ニキビは思春期から大人まで多くの人が悩む肌トラブルです。
正しい知識とケアで、予防や改善が可能です。
この記事ではニキビの原因、種類、効果的な治療法から自宅でのスキンケアまで、皮膚科専門医 川島眞医師の監修のもと詳しく解説。
自分に合ったケア方法を見つけ、健やかな肌を目指しましょう!
ニキビとは?基本を押さえて正しく対処しよう
ニキビの基礎知識を解説します。
ニキビの医学的な定義と種類
ニキビは医学的には「尋常性(じんじょうせい)ざ瘡(そう)」と呼ばれ、毛穴に皮脂や角質が詰まり、炎症を引き起こす皮膚疾患です。
主に顔や背中、胸にでき、進行度や見た目によって以下のように分類されます。
- 白ニキビ:毛穴に皮脂が詰まり、表面が白く見える状態。
- 黒ニキビ:毛穴が開き、詰まった皮脂が酸化して黒く変色。
- 赤ニキビ:炎症が進行し、赤く腫れた状態。
- 黄ニキビ:膿(うみ)がたまり、黄色く見える重症な状態。
この分類が重要である理由は、ニキビの種類によって対処法が異なるためです。
例えば、初期の白ニキビは塗り薬で改善する可能性が高い一方、赤ニキビや黄ニキビは炎症が強く、専門的な治療が必要になります。
ニキビの種類を理解し、適切な対処を始めることが美肌への第一歩です。
ニキビができるしくみ(毛穴・皮脂・アクネ菌の関係)
ニキビは毛穴、皮脂、アクネ菌の3つの要素が関与して発生します。
毛穴が詰まり、皮脂が過剰に分泌されると、アクネ菌が繁殖しやすくなり、炎症を引き起こすのです。

この仕組みを理解する理由は、ニキビの根本的な原因に対処する必要があるためです。
具体的には、毛穴の詰まりは古い角質やメイク残りが原因で起こり、皮脂の分泌はホルモンや生活習慣の影響を受けます。
アクネ菌は通常は肌に常在する菌ですが、毛穴が詰まると異常繁殖し、炎症を引き起こします。
例えば、洗顔不足で毛穴が詰まると、皮脂が溜まり、アクネ菌が繁殖します。
このアクネ菌が炎症の原因となり、結果的に赤く腫れたニキビができます。
この連鎖を断つためには、適切な洗顔や皮脂コントロールが欠かせません。
ニキビの発生メカニズムを把握することで、効果的な予防と治療が可能になります。
ニキビと吹き出物の違いは?
ニキビと吹き出物は別物と誤解されがちですが、医学的にはほぼ同義です。
ただし、吹き出物は大人にできるニキビを指すことが多く、原因や特徴に若干の違いがあります。
この違いを明確にする理由は、ケア方法が異なる場合があるためです。
ニキビは主に思春期に皮脂の過剰分泌が原因で発生しますが、吹き出物はホルモンバランスの乱れやストレス、乾燥などが関与することが多いです。
20歳以上の大人ニキビは、顎(あご)や口周りにできやすく、炎症が長引きやすい傾向があります。
例えば、思春期のニキビはTゾーン(額や鼻)に多く、洗顔や塗り薬で改善しやすい一方、大人の吹き出物はストレスや生理周期が影響し、皮膚科での専門的な治療が必要な場合も多いです。
どちらも毛穴の詰まりが起点ですが、原因に応じたケアが重要です。
ニキビと吹き出物の違いを理解し、適切な対処を心がけましょう。
ニキビの主な原因と悪化因子
ニキビの原因や悪化する要因について解説します。
皮脂の過剰分泌と毛穴の詰まり
ニキビの主要な原因は、皮脂の過剰分泌と毛穴の詰まりです。
これらが重なると、ニキビの発生リスクが高まります。
皮脂と毛穴の問題を抑えることでニキビを予防することも可能です。
皮脂は肌を保護する役割を持ちますが、過剰に分泌されると毛穴を詰まらせます。

さらに古い角質やメイクが毛穴に残ると、詰まりが悪化します。
皮脂分泌は遺伝やホルモン、気候の影響を受け、特に夏場や思春期に増加します。
例えば、オイリー肌の人がメイクを落とさずに寝ると、毛穴が詰まり、翌朝に白ニキビができることがあります。
この場合、適切な洗顔や角質ケアが効果的。
皮脂と毛穴の管理を徹底することで、ニキビの発生を抑えられます。
ホルモンバランスとストレスの影響
ホルモンバランスの乱れやストレスも、ニキビの大きな原因です。
生理前や妊娠中、ストレス時に男性ホルモン(アンドロゲン)が活性化し、皮脂分泌を増加させます。

例えば、生理前に顎に赤ニキビができる女性は、ホルモンバランスの影響を受けている可能性が高いです。
リラックスや十分な睡眠でストレスを軽減することが有効。
ホルモンとストレスの管理は、ニキビ予防に欠かせません。
食生活・生活習慣との関係性
食生活や生活習慣もニキビに影響を与えます。
特に糖質や乳製品の過剰摂取で悪くなる人もあり、睡眠不足は多くの人で問題です。
日常生活の改善でニキビを悪化させないことも可能です。
お菓子など高GI(グリセミック指数)の食品や乳製品は、インスリンやIGF-1というホルモンを刺激し、皮脂分泌を増やす可能性があると言われています。

また、睡眠不足はストレスホルモンを増やし、肌のターンオーバーを乱します。
例えば、チョコレートやチーズを毎日食べる人がニキビに悩む場合、食事を野菜中心に変えると改善する可能性があります。
バランスの良い食事と十分な睡眠が、ニキビ予防に役立ちます。
ニキビの種類別対策法
ニキビの種類別に対策方法を解説します。
白ニキビ・黒ニキビの対処法
白ニキビと黒ニキビは初期のニキビで、適切なケアで改善しやすいです。
この段階でのケアが重要な理由は、炎症を防ぎ、跡を残さないためです。
白ニキビは毛穴に皮脂が詰まった状態で、黒ニキビはそれが酸化して黒くなったものです。
どちらも塗り薬による角質ケアや洗顔で対処可能です。
ただし、過度な洗顔は乾燥を招くので注意してください。
早期のケアで、白ニキビと黒ニキビを抑えましょう。
赤ニキビ・黄ニキビ(炎症性)の治療法
赤ニキビや黄ニキビは炎症が進んだ状態で、専門的な治療が必要です。
この段階での対処が急務である理由は、炎症が悪化すると瘢痕(はんこん)(ニキビ跡)が残るリスクが高まるためです。
赤ニキビはアクネ菌の繁殖による炎症、黄ニキビは膿が溜まった重症例です。
日本皮膚科学会によると、過酸化ベンゾイルやアダパレンなどの外用薬、場合によっては抗生物質が推奨されます(参考:日本皮膚科学会1)。
例えば、赤ニキビが複数できた場合、まずは皮膚科で処方された外用薬を使用します。
2、3か月続けても良くならない場合は、3か月をめどに抗生物質の塗り薬または飲み薬を併用します。
自己判断でつぶすのは厳禁。
炎症性ニキビは早めに専門家に相談しましょう。
思春期ニキビと大人ニキビの違いとケア方法
思春期ニキビと大人ニキビは、原因とケア方法が異なります。
適切なケアを選ぶためにも、両者の違いを理解する必要があります。
思春期ニキビは皮脂分泌の増加が主因で、Tゾーンにできやすい。
一方大人ニキビはホルモンやストレスが影響し、Uゾーン(顎や頬)に多いです。
例えば、思春期ニキビには洗顔と塗り薬が有効ですが、大人ニキビには保湿や低刺激のスキンケアが重要とされています。
自分のニキビのタイプに合わせたケアを続けることが大切です。
ニキビを治すには?有効な治療法一覧
ニキビに有効な治療法を解説します。
皮膚科で処方される治療薬(外用薬・内服薬)
皮膚科では、ニキビの重症度に応じた治療薬が処方されます。
外用薬にはアダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシンなどがあり、内服薬には抗生物質や低用量ピル、漢方薬が使われます。
軽症には外用薬、中~重症には内服薬の併用が推奨されています。
皮膚科の治療薬で、ニキビを効率的に改善しましょう。
市販薬とその正しい使い方
市販薬としては、アゼライン酸やサリチル酸配合のクリームや洗顔料が一般的で、手軽に始められますが、十分な効果が実証されているものは一部だけです。
市販薬でずっと治療していたために跡が残ってしまったという人もいます。
市販薬に過剰な期待をせず、良くならない場合は皮膚科でのニキビ治療を受けましょう。
重症ニキビの治療(抗生物質・イソトレチノインなど)
重症ニキビには、瘢痕(ニキビ跡)や色素沈着を防ぐためにも専門的な治療が欠かせません。
抗生物質(ミノサイクリンなど)は炎症を抑えることに役立ちます。
イソトレチノインは皮脂分泌を抑える強力な薬ですが、副作用があるため医師の管理が必要で、日本ではまだ保険診療では使えません。
また、妊娠中の使用は厳禁とされています。
重症ニキビは専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。
自宅でできる!スキンケアと生活習慣の見直し
ニキビケアのため日常生活でできるセルフケア方法を解説します。
正しい洗顔方法と保湿のタイミング
正しい洗顔と保湿は、ニキビケアの基本です。
肌の清潔さと水分バランスを保つことでニキビを予防可能です。
朝晩の2回、刺激の少ない洗顔料で優しく洗い、洗顔後5分以内に保湿剤を塗るのが理想。
ヘパリン類似物質、セラミドやヒアルロン酸配合の保湿剤が効果的とされています。

例えば、泡洗顔で肌を擦らず化粧水とクリームで保湿すると肌バリアが強化され、ニキビが減ることがあります。
洗顔と保湿を習慣化し、健やかな肌を目指しましょう。
刺激を減らすスキンケア製品の選び方
低刺激のスキンケア製品を選ぶことが、ニキビ予防につながります。
アルコールフリー、香料フリーの製品を選び、ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせない)表示を確認しましょう。
敏感肌向けの製品がニキビ肌にも適しているとされています。
例えば、セラミド配合の化粧水やジェルは、肌に優しく保湿力が高いものが多いです。
自分に合った製品を選び、ニキビを悪化させないケアを続けましょう。
ニキビ予防につながる生活習慣のポイント
生活習慣の見直しは、ニキビ予防に直結します。
7~8時間の睡眠、バランスの良い食事、適度な運動が推奨されます。
ビタミンAやCを多く含む野菜が肌のターンオーバーを助けるとされています。

夜更かしを控え、ブロッコリーやトマトを食べる習慣にすると、肌の調子が整うことがあります。
生活習慣を整え、ニキビを予防しましょう。
ニキビを悪化させないために注意すべきこと
ニキビを悪化させないために気を付けたいことを解説します。
触らない・つぶさないのが基本
ニキビを触ったりつぶしたりするのは避けましょう。
触ることで炎症が広がり、跡が残るリスクが高まるためです。
指には雑菌が多く、雑菌による炎症が加わります。
ニキビを清潔に保ち、触らないことが推奨されています。
例えば、鏡を見てニキビをつぶしたくなる場合でも、我慢して冷やすくらいにしましょう。
触らない習慣で、ニキビの悪化を防ぎましょう。
マスクや髪型による摩擦対策
マスクや髪の摩擦も、ニキビを悪化させる可能性があります。
特に長時間のマスク着用や前髪が顔にかかると、ニキビが増えることがあります。
これはマスクや髪の摩擦により、肌のバリア機能が奪われてしまったり、毛穴の出口の角化を促したり、マスクにより皮脂が過剰に分泌されアクネ菌が増えやすくなることが理由とされます。
なるべくマスクは外すようにして、髪をアップにすると、摩擦が減り、ニキビが改善することが期待できます。
また、マスクは常に清潔を維持し、汗をかいたらこまめに拭き取るなど対策をしましょう。
サプリ・民間療法に頼りすぎない判断基準
サプリや民間療法は、効果が限定的な場合があります。
科学的根拠が不足している場合が多く、過度な期待が失望につながることもあるため注意が必要です。
ビタミンB群や亜鉛のサプリは一部で効果が報告されています。
でもバランスの良い食事を摂ることの方が肌には大切です。
ニキビ用のサプリを飲む前に皮膚科で相談すると、適切な治療法が見つかることがあります。
信頼できる情報に基づき、ニキビケアを進めましょう。
皮膚科の受診タイミングと医師の選び方
皮膚科の受診タイミングや医師の選び方を解説します。
受診が必要なニキビのサイン
ニキビが出始めたらなるべく早めに皮膚科を受診しましょう。
早期治療で瘢痕(ニキビ跡)や色素沈着を防ぐことも可能です。
以下の場合、すぐに受診することが推奨されます:
- 赤ニキビや黄ニキビが複数ある
- ニキビが2か月以上改善しない
- 痛みや腫れが強い
炎症性ニキビは皮膚科専門医の診察が必要です。
早めの受診で、ニキビを効果的に治療しましょう。
皮膚科と美容皮膚科、どちらを選ぶ?
皮膚科と美容皮膚科の選択は、ニキビの状態や目的で異なります。
治療内容や費用も異なってきます。
一般皮膚科は保険適用の治療が中心で、軽症から重症のニキビまで治療します。
美容皮膚科はピーリングやレーザーなど自費治療が多く、保険診療だけでは改善が得られない場合にも対応します。
例えば、通常のニキビなら皮膚科が、ニキビ跡を改善したい場合は美容皮膚科が適しています。
自分のニーズに合った医療機関を選びましょう。
信頼できる医療機関の見つけ方
信頼できる皮膚科を見つけるには、いくつかのポイントがあります。
適切な診断と治療がニキビ改善の鍵となります。
以下の基準を参考にしましょう:
- 日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医がいる
- 口コミや評判が良い
- カウンセリングが丁寧
厚生労働省の医療機関検索サイトを使えば、専門医の資格や施設情報を確認できます。
信頼できる医師に相談し、ニキビを効果的に治療しましょう。
新たな治療法を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本ではニキビでお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。
例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
まとめ|ニキビと正しく向き合って肌トラブルを解決しよう
ニキビの原因と種類を理解し、適切なケアを始めましょう。
皮脂、ホルモン、ストレスなど、ニキビの原因は多岐にわたり、白ニキビから黄ニキビまで種類も様々。
自分に合ったケアを選ぶことで、改善が早まります。
原因と種類を把握し、ニキビを効率的にケアしましょう。
継続的なスキンケアと医療の活用で、ニキビを根本から改善できます。
正しい洗顔、保湿、バランスの良い生活習慣を続け、なるべく早期に皮膚科を受診しましょう。
専門医の治療と自宅ケアの両輪で、健やかな肌を取り戻しましょう。
参考資料・サイト一覧
1.日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa3/index.html

記事監修・執筆者情報
川島 眞(かわしま まこと)
皮膚科専門医・医学博士
東京女子医科大学 名誉教授
日本皮膚科学会認定専門医として、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の診療・研究に長年従事。
本記事では医学的情報の正確性と内容監修を担当。
所属学会:
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本皮膚アレルギー学会
日本香粧品学会