「最近、気分の波が激しくてついていけない……これは私の性格のせい?」

「家族があまりに活動的すぎて心配。ただの張り切り屋なのか、それとも病気なのか……」

そんな不安を感じてはいませんか?

また、責任感が強く、何事にも全力で取り組んでしまう自分自身に、生きづらさを感じている方もいるかもしれません。

実は、双極性障害(かつての躁うつ病)になりやすい人には、特定の性格傾向(病前性格)があることが医学的に知られています。

しかし、それは「性格が悪い」わけでも、性格だけが原因で発症するわけでもありません(参考:NCNP病院 5)。

この記事では、双極性障害になりやすいと言われる代表的な気質の特徴や、性格と症状の見分け方を徹底解説。

ご自身の性格の良さを活かしながら病気と上手く付き合っていくためのポイントをご紹介します。

正しい知識を持つことで、自分を責める気持ちを減らし、心のバランスを整えるヒントを見つけていきましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

双極性障害でお困りの方へ

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双極性障害になりやすい性格・特徴とは?

精神医学の世界では、古くから双極性障害と親和性の高い性格パターンが研究されてきました。

ここでは、代表的なタイプをご紹介します。

ご自身や周囲の方に当てはまる部分がないか、確認してみてください。

真面目で責任感が強い「執着気質(しゅうちゃくきしつ)」

これは日本の精神科医・下田光造博士が提唱した概念で、双極性障害の方に多く見られるタイプとして知られています。

「執着」といっても「しつこい」という意味ではなく、「物事を徹底的にやり遂げないと気が済まない」という熱心さを指します。

  • 仕事熱心で凝り性
    • 一度始めたら、納得いくまで休まずに取り組みます。
  • 強い責任感
    • 頼まれたことは断らず、120%の力で応えようとします。
  • 融通が利かない
    • 急な予定変更や、「適当でいいよ」という加減が苦手です。

このタイプの方は、仕事などで高い成果を上げる一方で、オーバーワークになりやすく、その疲労の蓄積が「うつ」の引き金になったり、逆に限界を超えてハイになる「躁」転換のきっかけになったりしやすいと言われています。

社交的でユーモアがある「循環気質(じゅんかんきしつ)」

ドイツの精神科医クレッチマーが提唱したタイプです。

こちらは一見、執着気質とは逆に感じるかもしれませんが、双極性障害の「躁」の要素と深く関わっています。

  • 人付き合いが良い
    • 明るく、親切で、ユーモアのセンスがあります。
  • 環境に同調しやすい
    • 周囲の空気を読み、相手に合わせるのが得意です。
  • 感情豊か
    • 悲しいニュースには涙し、楽しい場では誰よりも盛り上がるなど、感情の動きが活発です。

非常に人間味あふれる性格ですが、周囲に合わせすぎてエネルギーを使い果たしてしまったり、社交的になりすぎて興奮状態(躁状態)へと移行しやすかったりする側面があります。

秩序を重んじる「メランコリー親和型」

テレンバッハが提唱したこのタイプは、主にうつ病(単極性うつ病)になりやすい性格として知られています。

ですが、双極性障害のうつ状態の背景を理解する上でも参考になる概念です。

  • 几帳面で整然としている
    • ルールや秩序を大切にします。
  • 他者配慮
    • 他人との摩擦を恐れ、自分の意見よりも「あるべき姿」を優先します。

このタイプの方は、執着気質と同様に、環境の変化(昇進、転勤、結婚など)によってこれまでの秩序が乱されることに弱く、そのストレスから心のバランスを崩しやすい傾向があります。

「性格」と「症状」の違いを見分けるポイント

「もともと元気な性格なのか、それとも躁状態の症状なのか分からない」 これは患者さんご本人だけでなく、ご家族も大いに悩むポイントです。

性格と病気の症状には、いくつかの見分けるサインがあります(参考:日本うつ病学会 1)。

それは「性格」ではなく「病気のサイン」かも

以下のような変化が見られた場合、それは「元気な性格」の枠を超えた「症状」である可能性があります(参考:厚生労働省 2)。

  • 話の内容とスピード
    • 性格:よく喋るが、会話のキャッチボールは成立する。
    • 症状:相手の話を聞かずに一方的に喋り続ける。話題が次々と飛び、何を言っているか理解できないことがある。
  • 活動の度合い
    • 性格:活動的だが、夜は寝て休む。
    • 症状:睡眠時間が極端に短くても(2〜3時間など)「元気だ」「眠る必要がない」と言い張り、早朝や深夜でも動き回る。
  • 金銭感覚・行動
    • 性格:気前が良いが、生活に困るほどではない。
    • 症状:後先考えずに高額な買い物を繰り返す、無謀なギャンブルや起業計画に突っ走る。

性格が悪くなったわけではありません

双極性障害の症状が出ている時、特に躁状態では「易怒性(いどせい)」といって、非常に怒りっぽくなることがあります。

また、うつ状態では自分の殻に閉じこもり、家族の言葉に反応しなくなることもあります。

これらを見て、「性格が変わってしまった」「わがままになった」と誤解されることがよくあります。

しかし、これらは脳内の神経伝達物質のバランスが崩れたことによる「症状」です(参考:厚生労働省 2)。

ご本人の人間性が変わったわけではありません。

治療によって症状が落ち着けば、本来のその人らしさが戻ってきます。

なぜ特定の性格が双極性障害になりやすいのか

真面目さや社交性は、本来素晴らしい長所です。

なぜそれが病気のリスクになってしまうのでしょうか。

ストレスを限界まで抱え込んでしまう

「執着気質」や「メランコリー親和型」の方は、手を抜くことや、人に助けを求めることが苦手です。

「自分がやらなければ」と全てを抱え込み、心身がSOSを出していても、「まだ頑張れる」と無視して走り続けてしまいます。

この慢性的なストレスと疲労が脳の許容量を超えたとき、強制終了としての「うつ」や、反動としての「躁」が発現してしまうと考えられています。

成功体験が「躁」を誘発することも

「執着気質」の方は、徹底的にやり遂げるため、仕事などで大きな成果を上げることが多いです。

この「成功した!」「やったぞ!」という高揚感が、脳への強い刺激となり、そのままアクセルが戻らなくなって「躁状態」へと突入してしまうことがあります。

社会的に成功している人や、クリエイティブな仕事をしている人に双極性障害が見られることがあるのは、こうした熱中しやすさと行動力が背景にあるためとも言われています。

自分の「気質」を理解して上手に付き合う方法

双極性障害になりやすい性格は、裏を返せば「信頼できる」「情に厚い」「エネルギッシュ」という魅力でもあります。

性格を無理に変える必要はありません。

大切なのは、自分の「取扱説明書」を持ち、暴走を防ぐことです。

自分の「取扱説明書」を作る

自分がどのタイプに当てはまるかを自覚し、ブレーキをかけるタイミングを決めておきましょう。

  • 「やらなきゃ」と思ったら注意
    • 義務感が強まっている時は、すでに疲れがたまっているサインかもしれません。「今日はここまで」と意識的に区切りをつけましょう。
  • 睡眠をバロメーターにする
    • 「寝なくても平気」と感じたら、それは好調なのではなく「危険信号」です。強制的にでも布団に入り、身体を休めるルールを作りましょう(参考:日本うつ病学会 1)。
  • 真面目さを治療に活かす
    • 几帳面な性格は、薬を飲み忘れない、通院を続ける、生活リズム記録をつけるといった「治療の継続」においては最強の武器になります。

周囲への伝え方と環境調整

職場や家族に、自分の性格傾向を伝えておくのも有効です。

「私はつい熱中しすぎて周りが見えなくなる癖があります。もし私が早口になっていたり、休みなく働いていたりしたら、『少し休んだら?』と声をかけてください」 

このように周りに頼んでおくことで、自分では気づけない「行き過ぎ」を他人の目でチェックしてもらうことができます(参考:NCNP 3)。

もしかしてと思ったら?診断と受診の目安

「自分の性格だと思っていたけれど、もしかして病気かもしれない」と感じた場合は、早めの相談が重要です。

セルフチェックで振り返る

あくまで簡易的な目安ですが、以下のようなことがないか振り返ってみてください。

  • これまでに、気分が高揚して何でもできるような気になり、後で困ったことになった期間がありましたか?
  • その期間は、普段のあなたとは明らかに違っていましたか?
  • 気分の波によって、仕事や家庭、人間関係にトラブルが起きたことはありますか?

特に重要なのは「生活に支障が出ているかどうか」と「普段の自分とのギャップ」です(参考:厚生労働省 2)。

専門機関への相談が回復への第一歩

双極性障害は、気合いや性格の矯正で治るものではなく、薬物療法を中心とした医学的な治療が必要な病気です。

「性格の問題だから」と我慢していると、症状が悪化し、失職や借金、人間関係の破綻など、取り返しのつかない社会的損失を招く恐れがあります。

精神科や心療内科を受診することは、決して恥ずかしいことではありません

辛さの原因が「性格」ではなく「病気」だと分かるだけで、肩の荷が下りることもあります。

まずは専門医に相談し、適切な診断を受けることが、あなたらしい生活を取り戻す第一歩となります。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では双極性障害の方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

FAQ(よくある質問)

Q. 性格を変えれば双極性障害は治りますか?

A. 双極性障害は脳の機能や遺伝的要因、ストレスなどが複雑に関わり合って発症するため、性格を変えるだけで治るものではありません。しかし、自分の性格の癖(ストレスを溜めやすい等)を理解し、行動パターンを変える(認知行動療法など)ことは、再発予防に役立つとされています(参考:日本うつ病学会 1)。

Q. 遺伝は関係ありますか?

A. 双極性障害の発症には、遺伝的な要因も関与していると考えられていますが、「親がそうだから必ず子もなる」という単純な遺伝病ではありません。遺伝的ななりやすさに、ストレスなどの環境要因が重なって発症すると考えられています(参考:日本うつ病学会 1)。

Q. 「天才肌」が多いというのは本当ですか?

A. 過去の芸術家などに双極性障害(またはその傾向)を持っていたとされる人がいることは知られています。軽躁状態のエネルギーや発想力が創造性に結びつく場合もありますが、病状が悪化すると社会生活に支障をきたします。才能を持続的に発揮するためにも、治療による気分の安定が重要です。

まとめ

双極性障害になりやすい性格とされる「執着気質」や「循環気質」は、社会適応性が高く、多くの魅力を持った性格です。

病気になりやすい傾向があるからといって、その性格自体を否定する必要は全くありません。

大切なのは、自分の性格の「アクセルの踏み込みやすさ」や「抱え込みやすさ」を理解し、適切なブレーキのかけ方を学ぶことです。

「なんだか生きづらい」「波に振り回されている」と感じたら、一人で悩まず、医療の力を借りてください。

性格の長所を活かしながら、穏やかに過ごせる日々を目指していきましょう。

参考資料・文献一覧

  1. 日本うつ病学会「双極性障害(躁うつ病)とつきあうために」 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/shiryo/data/bd_kaisetsu_ver9-20180730.pdf
  2. 厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス:双極性障害」 https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=RM3UirqngPV6bFW0
  3. 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP) こころの情報サイト「双極性障害(躁うつ病)」 https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease02.html
  4. 日本うつ病学会「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅰ.双極性障害 2020」 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2020.pdf
  5. 国立精神・神経医療研究センター病院「双極性障害(双極症)」 https://hsp.ncnp.go.jp/clinical/disease.php?@uid=5tADp7AJixPWggia