあります。

また、家庭内感染が水虫の主な感染経路の一つとされています(参考:日本皮膚科学会1)。

周囲への感染を防ぐためにも、放置せず適切な治療を行うことが不可欠です。

二次感染や別の病気を引き起こす

水虫を放置すると、二次感染や別の病気を引き起こす可能性があります。

水虫による皮膚のひび割れや傷は、細菌が侵入しやすくなり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの二次感染を引き起こすリスクが高まります。

また、免疫力が低下している人は、より重篤な合併症につながることも。

例えば、糖尿病患者が水虫を放置した場合、足の細菌感染が悪化し、足壊疽(えそ)の原因となる可能性もあります。

水虫を放置することの具体的なリスク

水虫を放置する具体的なリスクを解説します。

角質増殖型水虫への移行

水虫を放置すると、角質増殖型水虫に移行するリスクがあります。

このタイプの水虫は足裏の皮膚が厚く硬くなり、ひび割れやガサガサ感が特徴。

かゆみが少ないため気づきにくいですが、治療が難しいとされています。

>>水虫なのにかゆくない?症状・見分け方から治療法まで解説

爪水虫(爪白癬)への進行

水虫が爪に広がると、爪水虫(爪白癬)になるリスクが高まります。

爪水虫は爪が白く濁ったり、厚くなったり、変形する症状が特徴です。

爪水虫は皮膚の水虫より治療が難しく、完治まで半年以上かかることもあります。

市販薬では治りにくくなるケース

水虫を放置すると、市販薬での治療が難しくなることがあります。

市販の抗真菌薬は軽度の水虫に効果的ですが、慢性化したり爪に広がった場合は、専門的な治療が必要に。

また、自己判断で市販薬を使用し続けると、適切な治療が遅れるリスクもあるため注意しましょう。

速やかに専門医を受診することが大切です。

水虫は自然治癒する?放置はダメな理由

水虫は自然治癒するのかを解説します。

自然に治ることはほとんどない

水虫は自然治癒する可能性が低い病気とされています。

白癬菌は皮膚の角質層に住みつき、適切な治療がなければ増殖を続けます。

免疫力が強い人でも、自然に菌が消滅することはまれです。

一時的に症状が消えても再発する

水虫の症状が一時的に軽減しても、放置すると再発するリスクがあります。

夏場に症状が目立つ一方、冬場に乾燥して症状が落ち着くことがありますが、菌は生き続けており、環境が整うと再発する可能性があります。

例えば、足の汗や湿気が増える梅雨時に症状が再発するケースが多く、放置により再発を繰り返すと慢性化しやすくなります。

再発を防ぐためにも、症状が軽減しても治療を続けることが重要です。

水虫が疑われる場合の対処法

水虫が疑われる際の対処法を解説します。

皮膚科を受診するメリット

水虫かと思ったら、皮膚科の受診が効果的な対処法です。

皮膚科では顕微鏡検査や培養検査などで白癬菌を確認し、症状に合わせた抗真菌薬を処方してもらえます。

市販薬では対処しきれない慢性化した水虫や爪水虫にも対応可能です。

専門医の処方薬と市販薬の違い

専門医で処方される薬は市販薬よりも効果が高く、進行した水虫に適しています。

専門医で処方される薬は、爪水虫や角質増殖型水虫に有効な内服薬や高濃度の外用薬が含まれ、医師の指導のもと使用されます。

一方、市販薬は軽度の症状向けに設計されており、効果が限定的な場合もあります。

進行した水虫には、専門医で処方される薬での治療が推奨されます。

治療を始めるタイミング

水虫の治療は、症状に気づいた時点で始めるのが理想です。

軽いかゆみや皮むけでも放置すると悪化するため、早期の対処が重要です。

夏場や湿気の多い時期は特に症状が悪化しやすいので、早めの受診が推奨されます。

受診時のポイントや準備

皮膚科を受診する際は、症状や経過を正確に伝えることが重要です。

いつから症状が出たか、どの部位に症状があるか、過去に市販薬を使用したかなどをメモしておくと診断がスムーズに進みます。

また、足を清潔にし、靴下や靴を清潔なものに変えて受診しましょう。

日常生活での予防・再発防止策

水虫の予防・再発防止策を紹介します。

足を清潔に保つ

水虫の予防には、足を清潔に保つことが基本です。

毎日、石けんで足を丁寧に洗い、指の間までしっかり洗浄しましょう。

洗った後は清潔なタオルで拭き、菌の増殖を防ぎます。

足の清潔を保つことで、水虫の感染リスクを抑える効果に期待ができます。

しっかり乾燥させる

足を乾燥させることは、水虫予防に欠かせません。

白癬菌は湿った環境を好むため、足を洗った後はタオルやドライヤーで完全に乾かします。

特に、指の間は湿気が残りやすいので注意が必要です。

乾燥を徹底して、菌の増殖を抑えましょう。

靴・靴下の選び方とケア

靴や靴下の選び方とケアも水虫の予防に重要です。

通気性の良い綿やウールの靴下を選び、毎日清潔なものに交換しましょう。

靴は湿気を防ぐため、複数の靴をローテーションで使用し、履かない日は乾燥させると理想的です。

家族内感染を防ぐコツ

家族内感染を防ぐには、共用物の管理が重要です。

バスマットやスリッパは個人専用にし、定期的に洗濯や消毒を心がけましょう。

浴室の床もこまめに清掃し、湿気を減らすと効果的です。

>>水虫の治し方|タイプ別治療法と自宅でできる予防・再発防止策

新たな治療法を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本では足水虫(足白癬)でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

>>治験ジャパン新規登録はこちら<<

水虫に関するよくある質問(FAQ)

水虫に関するよくある質問を紹介します。

軽い症状なら放置しても大丈夫?

軽い症状でも水虫を放置するのは危険です。

初期の水虫はかゆみや皮むけが軽度でも、放置すると悪化し、爪や他の部位に広がるリスクがあります。

皮がむけるだけなら自然に治る?

皮むけだけの水虫が自然に治ることはほぼありません。

皮むけは白癬菌の活動のサインであり、治療せずに放置すると菌が増殖し、症状が悪化します。

皮むけに気づいたら、早めに治療を検討しましょう。

何科を受診すればいい?

水虫の治療は皮膚科を受診するのが最適です。

皮膚科では顕微鏡検査で白癬菌を確認し、適切な抗真菌薬を処方してもらえます。

まとめ:水虫を放置しないで早期治療を

水虫を放置すると症状の悪化や慢性化、爪や他の部位への広がり、周囲への感染、さらには二次感染のリスクが高まります。

自然治癒はほぼ期待できず、放置により治療期間が長引くこともあります。

そのため皮膚科での適切な治療と、日常生活での予防策が重要です。

軽い症状でも放置せず早めに皮膚科を行い、健康な足を取り戻しましょう。

参考資料・サイト一覧
1.日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa10/q08.html

記事監修者情報

記事監修者情報

川島眞の画像
川島 眞(かわしま まこと)
皮膚科専門医・医学博士
東京女子医科大学 名誉教授
Dクリニックグループ代表

日本皮膚科学会認定専門医として、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の診療・研究に長年従事。

本記事では医学的情報の正確性と内容監修を担当。

所属学会:

  • 日本皮膚科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本皮膚アレルギー学会
  • 日本香粧品学会

関連記事